家庭裁判所調査官は,家庭裁判所で取り扱っている家事事件,少年事件などについて,調査を行うのが主な仕事です(裁判所法第61条の2)。
具体的な職務の内容について事件ごとに説明します。
家事事件では,紛争の当事者や親の紛争のさなかに置かれている子どもに面接をして,問題の原因や背景を調査し,必要に応じ社会福祉や医療などの関係機関との連絡や調整などを行いながら当事者や子にとって最もよいと思われる解決方法を検討し,裁判官に報告します。この報告に基づいて裁判官は事件の適切な解決に向けて審判や調停を進めていきます。
また,悩み事から気持ちが混乱している当事者に対しては,冷静に話合いができるように,カウンセリングなどの方法を活用して心理的な援助をしたり,調停に立ち会って当事者間の話合いがスムーズに進められるようにすることもあります。
少年事件では,非行を犯したとされる少年とその保護者に会って事情を聴くなどして,少年が非行に至った動機,原因,生育歴,性格,生活環境などの調査を行います。そして,必要に応じ少年の資質や性格傾向を把握するために心理テストを実施したり,少年鑑別所,保護観察所,児童相談所などの関係機関と連携を図りながら,少年が立ち直るために必要な方策を検討し,裁判官に報告します。この報告に基づいて,裁判官は,少年の更生にとって最も適切な解決に向けて審判を行います。
また,裁判官が最終処分を決めるため必要があるときに,しばらくの間,少年の様子を見守る「試験観察」という決定をすることがありますが,その場合には,継続的に少年を指導したり,援助しながら少年の行動や生活状況を観察することになります。
家庭裁判所調査官になるには,裁判所職員採用総合職試験(家庭裁判所調査官補)を受験して採用された後,裁判所職員総合研修所において2年間研修を受けて必要な技能等を修得することが必要です。