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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成22(行ケ)31

事件名

 審決取消請求事件

裁判年月日

 平成23年10月28日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 独禁

判示事項

 地方公共団体が指名競争入札等の方法により発注するごみ焼却施設の新設等の工事について,他の業者と共同して受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにした行為が,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(平成17年法律第35号による改正前)2条6項にいう不当な取引制限に当たる場合に,当該工事にかかる契約につき,市議会において契約の締結が可決された後,契約書に市長の公印が押印された時点で締結されたものと認められるとして,当該契約締結日は私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律施行令(平成17年政令第318号による改正前)6条1項にいう実行期間内であるとしてした課徴金の納付を命ずる審決が,適法とされた事例

裁判要旨

 地方公共団体が指名競争入札等の方法により発注するごみ焼却施設の新設等の工事について,他の業者と共同して受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにした行為が,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(平成17年法律第35号による改正前)2条6項にいう不当な取引制限に当たる場合に,当該工事にかかる契約につき,市議会において契約の締結が可決された後,契約書に市長の公印が押印された時点で締結されたものと認められるとして,当該契約締結日は私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律施行令(平成17年政令第318号による改正前)6条1項にいう実行期間内であるとしてした課徴金の納付を命ずる審決につき,同項は,不当な取引制限行為が実行期間において受注する商品又は役務のみに係る場合において,実行期間において引き渡した商品又は提供した役務の対価の額と実行期間において締結した商品の販売又は役務の提供に係る契約により定められた対価額の合計額との間に著しい差異を生ずる事情があると認められるときは,受注から引渡し等までに長時間を要するのが通常であるので,違反行為の実行としての事業活動による利得が課徴金額の算定に適正に反映されるように,契約基準によって売上額を算定することとしたものと解され,その趣旨に照らせば,同項にいう契約の「締結」は,当事者双方の契約意思が合致して契約に基づく法律上の権利義務が発生し,事業者の事業活動による利得を法律上発生させるものであることを要すると解するのが相当であるところ,地方自治法96条1項5号に定める「契約を締結すること」についての議会の議決は,長の契約締結行為を単に許可,承認,同意するのではなく,その契約内容についての普通地方公共団体としての意思決定に当たるものというべきであるから,当該議決前には市との間で契約成立の要件である意思の合致を認めることはできないものというべきである上,同法234条5項は,契約成立時期を,当事者双方が契約書に記名押印した時と明定する趣旨と解されることなどからすれば,前記工事の契約に関し,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律施行令6条1項にいう契約の締結の日は,市議会において契約の締結が議決されて市において契約締結の意思が決定され,当該工事の請負契約書に市長の公印が押印された日と認めるのが相当であるとして,前記審決を適法とした事例

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