略式な手続である支払督促は,民事訴訟法で「金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求」について利用できると定められています。つまり,支払督促の目的は金銭や代替可能なものなどの給付に限られ,その価額に制限は設けられていません。

 よって,各請求の目的物に注目して考えると,古ぼけた船を撤去するという行為を求めた②と,九鬼水軍の大将が記したらしい古文書という唯一無二の特定物の引渡しを求めた③は,いずれも支払督促の目的にはならず,代金(金銭)の支払を求めた①のみが,支払督促の利用が可能となります。