裁判所で活躍するProfessional:裁判所書記官

私は現在、民事訴訟事件を取り扱う、民事立会係で働いています。民事訴訟手続は、個人や企業間の法的な紛争の解決を図る手続です。裁判官は、双方の主張を聴き、提出された証拠を調べて判断を行います。書記官は、裁判官と協働し、その審理や判決が適正・迅速に実現されるために、法廷で行われた手続や内容を法律的に構成した上で調書にまとめるなどして、裁判手続に関する記録等を作成します。当事者等の準備状況を確認したり、提出書面に不備があれば補正を促したりして、事件の進行管理も行います。当事者に対しては、手続の説明や、問合せへの対応も行います。紛争を抱え、不安や緊張など、さまざまな感情を持つ当事者には、分かりやすく丁寧な説明を行うことを常に意識しています。その中で感謝の気持ちを伝えられたときには、大きなやりがいを感じます。また、双方が納得する形で紛争が解決し、新たな一歩を踏み出す姿を見ると、その事件に関与した書記官として達成感があります。
日々の業務には、同じ部で働く裁判官、書記官や事務官とも連携して取り組んでいます。悩みや疑問が生じた際、部内で議論を重ねながら考えを整理したり、助言を受けてそれを活かしたりするなどして、一人で抱え込むことがなく、安心して働くことができています。支えあえる体制が整っていることも、裁判所の魅力です。
民事訴訟手続は、デジタル化という大きな変革の時期にあります。これに伴い、裁判所職員の業務も見直され、大きく変わろうとしています。裁判手続の利便性向上や事務処理の合理化に向けて、日常の執務の中での気づきを主体的に発信し、そのアイディアについて裁判官や他の職員と意見交換を行うなど、相互に協力しながら継続的な改善に取り組んでいます。今後も、専門的な知識を深め、それを実務に活かすだけでなく、周囲への思いやりも忘れずに、信頼される職員を目指し、自己研鑽を重ねていきたいと考えています。