トップ > 裁判手続案内 > 裁判手続についてのQ&A > 裁判手続 少年事件Q&A
第1 少年審判とその手続
1 少年事件とは
2 事件の受理
3 家庭裁判所調査官による調査
4 審判
5 試験観察について
6 補導委託
7 家庭裁判所における教育的な働きかけ
8 処分の種類
9 抗告
第2 被害者保護制度
1 少年犯罪によって被害を受けた方のための制度
- 少年犯罪によって被害を受けた方のための制度として、どのようなものがありますか。
- 少年犯罪によって被害を受けた方は、事件記録を閲覧・コピーできるのですか。
- 事件記録は全部見ることができるのですか。
- 家庭裁判所で心情や意見を述べるにはどのような方法があるのですか。
- 被害を受けた方が家庭裁判所に行って、自分の気持ちや意見を述べるというのは不安を感じると思いますが、その不安を軽減させるために何か要望を出すことができますか。
- 心情や意見は、少年の面前で述べることになるのでしょうか。
- どのような被害を受けた方が審判を傍聴することができるのですか。
- 審判の傍聴の申出は、いつまでにすればよいのですか。
- 申出をすれば、必ず審判を傍聴できるのですか。
- 被害を受けた方が傍聴する際、誰かに付き添ってもらうことができるのですか。
- 被害を受けた方は、審判の状況について説明を受けることができるのですか。
- 被害を受けた方は、少年がどのような処分を受けたのか知ることはできるのですか。
- 少年犯罪によって被害を受けた方への配慮の制度について、申出ができる方の範囲や必要書類などを教えてください。
- 他にも、被害を受けた方への配慮の制度はあるのでしょうか。
- 被害を受けた方への配慮の制度とは別に、家庭裁判所では被害を受けた方から話を聴くこともあると聞きましたが。
2 少年犯罪によって被害を受けた方の声をお聴きしています。
第3 改正少年法
- 家庭裁判所が扱う少年事件とはどのような事件ですか。
- 家庭裁判所が扱う少年事件には次の3つの事件があります。
- 罪を犯した14歳以上20歳未満の少年(これを「犯罪少年」といいます。)の事件
- 刑罰法令に触れる行為をしたが、その行為の時14歳未満であったため、法律上、罪を犯したことにならない少年(これを「触法少年」といいます。)の事件
- 18歳未満で、保護者の正当な監督に従わないなどの不良行為があり、その性格や環境からみて、将来罪を犯すおそれのある少年(これを「ぐ犯少年」といいます。)の事件
- 罪を犯すおそれがあるだけで、家庭裁判所が扱う少年事件となるのですか。
- まだ罪を犯していない少年についても、保護者の正当な監督に従わないとか、正当な理由がないのに家庭に寄り付かないとか、いかがわしい場所に出入りするとかの行いがあり、その性格や環境からみて、将来罪を犯すおそれがある(ぐ犯)といった場合には少年事件の対象となります。これは、非行少年を早期に発見し、適切な保護をすることにより、少年の更生を図るとともに、犯罪を未然に防止しようとするものです。ぐ犯少年に対しても、少年院送致などの処分を課すことがあります。なお、特定少年については、民法上の成年となることなどを考慮し、ぐ犯の規定の適用対象外となりました。
- 14歳未満の少年の事件についても、家庭裁判所が扱う少年事件となるのですか。
- 刑罰法令に触れる行為をしたが、その行為の時14歳未満であったため、法律上、罪を犯したことにならない少年のことを触法少年といいます。触法少年については、児童相談所などによる児童福祉法上の措置が優先されますが、知事又は児童相談所長が家庭裁判所に送致した場合には、家庭裁判所が扱う少年事件となります。
- 少年が自宅から遠く離れた場所で非行に及んだ場合に、事件を扱う家庭裁判所はどうなるのですか。
- 例えば、福岡に保護者と住んでいる少年が、東京に遊びに来た時に罪を犯し、逮捕されて東京の家庭裁判所に送致された場合は、福岡(住所、居所)にも東京(罪を犯した場所、現在地)にも管轄があることになります。このようなケースでは少年の保護という観点から、適正な審判を行うため少年の地元である福岡の家庭裁判所に移送されることもあります。
