裁判例結果詳細

事件番号

昭和38(あ)2675

事件名

業務上過失致死、道路交通法違反

裁判年月日

昭和39年5月29日

法廷名

最高裁判所第二小法廷

裁判種別

判決

結果

棄却

判例集等巻・号・頁

集刑 第151号249頁

原審裁判所名

東京高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

昭和38年9月30日

判示事項

禁錮刑の執行猶予を言渡した第一審判決を控訴審が書面審理のみにより破棄しみずから実刑の言渡をする場合と刑訴法第四〇〇条但書。

裁判要旨

(裁判官山田作之助同城戸芳彦の少数意見)多数意見は、第一審判決が懲役刑の執行猶予を言渡した場合に、控訴審がなんら事実の取調をしないで、第一審判決を量刑不当として破棄し、みずから訴訟記録および第一審で取り調べた証拠のみによつて、ただちに懲役刑(実刑)の言渡をしても、刑訴法第四〇〇条但書に違反するものではないとした昭和二七年(あ)第四二二三号同三一年七月一八日大法廷判決(刑集一〇巻七号一一七三頁)および同旨のその他の大法廷判決を踏襲しているのであるが、この多数意見には左祖できない。刑事裁判の要諦は、犯罪事実の認定と刑の量定との三点に尽きる。この犯罪事実の認定と刑の認定とは、公開の法廷で裁判官みずから直接に証人その他の証拠を取り調べ、なおこれ等に対する被告人の意見弁解をきいて得た心証によつてのみ、はじめてできるのであつて、裁判官がこれ等について直接の取り調べをせず、被告人の意見弁解もきかないで、書面審理のみによつてはできるものではないのである。この理は刑事裁判の本質からする当然の帰結であつて、いやしくも裁判官がみずから犯罪事実を認定し、刑を量定する以上、それが第一審であると控訴審(第一審判決を破棄して自判する場合)であると、その理を異にするいわれはない。

参照法条

刑訴法400条

全文

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