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昭和五十一年五月十五日最高裁判所規則第二号
改正 昭和五九年三月二日最高裁判所規則第一号
平成八年一二月一七日同第六号
同一五年三月一九日同第七号
船舶所有者等責任制限事件手続規則を次のように定める。
船舶所有者等責任制限事件手続規則
目次
第一章 責任制限手続の開始(第一条-第十条)
第二章 責任制限手続の拡張(第十一条・第十二条)
第三章 管理人(第十三条-第十五条)
第四章 責任制限手続への参加(第十六条-第二十条)
第五章 制限債権の調査及び確定(第二十一条-第二十四条)
第六章 配当(第二十五条-第三十一条)
第七章 責任制限手続の廃止(第三十二条)
第八章 費用(第三十三条-第三十七条)
第九章 雑則(第三十七条の二-第三十九条)
附則
第一章 責任制限手続の開始
(手続開始の申立て)
第一条 責任制限手続開始の申立ては、書面でしなければならない。
2 申立書には、次の事項を記載しなければならない。
一 申立人の氏名又は名称及び住所並びに申立人が法人である場合にあつては、その代表者の氏名
二 代理人の氏名及び住所
三 申立ての趣旨
四 事故の原因
五 申立人と事故に係る船舶、救助船舶又は救助者との関係
六 申立ての日において知れている最終の一単位の額により算定した責任限度額及びその算出の基礎
七 制限債権(事故発生後の利息又は不履行による損害賠償若しくは違約金の請求権を除く。第十一条第二項第五号において同じ。)の原因並びに額及びその算定の基礎
八 知れている制限債権者の氏名又は名称及び住所
九 知れている受益債務者の氏名又は名称及び住所並びにその者と事故に係る船舶、救助船舶又は救助者との関係
(昭五九最裁規一・一部改正)
(供託命令の送達)
第二条 船舶の所有者等の責任の制限に関する法律(昭和五十年法律第九十四号。以下「法」という。)第十九条第一項の規定による決定は、申立人に送達しなければならない。
(昭五九最裁規一・一部改正)
(供託書正本の提出)
第三条 法第十九条第一項の規定による決定に基づく供託をした旨の届出に際しては、供託書正本を提出しなければならない。 2 前項の規定は、法第二十一条第一項(法第三十条第二項において準用する場合を含む。)の規定による届出、法第二十二条第五項(法第三十条第二項において準用する場合を含む。)の規定による報告及び法第三十条第一項の規定による決定に基づく届出について準用する。
(昭五九最裁規一・一部改正)
(供託委託契約の締結についての許可の申立て)
第四条 法第二十条第一項(法第三十条第二項において準用する場合を含む。)の許可を申し立てる場合には、受託者及び当該契約に係る一定の額を明らかにしなければならない。
(供託委託契約書又はその謄本の提出)
第五条 法第二十条第一項(法第三十条第二項において準用する場合を含む。)に規定する届出に際しては、契約書又はその謄本を提出しなければならない。
(指定日を定める決定の送達)
第六条 法第二十一条第一項(法第三十条第二項において準用する場合を含む。)に規定する指定日を定める決定は、受託者に送達しなければならない。
(管理人に支払うべき旨の命令の送達)
第七条 法第二十二条第二項(法第三十条第二項において準用する場合を含む。)の規定による決定は、受託者及び管理人に送達しなければならない。
(責任制限手続開始の決定書)
第八条 責任制限手続開始の決定書には、決定の年月日時を記載しなければならない。
(申立てに関する書類の備置き)
第九条 責任制限手続開始の申立てに関する書類は、利害関係人の閲覧に供するため裁判所に備えて置かなければならない。
(開始決定を取り消す決定の公告等をする裁判所)
第十条 法第三十一条の規定により公告及び送達をする裁判所は、責任制限手続開始の決定をした裁判所とする。
第二章 責任制限手続の拡張
(手続拡張の申立て)
第十一条 責任制限手続拡張の申立ては、書面でしなければならない。
2 申立書には、次の事項を記載しなければならない。
一 申立人の氏名又は名称及び住所並びに申立人が法人である場合にあつては、その代表者の氏名
二 代理人の氏名及び住所
三 申立ての趣旨
四 申立ての日において知れている最終の一単位の額により算定した責任限度額
五 制限債権の原因並びに額及びその算定の基礎
六 知れている制限債権者の氏名又は名称及び住所
(昭五九最裁規一・一部改正)
(準用規定)
第十二条 第二条から第十条までの規定は、責任制限手続の拡張の手続について準用する。
第三章 管理人
(資格証明書の交付等)
第十三条 裁判所は、管理人に対しその選任を証する書面を交付しなければならない。
