裁判手続 家事事件Q&A

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第1 家事事件とその手続

第2 人事訴訟とその手続

第3 夫婦に関する問題(離婚,円満調整など)

第4 子供に関する問題(養育費,親権など)

第5 養子縁組に関する問題

第6 扶養及び親族に関する問題

第7 相続に関する問題

第8 遺産分割に関する問題

第9 遺言に関する問題

第10 戸籍及び氏名に関する問題

第11 成年後見に関する問題

第12 医療観察法に基づく手続における保護者の選任に関する問題

第13 行方不明者に関する問題

家事事件とはどのようなものですか。民事の裁判手続とはどのようなところが違うのでしょうか。
家庭に関する事項を解決するための手続ですから,法律的判断のみでなく,相互の感情的な対立を解消することが求められ,また,その性質上,個人のプライバシーに配慮し,裁判所が後見的な見地から関与する必要があり,そのため,民事訴訟のように,公開の法廷で法律的判断を中心に進められるのではありませんし,職権主義の下に具体的妥当性を図りながら処理する仕組みになっています。
→詳しくは「家事事件について」の「家事事件とは」及び「審判手続一般」,「調停手続一般」をご覧ください。
家事手続案内とはどのようなものですか。
家庭裁判所では,家庭裁判所の手続を利用しやすいものとするために,審判や調停の手続についての説明,案内を行っています。
 詳しくは「家事事件について」の「家事手続案内」をご覧ください。
審判とはどのようなものですか。
家庭に関する紛争のうち,家庭裁判所の審判手続で取り扱う一定の事項について,裁判官が,当事者から提出された書類や家庭裁判所調査官の行った調査の結果等種々の資料に基づいて判断を決定する手続です。
  →詳しくは「家事事件について」の「審判手続一般」をご覧ください。
調停とはどのようなものですか。
裁判官一人と民間の良識のある人から選ばれた調停委員二人以上で構成される調停委員会が,当事者双方から事情を尋ねたり,意見を聴いたりして,双方が納得の上で問題を解決できるように,助言やあっせんを図る手続です。
 →詳しくは「家事事件について」の「調停手続一般」をご覧ください。
調停や審判での取決めが守られない場合には,どうすればよいでしょうか。
履行勧告手続を利用することができます。
 →詳しくは「家事事件について」の「履行勧告手続等」をご覧ください。
家事調停や家事審判の期日で,テレビ会議システムを利用することができるのは,どのような場合でしょうか。
調停や審判においては,原則として呼出しを受けた当事者本人が調停等の手続の期日に出席しなければなりませんが,当事者が遠方に住んでいて調停等を行う家庭裁判所まで出向くことが困難であるなど,家庭裁判所が相当と認めるときは,当事者の意見を聴いた上で,テレビ会議システムを利用して,期日における手続を行うことができます(家事事件手続法258条1項,54条)。
 テレビ会議システムを利用するかどうかについては,実際に調停等を行う裁判所が,当事者の意向や具体的な事情をうかがった上で判断することになりますが,利用が認められた場合には,遠方に住んでいる当事者の方は,お近くのテレビ会議システムが設置されている裁判所に出向いていただくことになります。
 なお,離婚又は離縁についての調停については,テレビ会議システムの方法によって調停を成立させることはできないなど,法律上,一定の制限が設けられています(家事事件手続法268条3項,277条2項)。
 家庭裁判所では,家事事件手続法の趣旨を踏まえ,家事事件の手続が国民にとってより利用しやすいものとなるよう,テレビ会議システムの適切な運用を進めていきたいと考えていますので,遠方に居住しているなどの事情のある方は,調停等を行う家庭裁判所にご相談ください。
夫婦の離婚,養親子の離縁,子どもの認知など,夫婦,親子等の関係について争いがあるとき,家庭裁判所では,どのような手続を利用できますか。
そのような争いは,基本的に話合いにより解決するのが適当だと思われますので,まずは,家事調停を申し立てていただくことになります。家事調停で解決ができない場合に,人事訴訟を起こすことになります。
 →人事訴訟の手続については「家事事件について」の「第4 人事訴訟手続」を,家事調停の手続については「家事事件について」の「第3 家事調停手続一般」をご覧ください。
人事訴訟とは,どのようなものですか。
夫婦,親子等の関係についての争いを解決する訴訟を,「人事訴訟」と言います。
 人事訴訟のうち,代表的なものは離婚訴訟です。離婚訴訟では,財産分与や子どもの養育費などについても家庭裁判所で同時に決めてほしいと申し立てることができます。また,離婚訴訟とともに,離婚に伴う慰謝料を求める訴訟を起こすこともできます。
人事訴訟は,家事調停とどう違うのですか。
家事調停は,調停委員会が当事者双方の話合いを進め,合意による円満な解決を目指す手続ですが,人事訴訟は,当事者双方が言い分を述べ合い,言い分を裏付ける証拠を出し合った上で,裁判官の判決による解決を図る手続です。家事調停は非公開ですが,人事訴訟は特別な事情がある場合を除いて公開の法廷で行われます。
 →人事訴訟の手続については「家事事件について」の「第4 人事訴訟手続」を,家事調停の手続については「家事事件について」の「第3 家事調停手続一般」をご覧ください。
人事訴訟は,どこに起こせばよいのですか。
原則として,当事者(離婚であれば夫または妻)の住所地を受け持つ家庭裁判所です。ただし,その家庭裁判所と人事訴訟を起こす前に家事調停を取り扱った家庭裁判所とが違う場合は,家事調停を取り扱った家庭裁判所で人事訴訟を取り扱うこともあります。
人事訴訟を起こすには,どうすればよいのですか。