- 少年鑑別所はどのような施設ですか。
- 少年鑑別所とは、①家庭裁判所等の求めに応じ、鑑別を行うこと、②観護の措置がとられて収容している者等に対して、観護処遇を行うこと、③地域社会における非行及び犯罪の防止に関する援助を行うことを目的とする法務省所管の施設で、少年の処分を適切に決めるために、面接や様々な心理検査等を行います。詳しくは、法務省ウェブサイトの少年鑑別所に関するページをご参照ください。
- 観護措置とは何ですか。
- 観護措置とは、主に家庭裁判所に送致された少年の審判を円滑に進めたり、少年の処分を適切に決めるための心理検査や面接を行ったりすることなどが必要な場合に、少年を少年鑑別所に送致し、一定期間そこに収容することをいいます。
- どういう場合に観護措置がとられるのですか。
- 法律上は「審判を行うため必要があるとき」とされており、具体的な事案に応じて裁判官が決めます。少年鑑別所で少年の心身の状況等の鑑別をする必要がある場合のほか、一般的には、少年が調査、審判などに出頭しないおそれのある場合や暴走族等の悪影響から保護する必要がある場合などに観護措置がとられることが多いようです。
- 観護措置決定に不服があるときにはどうしたらよいのですか。
-
少年鑑別所送致の観護措置決定に対して不服があるときは、少年、その法定代理人(親権者や後見人)又は付添人から、家庭裁判所に対して取消しを申し立てることができます。これを異議申立てといいます。
同様に、観護措置の延長決定についても、異議を申し立てることができます。
- 家庭裁判所調査官による調査はどのように行われるのですか。
-
通常は、まず、家庭裁判所から呼出しがあります。そこで指定された日に少年や保護者が家庭裁判所に出向いて家庭裁判所調査官の面接を受けることになります。
この面接では、事件の内容、家庭、友人や学校、仕事のこと、これまでの生活歴などが聴かれます。これは、少年が非行に至ってしまった原因を探り、どうすれば再非行をせずに立ち直ることができるかの手掛かりを得るためです。
*家庭裁判所調査官による調査のページもご参照ください。
- 少年が非行がないと主張している場合はどうなるのですか。
-
少年が、非行がないと主張している場合には、証人尋問、鑑定、検証などの証拠調べが行われることもあります。この証拠調べは家庭裁判所の職権で行われ、その方法や範囲などは家庭裁判所の合理的な裁量に委ねられています。
その結果、非行事実があったと認められない場合には、非行がないことを理由として不処分決定がされます。
- 少年事件でも3人の裁判官の合議で審判を行うことはあるのですか。
- あります。合議の対象となる事件は特に規定されていませんが、例えば、少年が非行がないと主張しており、多角的な視点からより慎重に審理する必要がある場合や、非行の背景事情が複雑な重大事件で処遇の決定が困難な場合などに、3人の裁判官の合議で審判を行うことがあります。
- 試験観察は何のために行われるのですか。
- 少年の性格や環境等によっては直ちに少年に対する処分を決めることができない場合があります。そのような場合には、少年に対する最終的な処分を決めるために、少年を一定の期間家庭裁判所調査官の試験観察に付すことがあります。家庭裁判所調査官が、少年に助言や指導を与えながら、少年が自分の問題点を改善していこうとしているかどうかといった視点で少年を観察します。この観察の結果を踏まえて、少年に対する最終的な処分が決められるのです。
- 試験観察はどれくらいの期間、行われるのですか。
- 少年の状況に応じて異なりますが、数か月程度の期間行われます。試験観察の期間中は、家庭裁判所調査官が、少年の行動を観察し、真面目に進学や就職に取り組み更生が期待できる状態になっているかなどの確認をします。このような試験観察の結果を踏まえて、少年に対して保護観察や少年院送致などの最終的な処分がされることになります。
- 少年はどのくらいの期間、補導委託先に預けられるのですか。
- 少年の状況に応じて異なりますが、数か月程度、補導委託先に預けられ、その様子を見ることが多いようです。
- 補導受託者(補導委託で少年を預かる責任者)となるためには何か条件があるのですか。また、特別な資格などは必要ですか。
