裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成12(行コ)330
- 事件名
固定資産評価審査決定取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成8年(行ウ)第130号)
- 裁判年月日
平成14年1月30日
- 裁判所名
東京高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
固定資産課税台帳に登録された宅地の固定資産評価額に関する審査申出を棄却した固定資産評価審査委員会の審査決定の取消請求が,一部認容された事例
- 裁判要旨
固定資産課税台帳に登録された宅地の固定資産評価額に関する審査申出を棄却した固定資産評価審査委員会の審査決定の取消請求につき,課税対象となる土地は極めて大量に存在することから,限りある人的資源により,時間的制約の下において大量の土地について可及的に適正な時価を評価する技術的方法と基準を規定した固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号)による評価方法がとられているが,評価基準による評価方法には誤差が生じるおそれがあるから,少なくとも評価額が客観的時価を超える事態が生じないように,あらかじめ減額した数値をもって計算の基礎となる標準宅地の「適正な時価」として扱うことは合理的であって,平成6年度の評価替えに当たり,公示価格の算定と同様の方法で評価した標準宅地の価格の7割程度の価格をもって適正な時価として扱うとのいわゆる7割評価通達(平成4年自治固第3号自治事務次官通達)には合理性が認められ,同通達に従った評価を行ったことに違法はないが,このような評価方法は前記制約の下で可及的に「適正な時価」に接近するための方法として許容されているものであり,登録価格が賦課期日における対象土地の客観的時価を上回ることまでも許容するものではないから,対象土地の客観的時価の下落率が30パーセントを超える場合には,その登録価格の算出にあっては,前記通達を適用するのではなく,現実の地価下落率に基づく減価計算を要するとした上,前記宅地における標準宅地の平成5年1月1日から平成6年1月1日までの地価下落率は30パーセントを超えるから,前記固定資産評価審査委員会がした登録価格の決定は,その現実の地価下落率に基づく減価計算によって算出した金額を超える限度で違法であるとし,また,このように審査決定に係る価格中,一部適正な時価を超えている部分があると裁判所が判断した場合には,審査決定の不可分一体性から審査決定の全部を取り消すのではなく,上記によって算出された適正な時価を超える部分につき審査申出を棄却した部分についての一部取消を認めるのが相当であるとして,前記取消請求を一部認容した事例
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