裁判例結果詳細

下級裁判所(速報)

事件番号

平成28(ネ)863

事件名

損害賠償請求控訴事件

裁判年月日

平成30年9月20日

裁判所名・部

大阪高等裁判所 第3民事部

結果

原審裁判所名

大阪地方裁判所

原審事件番号

平成23(ワ)8942

原審結果

判示事項の要旨

1 被控訴人国の国賠法1条1項に基づく損害賠償責任 (1) 国が,建築作業従事者が石綿含有建材の切断,穿孔等の作業により石綿関連疾患に罹患することを防止するため,労働安全衛生法(安衛法)上の規制権限を行使し,①昭和50年10月1日以降,事業者に対する防じんマスクの着用義務付け,作業現場における警告表示の義務付け並びに建材メーカーに対する石綿含有建材への警告表示の義務付けを行わなかったこと,②平成3年末以降,石綿含有建材の製造等を禁止しなかったことは,国賠法1条1項の適用上違法である。 (2) 国の安衛法55条,57条に基づく規制権限の不行使については,いわゆる一人親方も,国家賠償の保護範囲に含まれる。 (3) 国が国賠法1条1項に基づき被災者らに負うべき責任の範囲は,被災者らに生じた損害の2分の1とするのが相当である。 2 被控訴人企業らの民法719条1項に基づく損害賠償責任 (1) 建材メーカーは,昭和50年1月1日以降,建築作業従事者に対し,石綿含有建材の切断,穿孔等の作業により石綿関連疾患を発症する危険性等について警告表示する義務を負い,被控訴人企業らには警告表示義務違反が認められる。 (2) 共同不法行為の加害行為に当たるというためには,特定の被控訴人企業が警告表示義務に違反して製造販売した石綿含有建材が特定の被災者に到達したことの立証が必要であるが,マーケットシェアを利用した加害行為者の特定という方法も,建材使用が極めて多数回に及ぶ状況では合理性を有し,当該建材のシェアが10%以上を占める被控訴人企業の製造販売行為は,被災者らの就労した建築作業現場に到達する高度の蓋然性が認められる。 (3) 上記被控訴人企業らは,民法719条1項後段の類推適用により,被災者の曝露期間とメーカーの責任原因期間,主要原因企業以外のメーカーの寄与を考慮した範囲で,連帯して責任を負う。

全文

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添付文書1

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