裁判例結果詳細

事件番号

昭和23(れ)246

事件名

恐喝、傷害

裁判年月日

昭和23年6月12日

法廷名

最高裁判所第二小法廷

裁判種別

判決

結果

棄却

判例集等巻・号・頁

集刑 第2号445頁

原審裁判所名

広島高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

昭和22年11月12日

判示事項

一 罪となるべき事實の認定に關する證據説示の程度 二 共謀による傷害行爲と共謀なき多數者の傷害行爲とに對する適用法條 三 恐喝者が自己の爲のみならず他の者の爲にも金員を受領した場合と單獨恐喝罪の成否

裁判要旨

一 刑事訴訟法第三六〇條第一項によつて判決に記載することを要求せられて居る罪となるべき事實を證據により認めた理由の説明はどのような犯罪事實をどのような證據で認めたかに付いて裁判官の推理判斷の由來するところを判決自體から知り得る程度に記載すれば足りるのであつて、必ずしも犯罪事實の各部分に付いて之に該當する證據内容を一々具體的に舉示する必要はない。原判決は判示傷害の事實のうち、傷害の部位程度を其の舉示する醫師の診斷書で、其の他の傷害行爲を其の舉示する他の各證據を綜合して認定したものである目的をもつて本件金員を原審相被告人A及びBから受取り保管していたものであるから被告人の占有に歸した本件金員は被告人の物であるということはできない。又金錢の如き代替物であるからといつて直ちにこれを被告人の財物であると斷定することもできないのであるから本件金員は結局被告人の占有する他人の物であつてその給付者が民法上その返還を請求し得べきものであると否とを問わず被告人においてこれを自己の用途に費消した以上横領罪の成立を妨げないものといわなければならない。 二 被告人外四名が共謀の上本件傷害行爲をしたものであることは前點において説明の通りであるから原判決が之を傷害の共同正犯として刑法第六〇條第二〇四條を適用して處斷したのは正當であつて同法第二〇六條又は第二〇七條は本件のような共同正犯の場合に對して適用すべき規定でないことは云うまでもないところである。論旨はその獨自の立場から本件の傷害が被告人外四名の相互に意思の連絡のない獨立の行爲であることを主張し、之を前提として右兩法條の適用を主張するものであつて、何れも採用に値しない。 三 原判決は被告人外四名がCに對して傷害を與えたのでCが恐れて居るのに乗じて、被告人及び原審相被告人Dの兩名は恐喝の犯意を生じて、Cから金員を喝取したが他の三名はその恐喝行爲に參加しなかつた事實を認定したのであつて、被告人が金員をCから受取るに際して論旨のいうように自己の爲めのみに受取つたのでなく五人の爲めに受け取つたものであるとしても、又Cが被告人に金員を交付するについても、五人の暴行を免れる爲めに五人に交付する意思で偶々近くにいた被告人に交付したものであるとしても、それは被告人に對する本件恐喝罪の成否には何の影響もないことである。

参照法条

刑訴法360條1項,刑法204條,刑法60條,刑法206條,刑法207條,刑法249條

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