訴状,手数料,郵便切手,戸籍謄本などが必要です。手数料や郵便切手の額,必要な書類及び部数については,窓口でお尋ねください。
  →離婚訴訟の概要や手続についてはこちらを,定型的な離婚の訴状用紙とその記入例については,こちらをご覧ください。
人事訴訟を起こされたときは,どうすればよいのですか。
家庭裁判所から,訴状や,期日の呼出状などが届きます。相手の言い分に反論して自分の言い分を示すために,答弁書を提出して,呼出状に記載された期日に裁判所にお越しください。
 →離婚訴訟の概要や手続についてはこちらを,定型的な離婚の答弁書用紙とその記入例については,こちらをご覧ください。
現在地方裁判所で人事訴訟が係属している場合は,どうなるのですか。
引き続き地方裁判所で審理,裁判されます。なお,参与員や家庭裁判所調査官の関与は,地方裁判所で係属している事件には適用されません。
 →人事訴訟の手続については「家事事件について」の「第4 人事訴訟手続」をご覧ください。
離婚をしたいと思うのですが,話合いがつきません。どうすればよいでしょうか。
夫婦関係調整の調停を利用することができます。
 →申立手続等については「家事事件について」の「夫婦関係調整(離婚)」をご覧ください。
夫婦間で離婚には合意しているのですが,子供をどちらが養育するかについて話合いがつきません。どうすればよいでしょうか。
夫婦関係調整の調停を申し立て,その調停の中で離婚後にどちらが子供を養育するか(父母のどちらが子供の親権者(監護者)になるか)を話し合うことができます。
 →申立手続等については「家事事件について」の「夫婦関係調整(離婚)」をご覧ください。
離婚したいのですが,自分は仕事をしていないので,その後の生活が不安です。財産分与や年金分割,慰謝料を請求できますか。
まずは協議離婚するにあたり夫婦間の話合いで取り決めることになりますが,話合いがまとまらない場合には,夫婦関係調整(離婚)の調停を申し立て,その調停の中で財産分与等について話し合うことができます。
 →申立手続等については「家事事件について」の「夫婦関係調整(離婚)」をご覧ください。
相手方の不倫(飲酒癖,暴力癖など)をやめさせて,元の円満な夫婦関係に戻りたいのですが,どうすればよいでしょうか。
夫婦関係調整の調停を利用することができます。
 →申立手続等については「家事事件について」の「夫婦関係調整(円満)」をご覧ください。
離婚した方がよいかどうか判断がつかずに悩んでいるのですが,このような場合でも,調停を申し立てることができるでしょうか。
できます。夫婦関係調整の調停は,あくまでも夫婦の間の話合いの場を設けるものですから,申し立て時に離婚の意思が固まっている必要はありません。離婚するかやり直すかなどは,調停の話合いの中で決めていくことになります。
 →申立手続等については「家事事件について」の「夫婦関係調整(円満)」及び「夫婦関係調整(離婚)」をご覧ください。
相手方の不倫が原因で夫婦関係の円満を欠くようになり,現在,長女を連れて実家に帰って暮らしているのですが,実家の援助だけでは生活ができません。どのようにすればよいでしょうか。
別居中の夫婦の間で,生活費(婚姻費用)の分担について話合いがまとまらない場合には,家庭裁判所に調停の申立てをして,婚姻費用の分担を求めることができます。
 →申立手続等については「家事事件について」の「婚姻費用分担」をご覧ください。
離婚して私が子供の親権者に決まった場合でも,子供を養育していく経済力がありません。相手方に養育費の支払を求めることができますか。
両親の間で養育費の支払について話合いがまとまらない場合,離婚後であれば養育費請求の手続を利用することができます。
 なお,離婚前であれば夫婦関係調整の調停の中で養育費の取り決めをすることができます。
 →申立手続等については「家事事件について」の「夫婦関係調整(離婚)」及び「養育費請求」をご覧ください。
離婚して相手方が親権者になった場合でも,定期的に子供に会うことはできるでしょうか。
両親の間で子供との面会(面会交流)について話合いがまとまらない場合,離婚後であれば面会交流の手続を利用することができます。
 なお,離婚前であれば夫婦関係調整の調停の中で面会交流の取り決めをすることができます。
 →申立手続等については「家事事件について」の「面会交流」をご覧ください。
財産分与について教えてください。また,離婚の調停では,財産分与についてどのように話合いが進められるのですか。
財産分与とは,夫婦が婚姻中に協力して取得した財産を,離婚する際に又は離婚後に分けることを言います。
 離婚後,財産分与について話合いがまとまらない場合には,離婚のときから2年以内に家庭裁判所に調停の申立てをして,財産分与を求めることができます。
  なお,離婚前の場合は,離婚調停の中で財産分与について話合いをすることができます。
 →申立手続等については「家事事件について」の「夫婦関係調整(離婚)」及び「財産分与」をご覧ください。
年金分割の按分割合(分割割合)について合意ができません。どうすればよいでしょうか。
離婚時年金分割制度における年金の按分割合(分割割合)について当事者間で合意できない場合には,家庭裁判所の手続を利用することができます。
 離婚後であれば,離婚のときから2年以内に家庭裁判所に審判又は調停の申立てをすることができます。また,離婚前の場合は,離婚調停の中で分割割合に関する話合いをすることができます。
 なお,家庭裁判所の審判や調停で年金分割の割合が定められた場合であっても,実際に年金分割制度を利用するためには,一定の期限内に当事者のいずれか一方から,年金事務所,各共済組合又は私学事業団のいずれかにおいて,年金分割の請求手続を行う必要があります。
 →申立手続等については,「家事事件について」の「夫婦関係調整(離婚)」及び「年金分割」をご覧ください。