2 管理人は、その職務を行うに当たり、利害関係人の請求があるときは、前項の書面を示さなければならない。
(管理人の辞任)
第十四条 管理人は、正当な理由があるときは、裁判所の許可を得て辞任することができる。
(任務終了の場合の緊急処分)
第十五条 管理人の任務終了の場合において、急迫の事情があるときは、管理人又はその相続人は、後任の管理人がその職務を行うことができるまで必要な処分をしなければならない。
第四章 責任制限手続への参加
(制限債権の届出)
第十六条 責任制限手続に参加するための届出は、書面でしなければならない。
2 法第四十七条第一項の規定による参加の届出書には、次の事項を記載しなければならない。
一 責任制限事件の番号
二 参加しようとする者の氏名又は名称及び住所並びに参加しようとする者が法人である場合にあつては、その代表者の氏名
三 制限債権の原因並びに額及びその算定の基礎
四 法第六条第一項から第三項までに規定する責任の制限の場合にあつては、人の損害に関する債権と物の損害に関する債権との別
3 法第四十七条第二項から第四項までの規定による参加の届出書には、前項各号に掲げる事項のほか、制限債権者の氏名又は名称及び住所並びに制限債権者が法人である場合にあつては、その代表者の氏名並びに参加しようとする者が制限債権を有するものとみなされる事由を記載しなければならない。
4 前二項の届出書には、証拠書類又はその謄本若しくは抄本を添付しなければならない。
(昭五九最裁規一・一部改正)
(変更の届出)
第十七条 前条第一項及び第四項の規定は、法第五十一条第一項の規定による届出について準用する。
(地位の承継の届出)
第十八条 法第五十二条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により参加した者の地位を承継するための届出は、書面でしなければならない。
2 届出書には、次の事項を記載しなければならない。
一 責任制限事件の番号
二 承継しようとする者の氏名又は名称及び住所並びに承継しようとする者が法人である場合にあつては、その代表者の氏名
三 取得した債権並びにその取得の日及び原因
(債権表の作成等)
第十九条 裁判所書記官は、届出のあつた制限債権について債権表を作り、届出に係る事項を記載しなければならない。
2 裁判所書記官は、債権表の謄本を管理人に交付しなければならない。
(制限債権届出書類及び債権表の備置き)
第二十条 制限債権の届出に関する書類及び債権表は、利害関係人の閲覧に供するため裁判所に備えて置かなければならない。
第五章 制限債権の調査及び確定
(期日の延期等に関する書面の送達)
第二十一条 制限債権の調査の延期若しくは続行により調査期日が指定されたとき、又はその期日が変更されたときは、当該期日を記載した書面を管理人、申立人並びに知れている制限債権者及び受益債務者に送達しなければならない。ただし、言渡しがあつたときは、この限りでない。
2 前項の規定による送達は、書面を通常の取扱いによる郵便に付し、又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者の提供する同条第二項に規定する信書便の役務を利用して送付する方法によりすることができる。
(平一五最裁規七・一部改正)
(代理権の証明)
第二十二条 法第五十八条の規定により制限債権の調査期日に出頭する代理人は、代理権を証する書面を提出しなければならない。
(債権表への記載)
第二十三条 裁判所書記官は、制限債権の調査の結果、査定の裁判において定められた事項及び査定の裁判に対する異議訴訟の結果を債権表に記載しなければならない。
(査定の裁判に対する異議訴訟の目的の価額)
第二十四条 査定の裁判に対する異議訴訟の目的の価額は、配当の予定額を標準として責任制限裁判所が定める。
第六章 配当
(配当表の記載事項)
第二十五条 配当表の記載事項は、次のとおりとする。
一 配当に加えるべき制限債権者の氏名又は名称
二 配当に加えるべき制限債権の額
三 配当することのできる金銭の額
四 配当率
五 各制限債権者に配当すべき金銭の額
(配当表の備置き)
第二十六条 裁判所が認可した配当表は、利害関係人の閲覧に供するため裁判所に備えて置かなければならない。
(配当表に対する異議についての裁判の送達及び備置き)
第二十七条 配当表に対する異議についての裁判は、異議を申し立てた者に送達しなければならない。
2 配当表に対する異議についての裁判において配当表の更正を命じたときは、その決定書は、利害関係人の閲覧に供するため裁判所に備えて置かなければならない。
(配当実施の時期)
