裁判例結果詳細

事件番号

昭和54(行ウ)6

事件名

原子炉設置許可処分取消請求事件

裁判年月日

平成6年3月24日

裁判所名

新潟地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 設置許可申請に係る原子炉の周辺住民が提起した原子炉設置の許可の取消訴訟において,同処分の取消しの理由として主張し得る違法事由の範囲 2 内閣総理大臣がした原子炉設置の許可が,適法とされた事例

裁判要旨

1 設置許可申請に係る原子炉の周辺住民が提起した原子炉設置の許可の取消訴訟において,同許可の取消しの理由として主張し得る違法は,周辺住民の法律上の利益に関係のあるものに限られるところ,核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和53年法律第86号による改正前)24条1項3号所定の許可要件のうち技術的能力に係る部分及び同項4号所定の安全性に係る許可要件については,原子炉施設周辺に居住し,原子炉の事故等がもたらす災害により直接的かつ重大な被害を受けることが想定される範囲の住民の生命,身体の安全等を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものであるから,それらの住民は,これらの要件適合性の審査,判断に係る瑕疵を主張し得るし,同法は内閣総理大臣の判断が適正にされることを担保するために厳格な手続を定めていると考えられるから,それが実体上の違法をもたらさないことが明白でない限り,手続上の違法を主張することもできるが,その他の許可要件については,周辺住民の法律上の利益に関係しないから,それらに係る違法事由を主張することはできない。 2 内閣総理大臣がした原子炉設置の許可につき,原子炉施設の安全性の審査を含め,法定の手続に従ってしたものであり,取り消すに足りる手続的違法はなく,また,原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の安全審査の調査審議に用いられた具体的審査基準に不合理な点があるとはいえず,当該原子炉施設がこの審査基準に適合するとした安全審査における調査審議及び判断の過程に看過し難い過誤,欠落があるとも認められないから,これに基づいてした前記許可は実体的にも適法であるとした事例

全文

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