相手方の不貞行為が原因で離婚しようと考えており,慰謝料を払ってもらいたいのですが,どうすればよいでしょうか。
慰謝料は,相手方の不法行為によって被った精神的苦痛を慰謝するための損害賠償であり,相手方の行為によって離婚せざるを得なくなったような場合などに請求することができます。
 離婚後に離婚の原因を作った相手方に対して慰謝料を求める場合には,家庭裁判所の調停手続を利用することができます。
 なお,離婚前の場合は,離婚調停の中で慰謝料について話合いをすることができます。
 →申立手続等については「家事事件について」の「夫婦関係調整(離婚)」及び「慰謝料」をご覧ください。
配偶者の父母やきょうだいとの関係がうまくいかないので何とかしたいのですが,調停をすることはできるのでしょうか。
親族関係調整の調停を利用することができます。
 →申立手続等については「家事事件について」の「親族関係調整」をご覧ください。
離婚した相手方から養育費をもらうにはどうしたらよいでしょうか。
まずは離婚したもと配偶者との間での話合いにより取り決めることになりますが,話合いが進まない場合,養育費請求の手続を利用することができます。
 →申立手続等については「家事事件について」の「養育費請求」をご覧ください。
一度決められた養育費を増額(又は減額)することはできるでしょうか。
まずは離婚したもと配偶者との間での話合いにより取り決めることになりますが,話合いが進まない場合,養育費請求の手続を利用して増額の話合いをすることができます。
 →申立手続等については「家事事件について」の「養育費請求」をご覧ください。
離婚後に子供と面会したいのですが,どうすればよいでしょうか。
まずは離婚したもと配偶者との間での話合いにより取り決めることになりますが,話合いが進まない場合,面会交流の手続を利用して面会に関し取り決めることができます。
 →面会交流の申立手続については「家事事件について」の「面会交流」をご覧ください。
調停では,子供と面会する頻度や方法はどのようにして決められるのでしょうか。
子供との面会交流は,子供の健全な成長を助けるようなものである必要があるので,調停手続では,子供の年齢,性別,性格,就学の有無,生活のリズム,生活環境等を考えて,子供に精神的な負担をかけることのないように十分配慮して,子供の意向を尊重した取決めができるように,話合いが進められます。また,面会交流の取決めに際しては,面会交流を行う際に父母が注意する必要のある事項について裁判所側から助言したりします。
 →面会交流の申立手続については「家事事件について」の「面会交流」をご覧ください。
親権者である前夫(又は前妻)から子供を引き取って自分が育てるため,親権者の変更をするには,どうすればよいでしょうか。
家庭裁判所の親権者変更の調停・審判によらなければ親権者は変更できませんので,親権者変更の申立てをする必要があります。
 →申立手続等については「家事事件について」の「親権者変更」をご覧ください。
離婚後(又は別居中),私が養育していた子供を前夫(前妻,夫,妻)が連れ去ってしまいました。子供を取り戻したいのですが,どうすればよいでしょうか。
子の引渡の手続を利用することができます。
 →申立手続等については「家事事件について」の「子の引渡」をご覧ください。
夫が死亡し,私(妻)と未成年の子供とで遺産分割協議をしなければなりませんが,どうすればよいでしょうか。
妻と子は,利益が相反する関係(一方が多く遺産を取得すれば,他方はその分少なくなる)にあるので,妻は子を代理して遺産分割協議することができません。そこで,家庭裁判所に特別代理人選任の申立てをし,選任された特別代理人が子を代理して,妻との間で遺産分割協議することになります。
 →申立手続等については「家事事件について」の「特別代理人選任」をご覧ください。
親が借入れをするための担保として,未成年の子供の所有名義の不動産に抵当権を設定しなければなりません。どうすればよいでしょうか。
親と子は,利益が相反する関係にあるので,親は子を代理して抵当権設定契約をすることができません。そこで,家庭裁判所に特別代理人選任の申立てをし,選任された特別代理人が子を代理して,抵当権設定契約をすることになります。
 →申立手続等については「家事事件について」の「特別代理人選任」をご覧ください。
両親が亡くなった未成年の子供について,監護養育や財産管理(保険金請求等)を行う必要がありますが,どうすればよいでしょうか。
未成年後見人選任の審判の申立てをし,選任された未成年後見人が未成年者の財産の管理をすることになります。
 →申立手続等については「家事事件について」の「未成年後見人選任」をご覧下さい。
未成年後見人であることを証明するには,どうしたらよいですか。
未成年被後見人の戸籍謄本に未成年後見人の記載がされますので,未成年被後見人の戸籍謄本を取得してください。
未成年者を養子として迎えたいと思います。どうすればよいでしょうか。
原則として,養子縁組の申立てをして家庭裁判所の許可を得なければなりません。
なお,自己又は配偶者(死亡した配偶者を除く)の直系卑属を養子とする場合は,家庭裁判所の許可は必要ありません。
 →申立手続等については「家事事件について」の「養子縁組」をご覧ください。
乳児院に収容されていた子供を里子として養育しています。今後もこの子供を実子として養育していくつもりですが,どうすればよいでしょうか。
特別養子縁組の成立について,家庭裁判所の審判が必要となります。
 →申立手続等については「家事事件について」の「特別養子縁組成立」をご覧ください。
亡くなった養親(又は養子)との親族関係を解消したいのですが,どうすればよいでしょうか。
死後離縁をすることについて,家庭裁判所の許可が必要となります。
