裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和25(あ)2963
- 事件名
衆議院議員選挙法違反
- 裁判年月日
昭和25年10月18日
- 法廷名
最高裁判所第一小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
集刑 第54号1001頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和25年7月20日
- 判示事項
一 採証に関する法令違反と判決に対する影響の有無
二 証拠能力のない証拠を他の証拠と綜合して事実認定した判決の違法と原判決に影響を及ぼさないこと明らかな場合
三 判断遺脱の主張と刑訴法第四〇五条
- 裁判要旨
一 そして法令違反が判決に影響を及ぼすことが明らかであるか否かは、裁判所が諸般の点を考慮して決すべき問題である。されば、原判決が所論に摘示のごとく第一審判決には証拠能力を欠く所論供述調書の記載を証拠とした違法の存することを認めながら、その挙示する他の証拠を検討しても判決に影響を及ぼさないものと判示したことは当裁判所においても首肯しうるところであるから(昭和二五年(あ)第二四九〇号同二六年七月二六日当法廷判決参照)原判決はこの点において違法がない。
二 次に論旨後段の各供述調書中犯罪事実に関する部分の記載については被告人A同B同Cにおいてこれを証拠とすることに同意をしていないし、右各供述調書はいずれも刑訴三二一条三項に定める要件を備えていないこと記録上明らかであるから、被告人A以下二名についての判示事実認定の証拠とすることはできない筋合である。されば第一審判決が所論の各調書を被告人A以下二名についての判示事実認定の証拠としたのは違法たるを免れないのではあるが、所論の各供述調書を除きその他の第一審判決挙示の証拠だけでも被告人A以下二名についての判示事実の認定の肯認しうるのであるから、右の違法は第一審判決に影響を及ぼすこと明らかな法令の違反ではない。
三 第一審判決は審判の請求を受けた事件について判決をしない違法があるというにあつて、単なる訴訟法違反の主張に帰し明らかに刑訴四〇五条に定める上告の理由にあたらない。
- 参照法条
刑訴法379条,刑訴法317条,刑訴法321条3項,刑訴法410条,刑訴法411条1号,刑訴法405条,刑訴法392条
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