第二十八条 管理人は、法第七十二条第一項に規定する期間が経過した後、遅滞なく、配当を実施しなければならない。ただし、配当表に対する異議の申立てがあつたときは、異議についての裁判が確定した後でなければ、配当を実施することができない。
(配当保留の申出等の方式)
第二十九条 法第七十三条の規定による配当の保留の申出及び法第七十八条第一号の規定による配当の請求は、書面でしなければならない。
(手続から除斥される債権の届出)
第三十条 届出に係る債権が手続外訴訟において制限債権でないことに確定したときは、当該訴訟の当事者は、その旨を責任制限裁判所に届け出なければならない。この場合においては、当該債権が制限債権でないことに確定したことを証する書面を提出しなければならない。
(配当実施完了の報告)
第三十一条 配当の実施が完了したときは、管理人は、直ちに、その旨を裁判所に報告しなければならない。
第七章 責任制限手続の廃止
(廃止決定を取り消す決定の公告等をする裁判所)
第三十二条 法第八十七条第一項又は同条第二項において準用する法第三十一条第二項の規定により公告及び送達をする裁判所は、責任制限裁判所とする。
第八章 費用
(費用等の基金からの立替え等)
第三十三条 法第八十二条第三号に該当する場合において、同条ただし書に規定する事由があるときは、管理人は、裁判所の許可を得て基金から法第九十条に規定する費用等の概算額の支払を受けることができる。
2 管理人は、前項の支払を受けたときは、直ちに、これを裁判所に納付しなければならない。
3 前項の規定により納付された金銭で第一項の費用等として支出しないことが明らかになつたものについては、責任制限裁判所は、これを管理人に返還すべき旨を定めなければならない。
4 管理人は、前項の規定により定められた金銭の返還を受けたときは、直ちに、これを申立人のために基金として供託し、かつ、その旨を裁判所に報告しなければならない。
5 前項の規定により管理人がした供託は、申立人が供託者としてした供託とみなす。
6 第三条第一項の規定は、第四項の規定による報告について準用する。
第三十四条 法第九十二条第三項の規定による決定は、申立人及び管理人に送達しなければならない。
(訴訟費用の基金からの立替え等)
第三十五条 管理人は、裁判所の許可を得て基金から査定の裁判に対する異議の訴えを追行するために必要な訴訟費用の概算額の支払を受けることができる。
2 前項の規定により支払を受けた金銭で同項の訴訟費用として支出しなかつたものについては、管理人は、直ちに、これを申立人のために基金として供託し、かつ、その旨を裁判所に報告しなければならない。
3 第三十三条第五項の規定は前項の規定により管理人がした供託について、同条第六項の規定は前項の規定による報告について準用する。
(取立不能の報告)
第三十六条 法第九十二条第一項又は法第九十三条第二項の規定により立て替えた費用等又は訴訟費用の取立てが不能であるときは、管理人は、その旨及びその理由を裁判所に報告しなければならない。
(取り立てた費用等の供託の報告)
第三十七条 管理人は、法第九十四条第一項の規定による供託をしたときは、直ちに、その旨を裁判所に報告しなければならない。
2 第三条第一項の規定は、前項の規定による報告について準用する。
第九章 雑則
(民事訴訟規則の準用)
第三十七条の二 特別の定めがある場合を除き、責任制限手続に関しては、民事訴訟規則(平成八年最高裁判所規則第五号)の規定を準用する。
(平八最裁規六・追加)
(送達に代わる公告)
第三十八条 法又はこの規則の規定によつて送達を受けるべき者の住所、居所その他送達をすべき場所を知ることが困難である場合においては、裁判所は、公告をもつてその送達に代えることを命ずることができる。
(基金からの支払の方法)
第三十九条 基金からの支払は、管理人の支払委託の方法によつて行う。
附則
この規則は、昭和五十一年九月一日から施行する。
附則(昭和五九年三月二日最高裁判所規則第一号)抄
(施行期日)
1 この規則は、船舶の所有者等の責任の制限に関する法律の一部を改正する法律(昭和五十七年法律第五十四号)の施行の日(昭和五十九年五月二十日)から施行する。
附則(平成八年一二月一七日最高裁判所規則第六号)抄
(施行期日)
第一条 この規則は、民事訴訟法(平成八年法律第百九号。以下「新法」という。)の施行の日から施行する。
(施行の日=平成一〇年一月一日)
附則(平成一五年三月一九日最高裁判所規則第七号)
この規則は、民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十四年法律第百号)及び日本郵政公社法施行法(平成十四年法律第九十八号)の施行の日(平成十五年四月一日)から施行する。