最近,支払督促や少額訴訟などの手続を悪用し,架空の請求について裁判所に申立てを行う事例があると報道されています。
支払督促手続では,申立ての要件を満たしていれば,相手方の言い分を聞くことなく支払督促が発せられ,郵便によって送付されます。これを受けた相手方からの異議申立てがあって初めて請求が認められるのかどうかの審理をすることになりますので,支払督促の申立て段階では,それが架空請求であるかどうか,裁判所には分かりません。また,少額訴訟手続も同様に,裁判所に訴状が提出されても,その段階では架空請求であるのかどうか分からず,一定の要件を満たしていれば,提出された訴状等を相手方に郵便で送付することになり,相手方からの反論を待つことになります。
そのため,裁判所から郵便物が送付されて来ているのに,身に覚えがないとしてそのまま放置してしまうと,架空の請求について判決などがなされ,強制執行を受けるようなことがあります。
裁判所からの郵便物は必ず内容を確認し,不審な点があれば,記載されている電話番号がにせものでないか電話帳等で確かめた上で,裁判所に直接電話でお問い合わせください。送られてきた書面を裁判所に持参してもかまいません。
裁判所や裁判所の職員の名称等を勝手に利用した請求書等が送付される例も報道されています。不審な郵便物については,同じように裁判所にお問い合わせください。また,裁判所の職員が電話で金銭の支払いを指示することもありません。不審な電話については,警察に連絡するなどしてください。