裁判例結果詳細

事件番号

平成14(行ウ)13

事件名

行政処分取消請求事件

裁判年月日

平成15年9月30日

裁判所名

高知地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 建築基準法48条11項ただし書による許可申請に対し,市長がしたこれを許可しない旨の処分が,取消訴訟の対象となる行政処分に当たるとされた事例  2 シネマコンプレックス(複合型映画館)用建物の建築について市長がした建築基準法48条11項ただし書による許可をしない旨の処分の取消請求が,認容された事例

裁判要旨

1 建築基準法48条11項ただし書による許可申請に対し,市長がしたこれを許可しない旨の処分につき,同条の用途地域の指定による規制は,一定の地域には一定の用途の建築物しか建築できないようにすることで,都市等の人口密集地域での居住環境の保全や商業等の利便の増進を図ろうとするものであるから,本来自由であるべき当該地域の土地所有者等の権利行使(同土地上に建築物を建築する権利を含む。)を制限する性質のものであることは明らかであり,単に用途地域の指定にとどまらず,用途地域規制により一般的に建築が制限される建築物を建築しようとする者が,その例外許可を求める申請をし,特定行政庁がこれを拒否すれば,申請人の権利行使の制限は現実のものとなるのであるから,特定行政庁の例外許可の拒否は,公権力の行使により申請人の権利ないし法律上の利益を侵害するものとして,取消訴訟の対象となる行政処分に当たるとした事例  2 シネマコンプレックス(複合型映画館)用建物の建築について市長がした建築基準法48条11項ただし書による許可をしない旨の処分の取消請求につき,同項ただし書は,工業地域における建築物についての用途地域規制を個別解除する例外許可が許されるひとつの場合として,特定行政庁が「公益上必要」と認める場合であることを定めているところ,「公益上必要」かどうかは,当該用途地域指定の目的を阻害するおそれの程度(例外許可の許容性)及び公益上の観点から当該建物を建築する必要性(例外許可の必要性)を比較衡量の上,これを判断すべきものであり,これらの要素を勘案して,当該建築物の建築を肯定すべき場合には例外許可をすべきであるとした上,前記建物の建築が予定されている地域は,都市計画法上,工業地域に指定されてはいるものの,工業地域の実態が失われたまま相当長期間が経過しており,しかも,工業地域の実態が回復する見込みは将来的にもおよそ考えられず,用途地域規制の目的は全く形骸化した状況にあったことからすると,前記処分当時,公益性を有する建築物については,例外許可によりその建築を認めることは許容されていたといえ,また,前記シネマコンプレックスは,複数のスクリーンが集まることにより,あらゆる世代に対し,それぞれの嗜好にあったバラエティ豊かな邦画・洋画の話題作・秀作を健全かつ安全に提供する施設であり,映画の特徴である文化・情報の発信拠点として利用できるとされていることなど,それ自体一定の公益性を備えた施設であると考えられることからすれば,前記処分当時,前記建物の建築には,公益上の観点からも,その必要性も認められていたとして,市長のした前記処分には,その裁量権を逸脱,濫用した違法があるとして,前記請求を認容した事例

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