裁判例結果詳細

事件番号

昭和25(あ)1020

事件名

私文書僞造公私詐欺、詐欺

裁判年月日

昭和26年2月1日

法廷名

最高裁判所第一小法廷

裁判種別

判決

結果

棄却

判例集等巻・号・頁

集刑 第40号1頁

原審裁判所名

名古屋高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

昭和25年2月28日

判示事項

一 公務員の犯行として最も忌憚すべき性質のものとして刑の執行を猶予しない判決と憲法第一四条 二 刑の執行猶予と裁判所の自由裁量―判例違反に名を籍りて原判決の是認した第一審判決の量刑不当を理由とする上告の適否

裁判要旨

一 原審が第一審の量刑を相当であるとして判示して、被告人に刑の執行猶予を言渡さなかつたのは、被告人の本件犯行が原判決に説示するような公務員の犯行として最も忌憚すべき性質のものであり且つその動機が遊女に溺れて遊興費に窮した結果であると認めその犯情決して軽いものではないと思料したからであることは判文に徴したやすく理解されうるところであつて、所論のように原判決は公務員と公務員に非ざる者を区別し被告人が公務員の身分を有していない者であるなら刑の執行猶予を言渡すのが相当であるが、被告人は公務員の身分を有する者であるから第一審判決の量刑は相当であるとの趣旨を判示していないことは判文上明らかなところである。そして犯情によつて刑の執行を猶予するかしないか等の犯人の処遇を異にすることは憲法第一四条に違反するものでないと解すべきことは、当裁判所大法廷の判例の趣旨とするところである。 二 刑の執行を猶予するか否かは刑の言渡を為すべき裁判官が諸般の事情を参酌して決定すべき裁量事項に属することは当然裁判所の確立した判例である。そして原審はその裁量権に基ずき犯情動機等を斟酌考量して刑の執行猶予を言渡さなかつた第一審判決を是認しただけであつて、何等執行猶予に関する法律上の見解を示してその法律上の判断を与えてはいないのである。されば原判決を以て所論大審院判例(大正一五年(れ)第五一一号事件)に違反すとの論旨後段は結局名を判例違反に籍りてその実原判決の是認した第一審判決の量刑を非難するに帰するから、刑訴法第四〇後条第三号に当らない。

参照法条

憲法14条,刑法25条,刑訴法405条3号

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