-
補導受託者となるための法令上の条件はありません。また、特別な資格も必要ありません。熱意を持って少年を指導していただけること、それだけです。
ただし、少年を預かって、生活全般について指導していただくことになりますので、適切な環境や設備を備えていること、少年の秘密を守ることなどに配慮していただいています。詳しくは、家庭裁判所に備え付けてあるパンフレット「少年たちにあなたの力を」をご覧ください。また、(少年事件を担当している)家庭裁判所調査官宛にお問い合わせください。
- 少年を預かったときにかかった費用はどのようになるのでしょうか。また、補導受託者に報酬は支払われますか。
- 補導受託者への報酬はありませんが、実際に少年を預かっていただいたときは、少年のために必要となった食費、交通費などの実費について、その全部又は一部が支払われています。
- 補導受託者となって少年の指導に困ったり、指導がうまくいかないときには、どうすればよいのでしょうか。
- 担当の家庭裁判所調査官に相談することになります。補導委託の期間中は、補導受託者が実際に少年を指導しますが、担当の家庭裁判所調査官も、月に1、2回程度は補導委託先を訪れて少年や補導受託者と会い、少年の生活の様子などを確認します。また、電話や書面などでも補導受託者とよく連絡をとるようにしています。補導委託がうまくいくためには、補導受託者と家庭裁判所が協力することが大切です。少年のことで困ったことがあれば、どんなことでも家庭裁判所に相談してください。
- 家庭裁判所における教育的な働きかけは何を目的としているのですか。
-
家庭裁判所では、少年院送致などの保護処分まで行わず、不処分や審判不開始により事件を終わらせる場合でも、少年が非行を繰り返さないように、自分の起こした非行を深く反省し、立ち直ることを目的として、教育的な働きかけを行っています。
その方法は様々ですが、非行の内容や個々の少年の抱える問題に応じて、適切なタイミングで的確な指導を行うことが重要です。教育的な働きかけは、調査、審判、講習、試験観察など、最終的に少年の処分が決まるまでの様々な段階で行われています。
- 実際の教育的な働きかけではどのようなことが行われているのですか。
- 教育的な働きかけとしては、例えば、下記の取組などが行われています。
- 家庭裁判所調査官による個々の少年や保護者の問題に焦点を当てた面接指導
- 裁判官による少年に対する訓戒や保護者に対する指導
- 犯罪の被害を受けた方の実情や気持ちなどを聞かせ、非行について反省を深めさせるための講習
- 薬物乱用の危険や交通違反の責任についての講習
- 民間ボランティアに少年を一定期間預け、生活態度や職業への心構えなどの指導を受ける補導委託
- 地域の清掃や老人福祉施設での介護などに参加させ、社会に対する償いの気持ちを持たせるとともに、社会の一員としての自覚を促す社会奉仕活動
- 保護者同士で、子に非行を繰り返させないための親の役割について話し合い、保護者としての責任を自覚する機会を設ける保護者会
- 親子関係の問題が非行の大きな原因となっている場合に、親子での共同作業を通じて親子関係の調整を図る親子合宿
- 保護処分とは何ですか。
- 保護処分とは、家庭裁判所に送致された少年を更生させるために行われる少年法上の処分のことです。保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致の3種類があります。なお、場合によっては、少年も、成人の犯罪者と同じように刑事処分を受けることが相当であるとして、検察官に事件を送致することもあります。
- 保護観察のことをもっと詳しく知りたいのですが。
-
保護観察官や保護司の指導・監督を受ければ社会内でも更生できると判断された場合には、保護観察に付されます。決められた約束事を守りながら家庭などで生活し、保護観察官や保護司から生活や交友関係などについて指導を受けることになります。保護観察の種類としては、
・18歳未満の少年に対する保護観察決定
・特定少年に対する
①6月の保護観察決定
②2年の保護観察決定
があります。
