裁判例結果詳細

事件番号

平成12(行ウ)357

事件名

平成12年(行ウ)第357号 住民票消除処分取消等請求事件(第1事件)平成12年(行ウ)第359号 住民票消除処分取消等請求事件(第2事件)平成12年(行ウ)第361号 住民票消除処分取消等請求事件(第3事件)平成12年(行ウ)第364号 住民票消除処分取消等請求事件(第4事件)平成12年(行ウ)第366号 住民票消除処分取消等請求事件(第5事件)平成12年(行ウ)第368号 住民票消除処分取消等

裁判年月日

平成13年12月14日

裁判所名

東京地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 東京都の特別区の区長がした特定の宗教団体の信者から提出された転入届に基づき調整,記録した住民票の破棄及び住民基本台帳の記録からの抹消が行政処分に当たるとされた事例 2 東京都の特別区の区長がした特定の宗教団体の信者から提出された転入届に基づき調整,記録した住民票の破棄及び住民基本台帳の記録からの抹消処分が違法であるとしてされた同処分の取消請求が,認容された事例 3 東京都の特別区の区長がした特定の宗教団体の信者から提出された転入届に基づき調整,記録した住民票の破棄及び住民基本台帳の記録からの抹消処分が違法であるとしてされた国家賠償請求が,一部認容された事例

裁判要旨

1 東京都の特別区の区長がした特定の宗教団体の信者から提出された転入届に基づき調整,記録した住民票の破棄及び住民基本台帳の記録からの抹消につき,住民票を新たに調製し,これに特定の住民の氏名等を記載する行為,あるいは,既に調製された住民票を全部消除する行為は,その者が当該市町村の選挙人名簿に登録されるか否かを左右する法的効果を有するものであるから,前記各行為は行政処分に当たるとした上,前記抹消等は,有効に存在する住民票の調製,記録という処分の効力を事後的に消滅させるために行われたと認められるから,住民基本台帳法8条に基づく職権による消除と解すべきであるとして,行政処分に当たるとした事例 2 東京都の特別区の区長がした特定の宗教団体の信者から提出された転入届に基づき調整,記録した住民票の破棄及び住民基本台帳の記録からの抹消処分が違法であるとしてされた同処分の取消請求につき,区長は,住民基本台帳に記録されるべきか否かにつき,新たに区に転入した住民の住所が当該区の区域内にあるか否かという事実及び住民基本台帳に記録して管理すべき者かどうかのみを基準として判断すべきであって,当該転入者が新たにその区域内に住所を定めたという事実が存在するにもかかわらず,住民の安全と安寧秩序を守るため,前記宗教団体の構成員の大量転入と拠点化を防ぐ目的に基づいて,住民票の調製,記載を拒否したり,消除等を行う権限を与えられているということはできず,また,そのような目的は,住民票を消除すべき事由について規定した住民基本台帳法施行令8条所定の事由に当たらないことも明らかであるとして,前記請求を認容した事例 3 東京都の特別区の区長がした特定の宗教団体の信者から提出された転入届に基づき調整,記録した住民票の破棄及び住民基本台帳の記録からの抹消処分が違法であるとしてされた国家賠償請求につき,同処分は,住民票を消除すべき事由がないのにされたものであるから違法であり,区長には,常に住民基本台帳を整備し,住民に関する記録の管理が適正に行われるように必要な措置を講ずるように努めるべき義務があるのに,その義務をを尽くさなかったことにつき過失があるものというべきであり,また,転入した前記信者は,選挙権を行使できない状態に置かれ,国民健康保険の被保険者として扱われず,印鑑登録証明書の交付も受けられないこととなり,これにより精神的苦痛を覚えたことが認められるとして,前記請求を一部認容した事

全文

全文

ページ上部に戻る