労働審判手続について

 労働審判手続とは,個別労働関係民事紛争に関し,労働審判官1人と労働審判員2人とで組織する労働審判委員会が,事件を審理した上,調停を試み,又は事案の実情に即した解決をするために必要な労働審判を行う手続で,これにより,紛争の実情に即した迅速,適正かつ実効的な解決を図ろうとするものです。
 この手続の迅速,適正な進行のため,次の諸点についてご理解・ご協力をお願いします。

申立人へのお願い

  1. 申立書の作成について
     申立書には,労働審判規則9条1項,2項の事項を漏れなく記載するとともに,同条3項の証拠書類の写しを添付してください。また,できる限り,申立てを理由づける事実についての主張とそれ以外の事実についての主張とを区別して,簡潔に記載してください(同規則18条)。
  2. 申立書の提出について
     申立書を提出する際は,①申立書×1,②申立書の写し×(相手方の数+3),③証拠書類の写し×(1+相手方の数)を提出してください(同規則9条3項,4項)。
  3. 弁護士が代理人に付いている場合でも,第1回期日の希望日は,申立人本人が出頭することを前提にお知らせください。

相手方へのお願い

<重要> 定められた答弁書の提出期限は厳守してください。

  1. 答弁書の作成について
     答弁書には,同規則16条1項の事項を漏れなく記載するとともに,同条2項の証拠書類の写しを添付してください。また,できる限り,答弁を理由づける事実についての主張とそれ以外の事実についての主張とを区別して,簡潔に記載してください(同規則18条)。
  2. 答弁書の提出について
    (1)裁判所に対して,①答弁書×1,②答弁書の写し×3,③証拠書類の写し×1を提出してください(同規則16条2項,3項)。
    (2)申立人(弁護士が代理人に付いている場合にはその弁護士)に対して,①答弁書の写し×1,②証拠書類の写し×1を直接送ってください(同規則20条3項1号,4号)。
     その際,受領書欄のある送付書(書式例参照)を添付して,申立人が裁判所に受領書を提出できるようしてください。
  3. 申立書の証拠書類として就業規則が提出されていない場合は,相手方において証拠書類として提出してください。

申立人・相手方双方へのお願い

1充実した事前準備

 労働審判手続は,原則として3回以内の期日で審理を終結することになっており(労働審判法15条2項),そのため,当事者の方は,第1回の期日において主張及び証拠書類の提出を行い,遅くとも第2回の期日が終了するまでには,全てこれを終えなければなりません(同規則27条)。
 当庁では,双方から提出された書類を検討し,労働審判委員会としての事前評議を終えてから,第1回期日を開催しています。そして,第1回期日において争点を把握し,事実関係を知る方からお話を聞いた上で,話合いによる解決を試み,労働審判委員会としての調停案を示すことを目標としております。そこで,第1回期日の前にあらかじめ主張及び証拠の提出に必要な準備を十分に行い,話合いによる解決についても考えて臨んでください。

2補充書面等の提出期限の厳守

 補充書面の提出や証拠の申出をすべき期限が定められた場合には,この期限を厳守してください(同規則19条)。
 なお,補充書面を提出する場合は,(1)裁判所に対して,①補充書面×1,②補充書面の写し×3を提出し(同規則17条2項),(2)反対当事者(弁護士が代理人に付いている場合にはその弁護士)に対して,補充書面の写しを直接送ってください(同規則20条3項2号)。
 その際,受領書欄のある送付書(書式例参照)を添付して,反対当事者が裁判所に受領書を提出できるようにしてください。

3充実した第1回期日の実施

 相手方の答弁に対する反論(申立人),これに対する再反論(相手方)は,原則として,期日において口頭ですることになります(同規則17条1項本文)ので,そのための準備を十分に行っておいてください。
 弁護士が代理人に付いている場合でも,代理人とともに,本人又は代表者も出頭するようにしてください。

4訴訟に移行したら

 次の場合は,労働審判手続は訴訟に移行しますので,その旨の通知等を受けた場合は,訴訟のための準備を進めてください。なお,労働審判事件の記録は訴訟には引き継がれませんので,訴訟において,改めて主張書面及び証拠書類の提出が必要となります。

 ⑴労働審判に対して適法な異議の申立てがあった場合

 ⑵労働審判法23条により労働審判が取り消された場合

 ⑶労働審判法24条1項により労働審判事件が終了した場合