1. 概要
家庭裁判所は,任意後見契約が登記されている場合において,精神上の障害(認知症,知的障害,精神障害など)によって,本人の判断能力が不十分な状況にあるときは任意後見監督人を選任することができます。任意後見監督人の選任により,任意後見契約の効力が生じ,契約で定められた任意後見人が,任意後見監督人の監督の下に,契約で定められた特定の法律行為を本人に代わって行うことができます。
なお,本人以外の方の請求により任意後見監督人選任の審判をするには,本人の同意を得る必要があります(ただし,本人が意思表示できないときは必要ありません。)。
2. 申立人
- 本人(任意後見契約の本人)
- 配偶者
- 四親等内の親族
- 任意後見受任者
3. 申立先
本人の住所地の家庭裁判所
管轄裁判所を調べたい方はこちら
4. 申立てに必要な費用
- 申立手数料 収入印紙800円分
- 連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所へ確認してください。なお,各裁判所のウェブサイトの「裁判手続を利用する方へ」中に掲載されている場合もあります。)
- 登記手数料 収入印紙1400円分(既に登記印紙1400円分をお持ちの方は,当分の間,それによって納付していただくこともできます。)
※ 本人の精神の状況について鑑定をする必要がある場合には,申立人にこの鑑定に要する費用を負担していただくことがあります。
5. 申立てに必要な書類
(1) 申立書 (6の書式及び記載例をご利用ください。)
(2) 標準的な申立添付書類
- 本人の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 任意後見契約公正証書の写し
- 本人の成年後見等に関する登記事項証明書(法務局・地方法務局の本局で発行するもの。取得方法,証明申請書の書式等については法務省のホームページを御覧ください。)
- 本人の診断書(家庭裁判所が定める様式のもの。書式等については成年後見制度における鑑定書・診断書作成の手引を御覧ください。ただし,ここに掲載された書式は一般的な書式であり,家庭裁判所によっては,項目を付加するなど適宜変更した書式を用意している場合があります。詳細は管轄の家庭裁判所にお問い合わせください。)
- 本人の財産に関する資料(不動産登記事項証明書(未登記の場合は固定資産評価証明書),預貯金及び有価証券の残高が分かる書類(通帳写し,残高証明書等)等)
- 任意後見監督人の候補者がある場合にはその住民票又は戸籍附票(*)
(*)任意後見監督人の候補者が法人の場合には,当該法人の商業登記簿謄本
※ 同じ書類は1通で足ります。
※ 審理のために必要な場合は,追加書類の提出をお願いすることがあります。
また,申立時に,申立書のほか,各家庭裁判所が定める書式(財産目録,収支予定表,事情説明書等)に記入していただくこともあります。この書式は,各裁判所のウェブサイトの「裁判手続を利用する方へ」中に掲載されている場合もあります。
6. 申立書の書式及び記載例
7. 手続の内容に関する説明
- 1.任意後見監督人は,どのような仕事を行うのですか。
- 任意後見監督人の仕事は,任意後見人が任意後見契約の内容どおり,適正に仕事をしているかを,任意後見人から財産目録などを提出させるなどして,監督することです。また,本人と任意後見人の利益が相反する法律行為を行うときに,任意後見監督人が本人を代理します。任意後見監督人はその事務について家庭裁判所に報告するなどして,家庭裁判所の監督を受けることになります。
- 2.任意後見監督人にはどのような人が選ばれるのですか。
- 任意後見監督人の仕事の内容(Q1)から,本人の親族等ではなく,第三者(弁護士,司法書士,社会福祉士,税理士等の専門職や法律,福祉に関わる法人など)が選ばれることが多くなっています。任意後見受任者本人や,その近い親族(任意後見受任者の配偶者,直系血族及び兄弟姉妹)は任意後見監督人にはなれません。また,本人に対して訴訟をし,又はした者,破産者で復権していない者等も同様です。
- 3.任意後見監督人には報酬が支払われるのですか。
- 任意後見監督人から報酬の請求があった場合は,家庭裁判所の判断により,本人の財産から支払われることになります。
-
4.1. 本人の判断能力が不十分な状況になりましたが,任意後見契約の内容だけでは本人が保護できない場合に法定後見制度を利用することができますか。
2. 後見開始等の審判がされた場合,任意後見契約の効力はどうなりますか。 - 1. 法定後見制度を利用することができます。ただし,本人の利益のために特に必要があると認められるときに限ります。
- 2. 任意後見監督人が選任される前に後見開始等の審判がされた場合は,任意後見契約の効力は失われませんが,任意後見監督人が選任された後に後見開始等の審判がされた場合は,任意後見契約は終了します。