 →申立手続等については「家事事件について」の「死後離縁」をご覧ください。
配偶者の父母やきょうだいとの関係がうまくいかないので何とかしたいのですが,調停をすることはできるのでしょうか。
親族関係調整の調停を利用することができます。
 →申立手続等については「家事事件について」の「親族関係調整」をご覧ください。
老親の面倒を誰が見るかについて,親族と話し合ったのですが話合いがつきません。どうすればよいでしょうか。
扶養請求の手続を利用することができます。
 →申立手続等については「家事事件について」の「扶養請求」をご覧ください。
父の死亡後,父に多額の借金があることが分かりました。債権者から請求を受けないようにするために,よい方法はないでしょうか。
自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内であれば,相続放棄の申述(申立て)をすることができます。相続放棄の申述が受理されると,申述人は最初から相続人ではなかったことになりますので,被相続人の債務を相続により負担することはなくなります。
 →申立手続等については「家事事件について」の及び「相続放棄」及び「限定承認」をご覧下さい。
亡くなった父の遺産をすべて兄に相続してもらいたいので,私は相続の放棄をしたいと思います。どうすればよいでしょうか。
自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に,相続放棄の申述(申立て)をする必要があります。
 →申立手続等については「家事事件について」の「相続放棄」をご覧下さい。
亡くなった父には,財産が多数ありますが,負債も相当あるようなので,相続によって得た限度で支払に応じたいと思います。どうすればよいでしょうか。
限定承認という手続があります。この手続を利用するには,自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に,相続人全員で,限定承認の申述(申立て)をする必要があります。
 →申立手続等については「家事事件について」の「限定承認」をご覧下さい。
亡くなった人に相続人がいるかどうか分かりません。その人の財産の清算をするにはどうすればよいでしょうか。
家庭裁判所に相続財産管理人選任の申立てをし,選任された相続財産管理人に清算手続をしてもらうことになります。
 →申立手続等については「家事事件について」の「相続財産管理人選任」をご覧下さい。
亡くなった内縁の夫には相続人がいません。内縁の夫名義の家は私が相続できるでしょうか。
相続人不存在の財産は,最終的には国庫に帰属する(国のものになる)ことになります。しかし,被相続人と特別の縁故がある者については,申立てにより,その者に財産を分与することが認められることがあります。
 →申立手続等については,「家事事件について」の「相続財産管理人選任」及び「特別縁故者に対する相続財産分与」をご覧下さい。
父が亡くなり,その遺産の分割について話合いがつかないのですが,どうすればよいでしょうか。
家庭裁判所の遺産分割手続を利用することができます。
 →申立手続等については「家事事件について」の「遺産分割」をご覧下さい。
親が長男に全財産をやるという遺言を残して死んだのですが,次男である私は全く遺産を得ることはできないのでしょうか。
そのような場合でも,遺留分という法律上取得を保障されている一定の割合については,遺留分を請求することができます。
 →申立手続等については「家事事件について」の「遺留分減殺による物件返還請求」をご覧下さい。
亡くなった父の自筆の遺言書を発見したのですが,どうすればよいでしょうか。
家庭裁判所で遺言書を開封し,遺言書の検認を行う必要があります。自分で開封せずに,速やかに遺言書の検認の申立てをしてください。
 →申立手続等については「家事事件について」の「遺言書の検認」をご覧下さい。
検認を受けた自筆証書遺言があるのですが,その内容を実現するためには,遺言執行者の選任が必要であると言われました。どうすればよいでしょうか。
遺言執行者選任の申立てをしてください。
 →申立手続等については「家事事件について」の「遺言執行者選任」をご覧下さい。
夫が私に無断で協議離婚の届出をしていたことが分かりました。私は,離婚するつもりはありません。どうすればよいでしょうか。
協議離婚無効確認の手続を利用することができます。
 →申立手続等については「家事事件について」の「協議離婚無効確認」をご覧下さい。
妻が別の男性の子供を出産しました。私の子供でないことを確認するためには,どうすればよいでしょうか。
嫡出否認の手続をすることができます。
 →申立手続等については「家事事件について」の「嫡出否認」をご覧下さい。
離婚後に出産した子供の出生届を出そうとしたところ,前夫の子として入籍すると言われました。本当は前夫の子供ではないのですが,どうすればよいでしょうか。
前夫を相手方として親子関係不存在確認の調停を申し立てる方法,又は,実の父を相手方として認知請求の調停を申し立てる方法があります。
 →申立手続等については「家事事件について」の「親子関係不存在確認」,「認知調停」をご覧ください。
離婚して私が親権者となった子供の氏を変更して,子供の戸籍を父親の戸籍から私の戸籍に移したいのですか,どうすればよいでしょうか。
子の氏の変更の申立てをする必要があります。
 →申立手続等については「家事事件について」の「子の氏の変更」をご覧下さい。
離婚した際,婚姻中の氏を継続して使用する届出を行いましたが,実生活上は婚姻前の氏を使用しており,戸籍の氏も婚姻前の氏にしたいと思います。どうすればよいでしょうか。
氏の変更の申立てをする必要があります。
 →申立手続等については「家事事件について」の「氏の変更」をご覧下さい。
