民事裁判手続のデジタル化とは?改正民訴法等で変わる民事訴訟手続の概要

遅くとも令和8年5月までに施行される改正民事訴訟法・改正民事訴訟規則(以下「改正民訴法等」といいます。)の下では、民事訴訟手続が全面的にデジタル化されることになります。この改正によれば、誰でも、訴えの提起や裁判書類の送達などについて、裁判所のシステムを通じて、オンラインで行うことができるようになります。また、弁護士などの訴訟代理人等には、このようなオンラインによる手続が義務化されることになります。ここでは改正民訴法等の下で可能となるオンライン手続の概要について説明します。

現行法の下での民事訴訟手続の概要については、「民事訴訟」をご覧ください。

1 電子申立て等

改正民訴法の下では、誰でも、裁判所のシステムを利用して、オンラインにより訴えを提起したり、準備書面を提出したりすることができるようになります(改正民訴法132条の10第1項
※裁判所のシステムを利用するためのアカウント登録等については、「mintsの概要等」をご覧ください。
 

●操作説明動画

mints操作説明動画~新規申立(基本)編~(1/3 当事者・代理人情報入力)

mints操作説明動画~新規申立(基本)編~(2/3 申立内容・添付書類・参考事項入力・提出)

mints操作説明動画~新規申立(基本)編~(3/3 提出後・証拠アップロード・出力書面の印刷)

2 電子納付

訴えの提起等のために必要な申立て手数料は、現在、収入印紙を訴状などに貼付して納付する必要がありますが、改正民訴法と同時に施行される改正後の民事訴訟費用等に関する法律(以下「改正費用法」といいます。)の下では、原則として、ペイジーを利用して現金で納付することになります。
また、現在は申立て手数料とは別に、送達のための郵便費用をあらかじめ納付する必要がありますが、改正費用法の下では、申立て手数料に一本化されることになるため、郵便費用を納付する必要はなくなります。
※現在の手数料については、「手数料」をご覧ください。
改正費用法の下での手数料額については改正費用法の下における手数料額早見表(PDF:200.4KB)をご覧ください。

3 インターネットによる送達・送付(直送)

裁判所のシステムを利用してオンラインで送達を受ける旨を届け出ることで、例えば、電子判決書などの裁判書類について、オンラインで送達を受けることができるようになります(改正民訴法109条の2)。
具体的には、裁判所書記官が裁判所のシステムに裁判書類をアップロードすると、当事者が裁判所のシステム上でその裁判書類を閲覧又はダウンロードすることができるようになるとともに、裁判所のシステムに登録された電子メールアドレスに宛てて、その旨の通知が発せられることによって、オンラインによる送達が行われます。
この送達の効力は、当事者が裁判所のシステムにサインインして、①その裁判書類を閲覧した時、②ダウンロードした時、③閲覧又はダウンロードすることができる旨の措置が取られた旨の通知が発せられた日から1週間を経過した時のいずれか早い時に生じることになります。

●操作説明動画

mints操作説明動画~記録一覧のダウンロード・閲覧・印刷、アクセス状況の記録・システム送達メール編~

4 証拠調べ

証拠については、現在、紙媒体の契約書などの文書を書証として提出するほか、例えば、動画等が記録されたDVD-Rなどを準文書として提出することができ、裁判所にあらかじめ書証の写しを提出する必要があります。改正民訴法全面施行後であっても、書証や準文書を提出できることに変わりはありませんが、訴えの提起の場合と同様に、オンラインで書証の写しに代わる画像情報(PDF形式)を提出することができるようになります。

また、改正民訴法では、このような証拠方法に加えて、新たに、電磁的記録そのものを証拠調べの対象とする「電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べ」の規定が定められました。この証拠申出をする場合には、裁判所にあらかじめ電磁的記録の複製を提出する必要があり、記録媒体に記録して提出するかオンラインにより提出することになります(電磁的記録の複製のファイル形式は、原則としてPDF形式、MP4形式、MP3形式、JPEG形式又はPNG形式とする必要があります。これらのファイル形式に変換できない場合は記録媒体により提出することになります。)。


さらに、改正民訴法の下では、証人尋問等に関し、一定の要件の下で、証人等が裁判所以外の場所に出頭して、ウェブ会議の方法により証人尋問等をすることが可能となりました。

5 電磁的記録の閲覧・複写(ダウンロード)

改正民訴法の下では、訴訟当事者が裁判所のシステムを利用してオンラインにより訴えを提起したり、オンラインによる送達を受けたりする場合には、基本的には、常時、裁判所のシステム上の電磁的記録を閲覧・ダウンロードすることができるようになります。

6 執行手続

民事執行手続については、遅くとも令和10年6月までに手続が全面デジタル化されることになりますが、改正民訴法全面施行時(遅くとも令和8年5月まで)には、全面デジタル化されるわけではありませんので、引き続き、裁判所に書面で申し立てていただく必要があります。
※民事執行手続については、「強制競売」をご覧ください。

もっとも、
例えば、強制競売の申立てを行う場合、現在、執行力のある債務名義の正本の提出が必要ですが、改正民訴法全面施行後に訴えが提起された事件については、執行力のある債務名義の正本に代わりその記録事項証明書の提出が必要になるほか、債務名義等の「事件特定情報」を書面により提供することで、債務名義等の記録事項証明書の提出を省略することができます。

7 旧法適用事件と新法適用事件の区別

オンラインにより訴えを提起したり、オンラインにより送達を受けたりすることができるのは、改正民訴法が全面施行されて以降に提起する訴え等に限られます。
改正民訴法全面施行前に提起された訴えについては、現在と同様、引き続き、書面により、審理を行ったり、送達を受けたりすることになります。

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