裁判例結果詳細

事件番号

昭和25(う)1505

事件名

地代家賃統制令違反被告事件

裁判年月日

昭和25年10月19日

裁判所名・部

福岡高等裁判所 第一刑事部

結果

棄却

高裁判例集登載巻・号・頁

第3巻3号498頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

所謂権利金と地代家賃統制令の適用

裁判要旨

所謂権利金と云われるものの中にも「ノレン代」の性質を有するものと「賃借権設定の対価」と云わるゝ範疇に属するものとがあるのであつて、(A)前者は賃借家屋又は土地が有する特殊の場所的利益や、永年老舗として世間に著名で信用があつたというような営業上の要素に対する対価として支拂われ、又は之等無形の経済的価値の外に既設の店舗の飾窓、陳列棚、その他の有形的な造作等を加へて一体とし、それに対する対価として支払われるもので賃借土地、家屋の使用収益に対する対価そのものではなく、他の有形無形の営業上の価値に対する対価として支払われるものだから、かような性質を有する権利金は統制令による統制外におかれているものと解するのが相当であるが、之に反し(B)後者即ち「賃借権設定の対価」に属する権利金と呼ばるるものの中にも(一)権利金を支払へば爾後賃借人は賃貸人の承諾を得ずして賃借権を第三者に売渡すことができるという趣旨のものと(二)單に目的物の賃借を欲するためにのみ支払われる趣旨のものとがあるが、何れにせよ(一)のものは譲渡性のある貸借権を取得するために支払われるもので結局は賃借権の対価ということになるから賃料と同一性質を有するもの―賃料の一部ということができるし(二)のものは賃借目的体の需給関係に基く賃料のプレミアムに外ならないから賃料そのものであることは疑ないところである。そして(B)に所謂権利金として授受された金銭が賃貸借終了の際賃借人に返還されない趣旨の場合は勿論返還される趣旨の場合であつても賃貸人は賃貸借の継続する間は無利子で権利金を利用しうるのであつてこの経済上の利益即ち節約しうる金利が賃料に附加されて実質上の賃料を構成するのである。かような性質を有する権利金が統制令の目的から見てその取締の対象とされることは当然で、同令第一一條昭和二三年政令三二〇号による改正後の同令第一二条の二の存する所以である。

全文

全文

ページ上部に戻る