裁判例結果詳細

事件番号

平成12(行ウ)124

事件名

行政文書部分公開決定処分取消等請求事件

裁判年月日

平成14年5月30日

裁判所名

大阪地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 公共事業用地として買収の対象となる土地の地権者のために,土地開発公社が代替地を取得し地権者に譲渡する業務に関し,大阪府が公社による代替地の取得又は処分について公社との間で協議を行った際に作成又は取得し,保管している申請書,契約書,その他協議及び決裁に関わる各文書に記載された情報のうち,事業用地の買収や代替地の取得,譲渡の際のこれらの価格,単価の情報が,大阪府情報公開条例9条1号所定の非公開事由(個人情報)に該当しないとされた事例  2 公共事業用地として買収の対象となる土地の地権者のために,土地開発公社が代替地を取得し地権者に譲渡する業務に関し,大阪府が公社による代替地の取得又は処分について公社との間で協議を行った際に作成又は取得し,保管している申請書,契約書,その他協議及び決裁に関わる各文書に記載された情報のうち,事業用地の買収や代替地の取得,譲渡の際のこれらの価格,単価の情報が,大阪府情報公開条例8条1号所定の非公開事由(法人等情報)に該当しないとされた事例  3 公共事業用地として買収の対象となる土地の地権者のために,土地開発公社が代替地を取得し地権者に譲渡する業務に関し,大阪府が公社による代替地の取得又は処分について公社との間で協議を行った際に作成又は取得し,保管している申請書,契約書,その他協議及び決裁に関わる各文書に記載された情報のうち,土地開発公社土地評価審査会が代替地の評価額を公社に答申した際の評価答申額,諮問価格や評価答申額を基礎として時点修正を加えた算出額等の情報が,大阪府情報公開条例9条1号及び8条1号所定の非公開事由(個人情報及び法人等情報)のいずれにも該当しないとされた事例  4 公共事業用地として買収の対象となる土地の地権者のために,土地開発公社が代替地を取得し地権者に譲渡する業務に関し,大阪府が公社による代替地の取得又は処分について公社との間で協議を行った際に作成又は取得し,保管している申請書,契約書,その他協議及び決裁に関わる各文書に記載された情報のうち,事業用地の買収や代替地の取得,譲渡の際のこれらの価格,単価の情報及び土地開発公社土地評価審査会が代替地の評価額を公社に答申した際の評価答申額,諮問価格や評価答申額を基礎として時点修正を加えた算出額等の情報が,大阪府情報公開条例8条4号所定の非公開事由(事務事業情報)に該当しないとされた事例  5 公共事業用地として買収の対象となる土地の地権者のために,土地開発公社が代替地を取得し地権者に譲渡する業務に関し,大阪府が公社による代替地の取得又は処分について公社との間で協議を行った際に作成又は取得し,保管している申請書,契約書,その他協議及び決裁に関わる各文書に記載された情報のうち,代替地譲渡予定者の勤務先又は連絡先の情報及び地権者の家庭事情に関する情報が,大阪府情報公開条例9条1号所定の非公開事由(個人情報)に該当するとされた事例  6 公共事業用地として買収の対象となる土地の地権者のために,土地開発公社が代替地を取得し地権者に譲渡する業務に関し,大阪府が公社による代替地の取得又は処分について公社との間で協議を行った際に作成又は取得し,保管している申請書,契約書,その他協議及び決裁に関わる各文書に記載された情報のうち,契約の相手方である個人の地権者の印影の情報が,大阪府情報公開条例9条1号所定の非公開事由(個人情報)に該当しないとされた事例  7 公共事業用地として買収の対象となる土地の地権者のために,土地開発公社が代替地を取得し地権者に譲渡する業務に関し,大阪府が公社による代替地の取得又は処分について公社との間で協議を行った際に作成又は取得し,保管している申請書,契約書,その他協議及び決裁に関わる各文書に記載された情報のうち,契約の相手方である法人の地権者の印影の情報が,大阪府情報公開条例8条1号所定の非公開事由(法人等情報)に該当しないとされた事例

