東京高等裁判所の紹介

東京高等裁判所の歴史

 わが国において,司法関係事務を取り扱う裁判所は,明治になって創設され,以後,多くの変遷を経ています。下級裁判所としての東京高等裁判所の歴史は,明治8年に大審院が設置されるに伴って置かれた「東京上等裁判所」まで遡ることができますが,その後,制度の変遷に伴って,明治15年に「東京控訴裁判所」,明治19年に「東京控訴院」,昭和22年に「東京高等裁判所」と改称されました。平成17年には,知的財産のグローバル化に対応し,知的財産関係の裁判の一層の充実及び迅速化を図るため,特別の支部として「知的財産高等裁判所」が設置され,現在に至っています。

 この間,わが国の司法制度上,特に重要な出来事といえるのは,明治22年の大日本帝国憲法(明治憲法)の公布とその翌年の裁判所構成法の公布です。なぜなら,これにより,わが国は三権分立の制度を基調とする立憲国家となり,近代的な司法制度が確立したといえるからです。また,昭和21年の日本国憲法の公布とその翌年の裁判所法の公布は,現在のわが国の司法制度が整備されたということで,最も重要な出来事であるのは言うまでもありません。

東京高等裁判所の庁舎

 制度や名称の変遷と同様,東京高等裁判所の庁舎も,諸所を転々としました。この間,明治29年には,大審院,東京控訴院,東京刑事地裁の3庁合同庁舎(最高裁判所旧庁舎)が,現在の千代田区霞が関に建設されましたが,この庁舎は,赤煉瓦で親しまれ,司法省とともに明治中葉における最も優秀な建築物と称されました。

 現在の東京高等裁判所の庁舎は,東京高等裁判所,東京地方裁判所及び東京簡易裁判所(刑事部)の合同庁舎として,千代田区霞が関の官庁街の一角(最高裁判所旧庁舎の跡地)にあります。昭和58年に完成したこの庁舎は,地上19階,地下3階建てで,150を超える法廷を持ち,延べ床面積は約14万平方メートル(東京ドームのグラウンド面積の約10倍)という大きな庁舎です。また,1日の利用者も1万人を超えると言われており,名実共に世界有数のマンモス裁判所であるといえるでしょう。

 この庁舎の特徴として,低い階に法廷部門を集中的に配し,事務室部門を高い階に配置するなど,利用しやすく機能的な造りとなっている点が挙げられます。

管轄区域

 東京高等裁判所の管轄区域は,1都10県(東京都,神奈川県,埼玉県,千葉県,茨城県,栃木県,群馬県,静岡県,山梨県,長野県,新潟県)です。その中に地方裁判所及び家庭裁判所の本庁がそれぞれ11庁(各県庁所在地),地方裁判所支部及び家庭裁判所支部がそれぞれ46庁,家庭裁判所出張所が16庁,簡易裁判所が107庁あります。

組織の概要

 東京高等裁判所は,東京高等裁判所長官及び判事によって組織されています。  裁判部門は,民事部20か部,刑事部10か部,特別部5か部が設けられ,それぞれ3人(事件によっては5人)の裁判官による合議制で審理されます。

  また,裁判事務の合理的,効率的な運用を図るために司法行政部門があります。東京高等裁判所の司法行政部門は,意思決定機関としての裁判官会議の下に,事務局(総務課,人事課,会計課,管理課)及び判例委員会が置かれています。

 なお,東京高等裁判所には,特別な支部として知的財産高等裁判所が設置されています。

管内及び東京高等裁判所の裁判官数及びその他の職員数

裁判官数及び職員数
裁判所名裁判官一般職
東京高等裁判所管内1,4137,2248,637
東京高等裁判所181404585

※令和5年4月現在

図版:東京高等裁判所機構図