裁判例結果詳細

事件番号

平成16(行ウ)524

事件名

ハンセン病補償金不支給決定取消請求事件

裁判年月日

平成17年10月25日

裁判所名

東京地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律(平成13年法律第63号)に基づく補償の趣旨  2 ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律(平成13年法律第63号)に基づく補償金の支給を受けるための要件  3 第二次世界大戦の終結前の日本統治下における台湾に設置された台湾総督府らい療養所が,ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律(平成13年法律第63号)2条にいう「国立ハンセン病療養所等」に当たるとされた事例  4 ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律(平成13年法律第63号)に基づいてされた補償金の支給請求に対し,同法2条にいう「国立ハンセン病療養所等」に入所していた事実を確認することができないとしてされた不支給決定が,取り消された事例

裁判要旨

1 ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律(平成13年法律第63号)による補償金の支給は,ハンセン病患者が,永年の間,偏見と差別の中で,多大の苦痛と苦難を強いられてきたこと,昭和30年代に至ってハンセン病に対するそれまでの認識の誤りが明白になったにもかかわらず,なお依然としてハンセン病に対する誤った認識や隔離政策が改められなかったことを真しに認めた上で,かつてハンセン病患者の救護,療養施設に入所した者の心身の傷跡の回復と今後の生活の平穏に資するために,同法2条に定める「ハンセン病療養所入所者等」の精神的苦痛の慰謝,名誉の回復,福祉の増進等を目的として,単なる損害賠償ないし損失補償ではなく,特別な政策的考慮に基づいて行われる特別な補償である。  2 ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律(平成13年法律第63号)に基づく補償金の支給を受けるためには,(1)一定の療養所への入所歴の存在,(2)その入所歴が平成8年3月31日までに入所したものであること及び(3)同法の施行日である平成13年6月22日における生存が要件となるが,同法には入所歴が必要とされる時期についての始期を定める条項及び支給者を日本国籍を有する者あるいは日本に居住する者に限ると解すべき根拠となる条項がなく,日本人と外国人とを区別する合理的理由は見当たらないことからすると,入所時期が幾ら古いものであっても支給要件に該当し,その限りでは,時効,除斥類似の問題は生じず,かつ,国籍や居住地による制限もない。  3 第二次世界大戦の終結前の日本統治下における台湾に設置された台湾総督府らい療養所が,ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律(平成13年法律第63号。以下「法」という。)2条にいう「国立ハンセン病療養所等」に当たるかにつき,法は戦前の入所であっても補償金の支給に必要な入所歴の要件を満たすものと認めており,同条の委任を受けてハンセン病療養所について定める厚生労働省告示第224号が,戦前に存在した施設も列記していること,同条は,補償金の支給を受けるために必要な入所歴の対象施設につき,広く,ハンセン病療養所に入所していた者一般の救済を行う規定振りとなっており,前記告示でも,我が国の施政権外であった時期の沖縄所在の施設への入所者や,私立の施設への入所者まで補償金の支給対象としていること,前記告示1号前段は,癩予防法(明治40年法律第11号,昭和28年法律第28号による廃止前。以下「明治40年法」という。)に基づき行政官庁が命令の定めに従って入所させる施設であって,国すなわち担当大臣が法令に基づいて設置,管理していたハンセン病患者の救済及び療養施設を意味するものと解され,これを更に一定の施設に絞り込む解釈は文理上困難であるところ,台湾では,昭和9年10月1日以降,明治40年法が施行され,この施行当時,台湾総督が法令に基づいて設置した台湾総督府らい療養所は前記療養所のみであったことなどからすると,前記療養所は,前記告示1号にいう「明治40年法(中略)第3条第1項の国立癩療養所」に該当し,したがって,法2条にいう「国立ハンセン病療養所等」に当たるとした事例  4 ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律(平成13年法律第63号。以下「法」という。)に基づいてされた補償金の支給請求に対し,同法2条にいう「国立ハンセン病療養所等」に入所していた事実を確認することができないとしてされた不支給決定につき,第二次世界大戦の終結前の日本統治下における台湾に設置された台湾総督府らい療養所は,法2条の委任を受けてハンセン病療養所について定める厚生労働省告示第224号1号にいう「明治40年法(癩予防法(明治40年法律第11号,昭和28年法律第28号による廃止前)を指す。)第3条第1項の国立癩療養所」に当たるから,前記支給請求をした者らは法2条にいう「ハンセン病療養所入所者等」に該当するとして,前記決定を取り消した事例

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