裁判要旨

1 公共事業用地として買収の対象となる土地の地権者のために,土地開発公社が代替地を取得し地権者に譲渡する業務に関し,大阪府が公社による代替地の取得又は処分について公社との間で協議を行った際に作成又は取得し,保管している申請書,契約書,その他協議及び決裁に関わる各文書に記載された情報のうち,事業用地の買収や代替地の取得,譲渡の際のこれらの価格,単価の情報につき,前記情報は,買収対象の土地や代替地の所有者が個人である場合,当該個人の財産や所得に関する情報に該当し,代替地所有者等の氏名は前記各文書の他の部分において公開されていることから,特定の個人が識別され得る情報であるといえるが,個人の財産や所得の全体を明らかにするものではなく,その一部に関する情報にすぎず,また,前記情報は対象となる土地の正常な取引価格であり,取引当事者の主観や個別事情を排除した客観的な算定評価に基づく価格であって,個人のプライバシーとしての保護の必要性の高い情報とはいえない一方,公共用地の取得及び処分は,私人間の取引とは異なる公的性格を有するものであり,その適正を図る上で買収価格等の公開の必要性は高いといえることを総合考慮すると,一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められる情報とはいえないとして,前記情報は,大阪府情報公開条例9条1号所定の非公開事由(個人情報)に該当しないとした事例  2 公共事業用地として買収の対象となる土地の地権者のために,土地開発公社が代替地を取得し地権者に譲渡する業務に関し,大阪府が公社による代替地の取得又は処分について公社との間で協議を行った際に作成又は取得し,保管している申請書,契約書,その他協議及び決裁に関わる各文書に記載された情報のうち,事業用地の買収や代替地の取得,譲渡の際のこれらの価格,単価の情報につき,前記情報は,買収対象の土地や代替地の所有者が法人である場合,法人の資産や所得に関する情報であるが,大阪府情報公開条例8条1号は,主として法人の営業上の利益の保護を念頭におき,法人に関する情報の公開により当該法人に著しい不利益を及ぼすことのないようにとの配慮から非公開事由を定めたものと解され,同号にいう「競争上の地位」を害すると認められる情報とは,生産技術上のノウハウや,取引上,金融上,経営上の秘密等,公開されることにより公正な競争の原理を侵害するなど当該法人の営業上の地位に著しい不利益を及ぼすと認められるものを指すと考えられるとした上で,前記情報は,特定の土地取引に関する情報にすぎず,当該法人の資産や所得の全体を明らかにするものではなく,買収等の相手方となっている法人は,株式会社及び信用金庫であるところ,事業用地や代替地に関する土地取引の結果としての資産の取得や損益は,法律上義務付けられた計算書類等の公示によって株主,会員や債権者に開示されるべき情報の一部を構成するものということができ,更に,前記情報は当該土地の客観的な価格を示すものであり,特に秘密にしなければ法人の営業上の利益が害されるとは認めがたいなどとして,前記情報は,前記条例8条1号所定の非公開事由(法人等情報)に該当しないとした事例  3 公共事業用地として買収の対象となる土地の地権者のために,土地開発公社が代替地を取得し地権者に譲渡する業務に関し,大阪府が公社による代替地の取得又は処分について公社との間で協議を行った際に作成又は取得し,保管している申請書,契約書,その他協議及び決裁に関わる各文書に記載された情報のうち,土地開発公社土地評価審査会が代替地の評価額を公社に答申した際の評価答申額,諮問価格や評価答申額を基礎として時点修正を加えた算出額等の情報につき,前記情報は,取得予定地について,土地評価審査会が行った算定評価の結果を公社に対し報告するものであって,実際の買収価格等とは異なり,公社の内部資料にすぎないことから,それが代替地の取得金額の算定の基礎となり,実際の取得価格を推測させうるものであるとしても,個人識別情報や法人に関する情報には当たらないというべきであるとして,前記情報は,大阪府情報公開条例9条1号及び8条1号所定の非公開事由(個人情報及び法人等情報)のいずれにも該当しないとした事例  4 公共事業用地として買収の対象となる土地の地権者のために,土地開発公社が代替地を取得し地権者に譲渡する業務に関し,大阪府が公社による代替地の取得又は処分について公社との間で協議を行った際に作成又は取得し,保管している申請書,契約書,その他協議及び決裁に関わる各文書に記載された情報のうち,事業用地の買収や代替地の取得,譲渡の際のこれらの価格,単価の情報及び土地開発公社土地評価審査会が代替地の評価額を公社に答申した際の評価答申額,諮問価格や評価答申額を基礎として時点修正を加えた算出額等の情報につき,大阪府情報公開条例8条4号にいう「著しい支障を及ぼすおそれ」は,事務,事業の主体である行政機関が自らの立場で主観的に判断したところに従うべきではなく,客観的,具体的に存在していることが必要であるとした上で,用地買収の交渉に当たっては,地権者が土地の買