永年,通称名を使用しており,社会生活上,戸籍名では不便ですので,戸籍の名を通称名に変更したいと思います。どうすればよいでしょうか。
名の変更の申立てをする必要があります。
 →申立手続等については「家事事件について」の「名の変更」をご覧下さい。
私の戸籍に誤った記載があることを発見しました。どうすればよいでしょうか。
戸籍訂正の申立てをする必要があります。
 →申立手続等については「家事事件について」の「戸籍訂正」をご覧下さい。
成年後見制度とは,どのような制度なのですか。
成年後見制度とは,認知症,知的障害,精神障害などによって判断能力が十分ではない方を保護するための制度です。成年後見制度には,次のようなタイプがあります。
成年後見制度のタイプについて
区分対象となる方援助者
補助判断能力が不十分な方補助人監督人を選任することがあります。
保佐判断能力が著しく不十分な方保佐人
後見判断能力が欠けているのが通常の状態の方成年後見人
任意後見本人の判断能力が不十分になったときに、本人があらかじめ結んでおいた任意後見契約にしたがって任意後見人が本人を援助する制度です。家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときから、その契約の効力が生じます。
「後見」とは,どのような制度なのですか。
認知症,知的障害,精神障害などによって,判断する能力が欠けているのが通常の状態の方について,申立てによって,家庭裁判所が「後見開始の審判」をして,本人を援助する人として成年後見人を選任する制度です。
 成年後見人は,後見開始の審判を受けた本人に代わって契約を結んだり,本人の契約を取り消したりすることができます。このように幅広い権限を持つため,後見人は,本人の財産全体をきちんと管理して,本人が日常生活に困らないように十分に配慮していかなければなりません。
 後見開始の審判について,詳しくは,こちらをご覧ください。
「保佐」とは,どのような制度なのですか。
認知症,知的障害,精神障害などによって,一人で判断する能力が著しく不十分な方について,申立てによって,家庭裁判所が「保佐開始の審判」をして,本人を援助する人として保佐人を選任する制度です。
 保佐人は,保佐開始の審判を受けた本人が一定の重要な行為をしようとすることに同意したり,本人が保佐人の同意を得ないで既にしてしまった行為を取り消したりすることを通じて,本人が日常生活に困らないよう配慮します。なお,保佐人は,予め本人が望んだ一定のことがらについて,代理権を与えるとの家庭裁判所の審判によって,本人に代わって契約を結んだりする権限を持つこともできます。
 保佐開始の審判について,詳しくは,こちらをご覧ください。
「補助」とは,どのような制度なのですか。
認知症,知的障害,精神障害などによって,一人で判断する能力が不十分な方について,申立てによって,家庭裁判所が「補助開始の審判」をして,本人を援助する人として補助人を選任する制度です。
 補助人は,補助開始の審判を受けた本人が望む一定のことがらについて,同意したり,取り消したり,代理することを通じて,本人が日常生活に困らないように配慮します。そのため,補助の制度を利用する場合,その申立てと一緒に,予め,同意したり代理したりできることがらの範囲を定めるための申立てをする必要があります。
 補助開始の審判について,詳しくは,こちらをご覧ください。
「任意後見」とは,どのような制度なのですか。
十分な判断能力がある方が,将来判断能力が不十分になった場合にそなえてあらかじめ公正証書で任意後見契約を結んでおき,判断能力が不十分になったときに,その契約にもとづいて任意後見人が本人を援助する制度です。任意後見制度の詳しい内容や利用方法については,お近くの公証役場でご確認ください。
  なお,契約は,家庭裁判所が「任意後見監督人選任の審判」をしたときから,その効力が生じます。任意後見監督人選任の審判について,詳しくは,こちらをご覧ください。
成年後見制度を利用すると,制限されることなどはあるのでしょうか。
これまで,各種の法律において,後見制度又は保佐制度を利用することにより,一定の資格や職業を失ったり,営業許可等が取得できなくなったりするなどの権利制限に関する規定が定められていました。
 令和元年6月7日に成立した「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律(以下「整備法」といいます。)」により,上記の権利制限に関する規定の大部分が削除され,今後は,各資格・職種・営業許可等に必要な能力の有無を個別的・実質的に審査し,判断されることになります。
 整備法の施行日は,次のとおり資格や職業等によって異なりますので,ご注意ください。
・施行日:令和元年6月14日
 准介護福祉士,養育里親及び養子縁組里親,酒類の販売業免許 など
・施行日:令和元年9月14日
 国家公務員,自衛隊員,マンション管理士,旅行業務取扱管理者,社会福祉法人の役員,宅地建物取引業の免許,建設業の許可 など
・施行日:令和元年12月1日
 一級建築士免許, 二級建築士免許 など
・施行日:令和元年12月14日
 医師,介護福祉士,教員,弁護士,行政書士,警備員,税理士,地方公務員,農業協同組合の役員,貸金業の登録,古物営業の許可 など
※「会社法」及び「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」における法人の役員の資格に関する権利制限は,整備法による改正の対象となっておらず,政府が整備法の公布後1年以内を目処として検討を加え,今後必要な措置を講ずる予定です。
成年後見人には必ず候補者が選ばれるのですか。
家庭裁判所では,申立書に記載された成年後見人等候補者が適任であるかどうかを審理します。
