裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成7(行ケ)3
- 事件名
当選無効及び立候補禁止請求事件
- 裁判年月日
平成8年7月8日
- 裁判所名
仙台高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 公職選挙法251条の3第1項に規定する「組織」の意義 2 公職選挙法251条の3第1項に規定する「意思を通じて」の意義 3 公職選挙法251条の3第1項に規定する「当該選挙運動の計画の立案若しくは調整又は当該選挙運動に従事する者の指揮若しくは監督その他当該選挙運動の管理を行う者」の意義 4 県議会議員選挙の候補者を会社の朝礼及び同社主催の下請業者を集めた会食に招き,投票依頼のあいさつをさせるなどの選挙運動を行った同社の代表取締役らが公職選挙法221条1項所定の罪を犯して禁固以上の刑に処せられたため,検察官が同法211条1項に基づいてした前記候補者の当選無効及び立候補禁止請求が,前記代表取締役らは,同法251条の3第1項の「組織的選挙運動管理者等」に当たるなどとして,認容された事例
- 裁判要旨
1 公職選挙法251条の3第1項に規定する「組織」とは,特定の公職の候補者等の当選を得せしめ又は得せしめない目的の下に役割を分担して活動する人的結合体を指すものであって,既存の組織かどうか,継続的な組織かどうか,あるいは,その規模の大小を問わず,複数の人が,役割を分担し,相互の力を利用し合い,相互に協力し合って活動する実態を持った人の集合体であれば「組織」に当たり,公職の候補者等自らがその「組織」又は組織の総括的立場にある者に働きかけ,選挙違反行為を中止し得るだけの人的結びつきがあり,公職の候補者等の指示を受け入れる関係が存在することを要しないと解すべきである。 2 公職選挙法251条の3第1項に規定する「意思を通じて」とは,公職の候補者等と組織(具体的には選挙運動を行う組織の総括者,すなわち,どの公職の候補者等を支援するか,全体としてどの程度の選挙運動を行うかなど組織により行われる選挙運動全体の具体的,実質的な意思決定を行い得る者)との間で,選挙運動が組織により行われることについて,相互に明示あるいは黙示に認識し,了解し合うことであり,公職の候補者等が,組織の具体的な名称や範囲,組織の構成,構成員,その組織により行われる選挙運動の在り方,指揮命令系統等を認識することを要しないというべきである。 3 公職選挙法251条の3第1項に規定する「当該選挙運動の計画の立案若しくは調整」を行う者とは,選挙運動組織の一員として,選挙運動全体の計画の立案または調整を行う者をはじめ,ビラ配り,ポスター張り,個人演説会,街頭演説等の計画を立てる者やその調整を行う者等であって,いわば司令塔の役割を担う者をいい,「当該選挙運動に従事する者の指揮若しくは監督」を行う者とは,選挙運動組織の一員として,ビラ配り,ポスター張り,個人演説会,街頭演説等の動員,電話作戦等にあたる者の指揮監督を行う者であって,いわば前線のリーダーの役割を担う者をいい,「その他当該選挙運動の管理を行う者」とは,選挙運動組織の一員として,選挙運動の分野を問わず,前記以外の方法により選挙運動の管理を行う者,例えば,選挙運動従事者への弁当の手配,車の手配,個人演説会場の確保を取り仕切るなど選挙運動の中で後方支援活動の管理を行う者をいう。 4 県議会議員選挙の候補者を会社の朝礼及び同社主催の下請業者を集めた会食に招き,投票依頼のあいさつをさせるなどの選挙運動を行った同社の代表取締役らが,公職選挙法221条1項所定の罪を犯して禁固以上の刑に処せられたため,検察官が同法211条1項に基づいてした前記候補者の当選無効及び立候補禁止請求につき,前記代表取締役らは,前記候補者と意思を通じ,会社の指揮命令系統を利用して,同社の従業員及び下請業者に対し組織により選挙運動を行ったものであり,前記代表取締役は同法251条の3第1項の「当該選挙運動の計画の立案若しくは調整」を行う者に,その他の者は同項の「当該選挙運動に従事する者の指揮若しくは監督」を行う者にそれぞれ当たるから,同人らは同項の「組織的選挙運動管理者等」に当たるなどとして,前記請求を認容した事例
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