裁判例結果詳細

事件番号

平成12(行コ)19

事件名

各損害賠償請求控訴事件(原審・横浜地方裁判所平成8年(行ウ)第10号ないし第15号)

裁判年月日

平成13年9月19日

裁判所名

東京高等裁判所

分野

行政

判示事項

1 日本下水道事業団が6つの市との委託協定に基づいて請負業者らに発注した電気設備工事において,同事業団及び請負業者らにより,契約価格を発注予定価格に誘導する談合が行われたため,談合がなければ形成されたであろう価格に相応する工事委託料と落札価格に相応する工事委託料との差額相当額の損害を市が被っているにもかかわらず,市が前記事業団らに対する損害賠償請求権の行使を違法に怠っているとしてされた住民監査請求が,地方自治法242条2項の期間制限の適用を受けるとされた事例 2 日本下水道事業団が6つの市との委託協定に基づいて請負業者らに発注した電気設備工事において,同事業団及び請負業者らにより,契約価格を発注予定価格に誘導する談合が行われたため,談合がなければ形成されたであろう価格に相応する工事委託料と落札価格に相応する工事委託料との差額相当額の損害を市が被っているにもかかわらず,市が前記事業団らに対する損害賠償請求権の行使を違法に怠っているとしてされた住民監査請求期間の起算点が,前記各工事の施行を委託した年度の年度実施協定又はその後にされた最後の変更協定の締結日であるとされた事例

裁判要旨

1 日本下水道事業団が6つの市との委託協定に基づいて請負業者らに発注した電気設備工事において,同事業団及び請負業者らにより,契約価格を発注予定価格に誘導する談合が行われたため,談合がなければ形成されたであろう価格に相応する工事委託料と落札価格に相応する工事委託料との差額相当額の損害を市が被っているにもかかわらず,市が前記事業団らに対する損害賠償請求権の行使を違法に怠っているとしてされた住民監査請求につき,同監査請求は,前記事業団と市との間に締結された実施協定の内容に談合行為に基因する違法があり,それゆえこれに基づいて費用を支払った市に損害が生じていることを監査請求の対象としているもの,すなわち,市における財務会計上の行為が違法であることに基づいて発生する損害賠償請求権の不行使をもって「財産の管理を怠る事実」があるとしているものと解するのが相当であり,このような監査請求については,地方自治法242条2項所定の監査請求期間の制限を受けるとした事例 2 日本下水道事業団が6つの市との委託協定に基づいて請負業者らに発注した電気設備工事において,同事業団及び請負業者らにより,契約価格を発注予定価格に誘導する談合が行われたため,談合がなければ形成されたであろう価格に相応する工事委託料と落札価格に相応する工事委託料との差額相当額の損害を市が被っているにもかかわらず,市が前記事業団らに対する損害賠償請求権の行使を違法に怠っているとしてされた住民監査請求期間の起算点につき,地方公共団体においては,契約などの支出負担行為に基づいてされた履行行為としての支出は,当該支出負担行為が違法なものでない限り,支出自体を違法なものと解することはできないところ,年度実施協定の締結の後に同実施協定の対象工事の請負契約が締結され,また,その後も当該年度の年度実施協定について変更協定が締結され,支出負担行為の内容に変更を生じているものがあると認めることができる以上,その最後の変更協定が締結された時を基準に,当該年度の年度実施協定の内容に談合行為に起因する違法事由がなかったかどうかを判断するのが相当であり,かつ,それが監査請求の対象になっていると考えられるから,各監査請求に係る請求期間の起算日は,前記各工事の施行を委託した年度の年度実施協定の締結日又はその後にされた最後の変更協定の締結日であるとした事例

全文

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