 その結果,候補者が選任されない場合があります。被後見人が必要とする支援の内容などによっては,候補者以外の方(弁護士,司法書士,社会福祉士等の専門職や法律または福祉に関する法人など)を成年後見人に選任することがあります。
 なお,成年後見人にだれが選任されたかについて,不服の申立てはできません。
 また,次の人は成年後見人になることができません。
(欠格事由)
(1)未成年者
(2)成年後見人等を解任された人
(3)破産者で復権していない人
(4)本人に対して訴訟をしたことがある人,その配偶者または親子
(5)行方不明である人
どのような時に,成年後見制度を利用するのですか。
例えば,以下のようなときに利用することが考えられます。
【後見】
・老人性の認知症により判断能力が欠けているのが通常の状態となった方のために,介護の契約を結んだり,財産を管理したりする必要があるときに,家庭裁判所に後見開始の審判の申立てをし,選任された成年後見人にそうした契約や財産管理をしてもらう。
・交通事故により判断能力が欠けているのが通常の状態となった方に代わって,その方のために,保険金(損害賠償)を請求する必要があるときに,家庭裁判所に後見開始の審判の申立てをし,選任された成年後見人に,本人の代理人として請求してもらう。
【保佐】
・老人性の認知症のため判断能力が著しく不十分な方について,介護サービス利用契約を結んで適切な介護を受けられるようにする必要があるときに,家庭裁判所に保佐開始の審判の申立てをし,同時に,介護契約を本人に代わって保佐人にしてもらう権限(代理権)を与えるとの審判の申立てをして,選任された保佐人に手続をしてもらう。
【補助】
・認知症の症状が出て判断能力が低下していると医師に言われるなどして,一人で契約等をすることに不安があるときに,家庭裁判所に補助開始の審判の申立てをし,選任された補助人にサポートしてもらう。なお,誤った判断に基づいてしてしまった契約を取り消すことができるようにするためには同意権を与えるとの審判を,契約等を本人に代わって補助人に代理してやってもらうためには代理権を与えるとの審判を,それぞれどのようなことがらについてやってもらいたいかを特定したうえで,補助開始の審判の申立てにあわせて申し立てる必要があります。
成年後見制度を利用するためには,どうすればよいですか。
成年後見制度を利用するためには,まず,後見開始,保佐開始,補助開始の審判を家庭裁判所に申し立てる必要があります。申立てに当たって必要とされる主なものは,以下のとおりです。
 この他にも,必要に応じてご用意いただく資料があります。申立後の手続をスムーズに進めるために,各家庭裁判所で,いつでも手続案内に応じており,手続に必要な資料等についてもご案内しておりますので,お近くの家庭裁判所にお問い合わせください。
【申立てに必要なもの】
・申立書
・申立手数料
・登記手数料
・郵便切手
・戸籍謄本,住民票
・成年後見に関する登記事項証明書
・診断書 など
※詳しくは,後見開始の審判についてはこちら,保佐開始の審判についてはこちら,補助開始の審判についてはこちらをご覧ください。
手続の流れは,どのようになっているのですか。
一般的には,以下のとおりです。
【手続案内】
○後見等開始の手続の流れや,申立てに必要な書類等について,ご説明します。
【申立て】
○本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てる必要があります。申立てに必要な書類や費用のうち,主なものは次のとおりです。
・申立書
・診断書
・申立手数料
・登記手数料
・郵便切手
・本人の戸籍謄本 など
詳しくは,家庭裁判所に用意されている一覧表などでご確認ください。
【審問・調査・鑑定等】
○申立て後,裁判所の職員が,申立人,後見人候補者,本人から事情をうかがったり,本人の親族に後見人候補者についての意見を照会することがあります。また,必要に応じ,裁判官が事情をたずねること(審問)もあります。
○本人の判断能力について,鑑定を行うことがあります。
【審判(後見等の開始,成年後見人等の選任)】
○家庭裁判所は,後見等の開始の審判をすると同時に,最も適任と思われる方を成年後見人等に選任します。事情に応じて,弁護士,司法書士,社会福祉士等の第三者を成年後見人等に選任することもあります。
○成年後見人等に対する報酬については,仕事の内容などを考慮して,家庭裁判所が定めることになっています。
鑑定とは,どのような手続なのですか。
鑑定とは,本人に判断能力がどの程度あるかを医学的に判定するための手続です。申立時に提出していただく診断書とは別に,家庭裁判所が医師に鑑定を依頼をして行われます。後見開始及び保佐開始の審判では,原則として,この鑑定手続が必要であると定められています。
 鑑定には,申立てとは別に費用がかかります。鑑定費用は,鑑定を引き受ける医師の意向や,鑑定のために要した労力等に応じて決められますが,ほとんどの場合,10万円以下となっています(⇒詳しくは「成年後見関係事件の概況」をご覧ください。)
 医師の方向けの鑑定書作成の手引は,こちらをご覧ください。
申立ての取下げはできますか。
申立ての取下げについては家庭裁判所の許可が必要となります。
 成年後見人の選任に関する不満を理由とした取下げは,本人の利益に配慮して,原則として許可されないと考えられます。
成年後見人の役割は,どのようなものですか。
成年後見人の役割は,本人の意思を尊重し,かつ本人の心身の状態や生活状況に配慮しながら,必要な代理行為を行うとともに,本人の財産を適正に管理していくことです。
 具体的には,(1)本人のために診療・介護・福祉サービスなどの利用契約を結ぶこと,(2)本人の預貯金の出し入れや不動産の管理などを行うことが主な仕事となります。
 成年後見人に選任されてから,役割が終了するまでの主な流れは,以下のとおりです。

