1. 概要
離婚の際に未成年の子どもがいる場合には,父母の合意で親権者を定めることができますが,離婚後の親権者の変更は,必ず家庭裁判所の調停・審判によって行う必要があります。調停手続を利用する場合には,親権者変更調停事件として申し立てます(親権者が行方不明等で調停に出席できない場合などには,家庭裁判所に親権者変更の審判を申し立てることができます。)。
親権者の変更は,子どもの健全な成長を助けるようなものである必要があるので,調停手続では,申立人が自分への親権者の変更を希望する事情や現在の親権者の意向,今までの養育状況,双方の経済力や家庭環境等の他,子の福祉の観点から,子どもの年齢,性別,性格,就学の有無,生活環境等に関して事情を聴いたり,必要に応じて資料等を提出してもらうなどして事情をよく把握し,子どもの意向をも尊重した取決めができるように,話合いが進められます。
なお,話合いがまとまらず調停が不成立になった場合には自動的に審判手続が開始され,裁判官が,一切の事情を考慮して,審判をすることになります。
2. 申立人
子どもの親族(一般的には父又は母)
3. 申立先
相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所
4. 申立てに必要な費用
- 収入印紙1200円分(子ども1人につき)
- 連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所へ確認してください。なお,各裁判所のウェブサイトの「裁判手続を利用する方へ」中に掲載されている場合もあります。)
5. 申立てに必要な書類
(1) 申立書及びその写し1通(6の書式及び記載例をご利用ください。)
(2) 標準的な申立添付書類
- 申立人の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 相手方の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 未成年者の戸籍謄本(全部事項証明書)
- ※ 同じ書類は1通で足ります。
- ※ もし,申立前に入手が不可能な戸籍がある場合は,その戸籍は,申立後に追加提出することでも差し支えありません。
- ※ 審理のために必要な場合は,追加書類の提出をお願いすることがあります。
6. 申立書の書式及び記載例
7. 手続の内容に関する説明
- 1. お互いに合意ができているのですが,家庭裁判所の手続が必要なのですか。
-
父母の合意ができている場合でも,親権者を変更するためには,必ず家庭裁判所の手続が必要になります。
ただし,認知した父を親権者に指定したり,離婚後に生まれた子の親権者を父に指定するには,父母の合意に基づき届出をすることができますので,合意ができる場合には,家庭裁判所の手続は不要です。
- 2. 相手方が行方不明のときは,どうしたらよいのですか。
- 相手方の所在が分からないときは,調停を進めることができませんので,審判を申し立てることが考えられます。
- 3. 親権者の変更については,具体的にどのようなことが考慮されるのですか。
- 親権者の変更は,親権者を変更することが,子の福祉にかなうものである必要があるので,変更を希望する事情や現在の親権者の意向,今までの養育状況,双方の経済力や家庭環境のほか,子の福祉の観点から,子の年齢,性別,性格,就学の有無,生活環境などが考慮されます。
- 4. 調停での話し合いがまとまらない場合は,どうなるのですか。
- 調停は不成立として終了しますが,引き続き審判手続で必要な審理が行われた上,審判によって結論が示されることになります。
- 5. 調停が成立(又は変更の審判が確定)したときは,どのような手続が必要ですか。
- 親権者になった人には,戸籍法による届出義務がありますので,調停が成立(又は審判が確定)した日から10日以内に,市区町村役場に親権者変更の届出をしなければなりません。届出には,調停調書謄本(審判の場合は,審判書謄本及び確定証明書)のほか,戸籍謄本などの提出が求められることがありますので,詳しくは届出をする役場にお問い合わせください。
- 6. 審判の確定証明書はどのように申請するのですか。
- 家庭裁判所に備え付けの申請用紙がありますので,申請用紙に必要事項を記入し,150円分の収入印紙,郵送の場合には返信用の切手を添えて,審判をした家庭裁判所に申請してください。