裁判所で活躍するProfessional:家庭裁判所調査官

私は現在、家事事件を担当しています。家事事件は多種多様ですが、家裁調査官は、親権や親子の交流、児童虐待、養子縁組など、子どもの福祉に関わる事件を中心に関与します。当事者や子どもから話を聞いたり、家庭訪問をしたり、保育園や学校など子どもと関わっている機関から話を聞いたりして、子どもの状況や心情を調査し、子どもの福祉のために望ましい解決を探ります。また、当事者への子どもの福祉に関するガイダンスを実施したり、親子の交流の援助をしたりして、子どもにとって最善の解決になるように調整を図ることもあります。
家事事件では、家裁調査官がどのタイミングでどのような調査や働き掛けをしたら紛争の解決につながるのか、事案に応じて考える必要があり、その難しさを感じることもあります。また、当事者や子どもと直接関わりながら事件と向き合うことができることは、家裁調査官の仕事の魅力ですが、一方で、当事者や子どもにとって重要な局面に立ち会うことも多く、その責任の重さを感じます。時には、当事者や子どもの複雑な思いを受け止めることの大変さを感じることもあります。悩みながら事件に向き合うからこそ、調査や働き掛けが子どもにとっての最善の解決への一助となった際には、やりがいを感じます。また、調査の様々な場面で家裁調査官同士のチームで検討し、裁判官や書記官、調停委員のほか、児童相談所等の関係機関とも協力しながら進めているので、事件を一人で抱え込むことはありません。チーム内では、日常的に、調査に必要な知見や工夫を共有しながら、調査の進め方や調査結果について検討しています。多角的な視点から事件を捉え、より深く理解することができるので、仲間がいることは私にとって心強いです。
現在、家裁調査官補の指導を担当しています。これまで自分を支えてくれた先輩方のように、仲間として一緒に事件に向き合いながら、成長を支えていけたらと思っています。