図版:成年後見人への就任から成年後見人としての役割の終了までの流れ

被後見人の居住用不動産を処分(売却,賃貸,賃貸借の解除,抵当権の設定等)したいのですが,どうしたらよいでしょうか。
居住用不動産とは,被後見人が居住するための所有権又は賃借権等を有する建物又はその敷地をいいます。
 被後見人が現に住居として使用している場合に限らず,将来居住する予定がある場合も含みます。
 精神上の障害を負っている被後見人にとって,居住環境が変われば,その心身や生活に重大な影響が生じることになります。
 そこで,これらの処分については,特に慎重を期すため,家庭裁判所の事前の許可を得なければならないとされています。
 したがって,被後見人の居住用不動産を処分する場合,成年後見人は,家庭裁判所に,居住用不動産の処分許可の申立てをしなければなりません。
被後見人と成年後見人の利益が相反するような行為を行う場合には,どうしたらよいでしょうか。
成年後見人は被後見人の財産を管理するために,財産行為に関する包括的な代理権を与えられています。
 しかし,成年後見人と被後見人の利益が相反する行為の場合には,公正な代理権の行使を期待することができないので,被後見人の利益を保護するため,法律上その行為についてのみ家庭裁判所の選任した特別代理人が代理権を行使することになっています。
 例えば,成年後見人と被後見人が共同相続人である場合の遺産分割や,成年後見人の債務を担保するために被後見人の不動産に抵当権を設定することは,成年後見人と被後見人の利益が相反する行為になりますから,特別代理人の選任が必要です。
成年後見人に報酬はないのでしょうか。
成年後見人は,その事務の内容に応じて,被後見人の財産の中から報酬を受け取ることができます。
 その場合には,家庭裁判所に対し,後見事務報告書,財産目録,通帳の写し等に申立手数料800円を添えて,報酬付与の審判を申し立ててください。
 なお,報酬の額については,裁判官が個々の事案の実情に応じて,対象期間中の後見の事務内容,後見人が管理する本人の財産の内容等を総合考慮して,裁量で決定する性質のものですが,標準的な報酬額のめやすを策定して公表している家庭裁判所もありますので各家庭裁判所のウェブサイトで確認してください。
高齢や病気のため,成年後見人の仕事をすることが困難になった場合は,どうすればよいのでしょうか。
成年後見人は,「正当な事由があるとき」は家庭裁判所の許可を得て辞任することができます。
 問題はいかなる場合が「正当な事由」に当たるかということですが,高齢や病気のため,成年後見人の仕事をすることが困難になったことは「正当な事由」ありと認められることが多いと思われます。
 そのような場合は裁判所に相談の上,辞任許可の申立てをしてください。
 辞任が許可された場合は,速やかに管理の計算をし,後任の成年後見人に被後見人の財産を引き継いでください。
成年後見人としての責任を問われる場合として,どのような場合がありますか。
成年後見人に不正な行為,著しい不行跡その他後見の任務に適さない事由がある場合には,家庭裁判所は成年後見人解任の審判をすることがあります。
 また,成年後見人が不正な行為によって被後見人に損害を与えた場合には,その損害を賠償しなければなりませんし,背任罪,業務上横領罪等の刑事責任を問われることもあります。
 被後見人と親子の関係にあっても,刑罰は免除されませんし,量刑上酌むべき事情にもなりません。
被後見人が死亡したときにしなければならないことはありますか。
被後見人の死亡により後見事件は終了しますので,成年後見人は,死亡診断書の写し又は戸籍・除籍謄本を添付して家庭裁判所に報告するとともに,法務局に後見終了の登記申請をしてください。
 また,成年後見人は,被後見人が死亡しても,必要な範囲で以下の事務処理を行う必要がありますので注意してください。
(1)成年後見人は,被後見人死亡後任務が終了したときから2か月以内に,管理の計算をしなければなりません。
 相続人がいるかどうか明らかでないときは,相続財産管理人選任を申し立てた上で,この相続財産管理人に対してこの管理の計算の報告を行うことができます。
(2)成年後見人は,相続人に対する管理の計算義務とは別に,家庭裁判所から後見事務の終了報告を求められたときは,相続人に対し財産管理を引き継いだ事実の報告や相続人に対して行った管理計算の報告などをしなければなりません。
成年後見人が本人のマイナンバーを取り扱う場合に,注意することはありますか。
1 マイナンバーの取扱いについて
 マイナンバーは重要な個人情報であり,その取扱いについては「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(番号法)で厳格に定められています。成年後見人が本人のマイナンバーを把握し,その保管,提供を行うかどうかについては,本人の状況や手続におけるマイナンバーの必要性などを踏まえて,成年後見人自らが適切に判断しなければなりません。
 また,マイナンバーを利用できる範囲は番号法で限定的に定められています。成年後見人が本人のマイナンバーを取得した場合には,番号法に抵触する行為を行わないように留意して,適切に管理する必要があります。
2 家庭裁判所に提出する書類について
 家庭裁判所における後見関係の手続において,マイナンバーが必要とされることは通常ありません。成年後見人が本人のマイナンバーが記載された書類を取得した場合には,それを不用意に家庭裁判所に提出することがないように注意しなければなりません。また,後見事務報告の資料として,やむを得ず本人のマイナンバーが付記された書類を提出する場合には,マイナンバーが記載された部分を黒く塗り潰すなどして,マイナンバー自体を家庭裁判所に提供することがないよう御留意下さい。
※以上のことは,保佐人,補助人,任意後見人及び未成年後見人についても同様です。
後見制度支援信託とはどのようなものですか。
後見制度支援信託は,本人の財産のうち,日常的な支払をするのに必要十分な金銭を預貯金等として後見人が管理し,通常使用しない金銭を信託銀行等に信託する仕組みのことで(成年後見と未成年後見において利用することができます。保佐,補助及び任意後見では利用できません。),本人の財産を適切に保護するための方法の一つです。
 信託財産は,元本が保証され,預金保険制度の保護対象にもなります。後見制度支援信託を利用すると,信託財産を払い戻したり,信託契約を解約したりするにはあらかじめ家庭裁判所が発行する指示書を必要とします。
後見制度支援信託を利用する場合の手続の流れはどのようになりますか。
財産を信託する信託銀行等や信託財産の額などについては,原則として弁護士,司法書士等の専門職後見人が本人に代わって決めた上,家庭裁判所の指示を受けて,信託銀行等との間で信託契約を締結します。
後見制度支援信託を利用するためには,どのような費用がかかるのですか。
後見制度支援信託を利用すると,通常,信託契約の締結に関与した専門職後見人に対する報酬と信託銀行等に対する報酬が必要となります。
 専門職後見人に対する報酬は,家庭裁判所が,専門職後見人が行った仕事の内容や本人の資産状況等のいろいろな事情を考慮して決めます。
 信託銀行等に対する報酬については信託商品や信託財産額によって異なりますので,信託銀行等にお問い合わせください。
後見制度支援信託を利用した場合は,後見人の日常的な財産管理はどうなりますか。
信託した財産は信託銀行等で管理されますので,後見人は,年金の受取や施設入所等のサービス利用料の支払といった日常的に必要な金銭を管理します。本人の収入よりも支出の方が多くなることが見込まれる場合には,信託財産から必要な金額が定期的に送金されるようにすることができます。
信託契約締結後,本人に多額の支出が必要になって,後見人が手元で管理している金銭だけでは足りない場合はどうすればよいですか。
