札幌家庭裁判所長

札幌家庭裁判所長

大竹 優子(おおたけ ゆうこ)

札幌家庭裁判所長

略歴

 昭和63年4月に裁判官に任官し、大阪、那覇、東京、盛岡、新潟等の裁判所で勤務し、主に民事事件を担当してきましたが、家事事件・少年事件を担当していた期間もあります。近年の略歴は、次のとおりです。

平成27年7月 横浜地方裁判所判事(部総括)
令和3年6月  札幌高等裁判所判事(部総括)
令和5年6月  札幌家庭裁判所長

御挨拶

 このたび、札幌家庭裁判所長に就任いたしました。出身は大阪ですが、北海道は何度も観光で訪れたことがあり、引き続き豊かな自然に恵まれたこの地で勤務できることを大変嬉しく思っております。
 私が家事事件・少年事件を担当していたのは、もう20年以上も前のことになります。当時、成年後見制度は未だ導入されておらず、取引能力が不十分な者の財産の減少を防止するという観点から、禁治産及び準禁治産の制度があるのみで、その利用件数も限られていました。また、子の引渡しに関する紛争についても、人身保護法による救済が例外的なものとなり、家庭裁判所の手続に委ねる流れが定着しつつありましたが、事案が複雑で解決が困難な案件は、今ほど多くはなかったとの印象を持っています。
 その後、少子高齢化をはじめとして、家庭や家族の在りようは大きく変わりました。平成12年4月に成年後見制度が導入され、高齢化の進展に伴い、成年後見関係事件は年々増加していて、家庭裁判所の事務の中でも大きな割合を占めるようになってきています。また、離婚の増加、少子化傾向、男性の育児参加等の子の養育環境の変化を背景として、子の監護養育をめぐる紛争では、紛争性が強く、複雑で解決困難な事案が増加しているとの印象を持っています。少年事件についても、少年を取り巻く環境が変化し、少年の非行内容が複雑多様化しています。このように家庭裁判所の取り扱う事件の内容は変容し、家庭裁判所に期待される役割は、ますます大きくなっているように感じています。
 家庭裁判所が取り扱う事件は、家庭の在りようや少年の健全育成に深くかかわるものですから、これを適正迅速に解決することは、家庭裁判所に委ねられた重要な使命であると考えます。家庭における紛争や問題が複雑困難化するなかでも、納得性の高い結論をできる限り速やかに導き出せるよう、家庭裁判所の紛争解決機能を一層充実・強化しなければなりません。また、成年後見制度についても、関係機関と積極的に連携しながら、同制度を適切に運用していくことが求められています。併せて、現在、裁判所全体において取り組んでいるデジタル化について、家庭裁判所においてもこれを積極的に推進することにより、家庭裁判所が、利用者である国民の皆様にとって、より利用しやすい裁判所となるようにする必要があります。
 こうした課題に取り組みながら、社会や時代の要請を的確に見据え、皆様の御期待と御信頼に応えることができるよう、職員一同とともに力を尽くしてまいりたいと思います。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。