収自体に抵抗し,また,買収価格について近隣の取引事例を引き合いに出してより有利な条件を要求することも多く,このような場合,買収事務担当者としては,提示する買収価格が客観的な評価に基づく適正な取引価格であることをわかりやすく説明し,地権者の援用する取引事例と当該土地との個別的要因の違いを指摘するなどして,地権者の同意を取り付けるよう粘り強く交渉しなければならず,用地買収には困難を伴うことが認められるが,これらの点は,用地買収事務の性質上必然的に生じるものであり,前記情報が公開されることによって初めて生じるものではなく,その公開によってより一層困難になるとも認められないなどとして,前記情報は,大阪府情報公開条例8条4号所定の非公開事由(事務事業情報)に該当しないとした事例  5 公共事業用地として買収の対象となる土地の地権者のために,土地開発公社が代替地を取得し地権者に譲渡する業務に関し,大阪府が公社による代替地の取得又は処分について公社との間で協議を行った際に作成又は取得し,保管している申請書,契約書,その他協議及び決裁に関わる各文書に記載された情報のうち,代替地譲渡予定者の勤務先又は連絡先の情報及び地権者の家庭事情に関する情報につき,前記勤務先等の情報は,当該個人の職業や経歴,社会活動等に関する情報であり,代替地所有者及び代替地取得希望者の氏名は本件処分によって既に公開されていることから,特定の個人が識別され得る情報であるといえ,勤務先等を公にすることにより,当該個人の生活状況等が容易に推測されうることから,一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められ,また,前記家庭事情に関する情報は,その前後の記載内容から,借地料に関する事情,家族や親族の状況に関する事情等が記載されていることが推測されるところ,既に地権者の氏名等は公開されていることから,これらの家庭事情は個人識別情報に該当するといえ,これらの家庭事情に関する情報は,一般にみだりに他人に知られたくないと望むことが正当な情報といえるとして,前記各情報は,大阪府情報公開条例9条1号所定の非公開事由(個人情報)に該当するとした事例  6 公共事業用地として買収の対象となる土地の地権者のために,土地開発公社が代替地を取得し地権者に譲渡する業務に関し,大阪府が公社による代替地の取得又は処分について公社との間で協議を行った際に作成又は取得し,保管している申請書,契約書,その他協議及び決裁に関わる各文書に記載された情報のうち,契約の相手方である個人の地権者の印影の情報につき,地方公共団体の契約の相手方個人の氏名が既に公開されているような場合において,地方公共団体と地権者との間の契約書等に押印され,地方公共団体に対して提出される印影は,特定の個人が識別され得る情報であるが,契約書や上申書等の書面の作成者名下の押印は,各文書が真正に作成されたこと,すなわち,当該個人本人によって,当該文書が作成されたものであることを示すためにされるものであって,印影自体には,作成名義人の氏名とあいまって契約を締結した者を特定し,契約締結権限を証明するという意味を有する以上の特殊な情報が含まれているわけではなく,また,開示された印影が印章偽造等の犯罪に悪用されることは異例の事態であって,そのようなおそれがあると認めるべき特段の事情は見出しがたいことなどから,一般に他人に知られたくないと望むことが正当であるということはできないとして,前記印影の情報は,大阪府情報公開条例9条1号所定の非公開事由(個人情報)に該当しないとした事例  7 公共事業用地として買収の対象となる土地の地権者のために,土地開発公社が代替地を取得し地権者に譲渡する業務に関し,大阪府が公社による代替地の取得又は処分について公社との間で協議を行った際に作成又は取得し,保管している申請書,契約書,その他協議及び決裁に関わる各文書に記載された情報のうち,契約の相手方である法人の地権者の印影の情報につき,地方公共団体の契約の相手方の法人名が既に公開されているような場合において,地方公共団体と地権者との間の契約書等に押印され,地方公共団体に対して提出される印影は,法人等に関する情報であるが,契約書や上申書等の書面の作成者名下の押印は,各文書が真正に作成されたこと,すなわち,当該法人の契約締結権限を有する者によって,当該文書が作成されたものであることを示すためにされるものであって,印影自体には,作成名義人の氏名とあいまって契約を締結した者を特定し,契約締結権限を証明するという意味を有する以上の特殊な情報が含まれているわけではなく,また,開示された印影が印章偽造等の犯罪に悪用されることは異例の事態であって,そのようなおそれがあると認めるべき特段の事情は見出しがたいことなどから,公にすることにより当該法人の正当な利益を害するということはできないとして,前記印影の情報は,大阪府情報公開条例8条1号所定の非公開事由(法人等情報)に該当しないとした事例

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