家庭裁判所に必要な金額とその理由を記載した報告書(書式は家庭裁判所にあります。)を裏付け資料とともに提出してください。
 家庭裁判所は,報告書の内容に問題がないと判断すれば指示書を発行しますので,それを信託銀行等に提出し,必要な金銭を信託財産から払い戻してください。
 また,本人の収支状況の変更により信託財産から定期的に送金される金額を変更したい場合や,事情により信託契約を解約する必要が生じた場合についても,家庭裁判所に報告書(書式は家庭裁判所にあります。)を提出して指示書の発行を受ける必要があります。
信託契約締結後,本人に臨時的収入があったり,黒字分が貯まったりして,後見人が管理する金銭が多額になった場合はどうすればよいですか。
通常使用しない金銭については,家庭裁判所に追加信託の報告書を裏付け資料とともに提出してください。
 家庭裁判所は報告内容に問題がないと判断すれば指示書を発行しますので,それを信託銀行等に提出し,追加信託をしてください。
 なお,黒字分が貯まって後見人が管理する金銭が多額になる見込みの時期に,後見人から自主的な報告書の提出がない場合は,家庭裁判所から追加信託を求めることがあります。
後見制度支援信託を利用する場合の家庭裁判所の後見監督はどうなりますか。
後見制度支援信託を利用する場合も,家庭裁判所は,事案に応じて必要な後見監督を行います。
 家庭裁判所からいつ報告を求められても対応できるように,収支を帳簿につけたり,領収書や信託銀行等から送付される報告書を保管したりするとともに,被後見人の心身の状態や生活の状況を定期的に記録するようにしておいてください。
後見制度支援信託を利用することに不服がある場合,不服申立てはできますか。
後見制度支援信託の利用は,家事事件手続規則に基づく裁判官の指示によるものであり,指示に対する不服申立てはできません。
後見監督とはどういうものでしょうか。
後見人は,家庭裁判所から選任された者であり,その地位は一種の公的な側面を有するものといえます。そのために広範な代理権・財産管理権が付与されます。
 しかし,そのような広範な権限については常に濫用の危険が内在しているため,その行使が適正に行われているのかどうかを監視し,問題がある場合にはこれを是正させる方策は必要です。
 後見監督とは,こういった後見人を選任する家庭裁判所による後見人への監視・監督作用を総称したものです。
家庭裁判所による監視・監督方法はどのようになっていますか。
家庭裁判所による監視・監督方法は,適時に後見人へ後見事務の報告や財産目録を提出させ,これを点検していくことを通じて行うことを基本としています。
 しかし,点検作業の過程で後見事務に問題のあること,又は,問題が含まれている可能性があることを認識した場合には,金融機関に対する調査嘱託や,家庭裁判所調査官による事実関係の調査等を行って,問題の有無・対応などにつき検討したり,財産の管理その他後見の事務について必要な処分を命じたりするほか,場合によっては家庭裁判所調査官の調査等を経ずに直ちに専門職後見人の追加選任・権限分掌の措置を講じて財産保全と後見事務の調査を行い,後見人を解任することもあります。
 さらに,後見人の不正事案については,横領,背任等の刑罰法規に触れるものとして,家庭裁判所として刑事告発を行うことがあります。
家庭裁判所が職権で成年後見監督人を選任するのはどのようなときですか。
成年後見人に対する後見監督は家庭裁判所が行いますが,必要に応じて,家庭裁判所が選んだ成年後見監督人に成年後見人を監督させる場合もあります。
 最近では,成年後見人による不正行為が社会問題となっており,家庭裁判所の後見監督をより適切に行うために被後見人の財産額が一定額以上あり,後見制度支援信託の利用がない場合に成年後見監督人を選任している家庭裁判所が多くなってきています。
成年後見監督人選任に対する不服申立てはできるのですか。
成年後見監督人を選任するかしないかは,家庭裁判所の専決事項です。
 したがって,成年後見監督人の選任に対する不服申立てはできません。
被後見人宛ての郵便物を成年後見人の住所などに転送してもらうことはできますか。
成年後見人が後見事務を行うに当たって必要な場合には,成年後見人の申立てにより,家庭裁判所の審判を得て,被後見人宛ての郵便物等を成年後見人の住所又は事務所所在地(専門職後見人の場合)に転送してもらうことができます(この申立ては,成年後見人に限られ,保佐人,補助人,任意後見人,未成年後見人が申し立てることはできません。)。
 したがって,被後見人宛ての郵便物等の転送を求める申立てをする際には,郵便物等の転送が後見事務を行うに当たって必要となる具体的な事情を申立書に記載していただく必要があります(申立書の記入例については「家事審判の申立書」の「成年被後見人に宛てた郵便物等の回送嘱託申立書」をご覧ください。)。
なお,転送の期間は,法律上,6か月を超えない期間とされています。
被後見人が死亡した場合,成年後見人はどのような事務を行うことができるのでしょうか。
被後見人が死亡した場合には,成年後見は当然に終了し,成年後見人は差し迫った事情がある場合を除き,成年後見人の権限を行使することはできなくなりますが,必要があるときは,被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き,相続人が相続財産を管理することができるに至るまで,被後見人が所有していた建物を修理したり(特定の財産に対する保存行為),支払を求められている被後見人の医療費等を支払ったりすること(弁済期が到来した債務の弁済)ができます(ただし,成年後見人に限られ,保佐人,補助人,任意後見人,未成年後見人はできません。)。
 ただし,被後見人の死体の火葬または埋葬に関する契約の締結やその他相続財産の保存に必要な行為は,家庭裁判所の許可を得て行うことができます(この許可を求める申立ては,成年後見人に限られ,保佐人,補助人,任意後見人,未成年後見人が申し立てることはできません。)。
 家庭裁判所の許可の対象となる行為としては,次のような場合が考えられます。
(1)被後見人の死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結(葬儀に関する契約は除く。)
(2)債務弁済のための被後見人名義の預貯金の払戻し
(3)被後見人が入所施設等に残置していた動産等に関する寄託契約の締結
(4)電気・ガス・水道の供給契約の解約 など
 申立書の記入例については「家事審判の申立書」の「成年被後見人死亡後の死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為についての許可申立書」をご覧ください。
※なお,成年後見人が後見事務の一環として被後見人の葬儀を執り行うことは法律上認められていません。
医療観察法に基づく手続において,後見人,保佐人,配偶者又は親権を行う者がいない場合はどうすればよいでしょうか。
→「家事事件」の「保護者選任」をご覧下さい。
所在の分からない相続人がいるため,遺産分割協議ができません。どうすればよいでしょうか。
不在者財産管理人の申立てをし,選任された不在者財産管理人が不在者に代わり遺産分割協議に加わることにより遺産分割をすることができます。
 →申立手続等については「家事事件について」の「不在者財産管理人」をご覧下さい。
既に死亡していると考えられる者が行方不明であるため死亡届が提出できません。どのようにすればよいでしょうか。
失踪宣告の審判の申立てをすることができます。
 →申立手続等については「家事事件について」の「失踪宣告」をご覧下さい。
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