なお、保護観察所は法務省が所管しています。詳しくは,法務省ウェブサイトの保護観察に関するページをご参照ください。
- 少年院には,どのような種類があるのですか。
- 少年院の種類は、少年の年齢、心身の状況及び非行傾向等を基準として、次の5種類に分けられています。家庭裁判所が少年院送致決定をする際に指定する少年院の種類は、第1種から第3種までに限られています。
【第1種少年院】
保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がないおおむね12歳以上23歳未満のもの(第2種少年院対象者を除く。)を対象とする。
【第2種少年院】
保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がない犯罪的傾向が進んだおおむね16歳以上23歳未満のものを対象とする。
【第3種少年院】
保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害があるおおむね12歳以上26歳未満のものを対象とする。
【第4種少年院】
少年院において刑の執行を受ける者を対象とする。
【第5種少年院】
特定少年に対する2年の保護観察の執行を受け、かつ、遵守すべき事項を遵守しなかつたと認められる場合の少年院に収容する旨の決定を受けた者を対象とする。
- 少年院のことをもっと詳しく知りたいのですが。
- 少年院は法務省が所管しています。詳しくは、法務省ウェブサイトの少年院に関するページをご参照ください。
- 児童自立支援施設、児童養護施設と少年院はどう違うのですか。
- 児童自立支援施設と児童養護施設は児童福祉法上の支援を行うことを目的として設けられています。開放的な施設であり、家庭的な環境の中で少年を指導するといった点で、基本的に閉鎖施設に収容して矯正教育を行うために設けられた少年院とは異なる面があります(ただし、少年院によっては開放的な教育を行っているところもあります。)。
- 児童自立支援施設ではどのような生活をするのですか。
- 児童自立支援施設では、職員と児童が日常の生活を共にして、生活指導や学習指導、作業指導を行っています。
- 検察官送致の対象となる事件はどういう事件ですか。
-
犯行時14歳以上の少年の事件で、死刑、懲役又は禁錮に当たる刑が定められている罪の事件が対象となります。ただし、処分時18歳以上の少年の事件の場合は、罰金以下の刑が定められている罪の事件であっても、検察官送致が可能です。
なお、犯行時16歳以上の少年が故意の犯罪行為により被害者を死亡させた場合と、死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件であって、その罪を犯すとき18歳以上であった場合は、家庭裁判所は、原則として、事件を検察官に送致しなければなりません。ただし、調査の結果、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、例外的に少年院送致等の処分をすることができます。
調査、審判の結果、少年が20歳以上であることが判明したときも検察官送致の決定がされます。
- 検察官に送致がされた事件はどのようになるのですか。
- 家庭裁判所が少年事件について検察官送致の決定をした場合には、検察官は、一定の例外を除き、事件を地方裁判所又は簡易裁判所に起訴することになり、事件は成人の刑事裁判と同様の手続へと移ることになります。
- 児童相談所長等送致の場合には、児童相談所ではどのような措置がされるのですか。
- 非行の内容や各児童相談所の実情等に応じて多少違いがあるようですが、おおむね次のような措置が行われているようです。
- 訓戒、誓約書の提出
- 児童福祉司、児童委員等による指導
- 里親等への委託
- 児童養護施設、障害児入所施設、児童自立支援施設等の児童福祉施設への入所措置
- 不処分、審判不開始というのは少年には何の処分もされないということですか。
-
不処分又は審判不開始といった語感からすると、家庭裁判所が何もしないまま少年事件を処理しているかのような誤解を与えてしまいがちですが、非行があった少年について、保護処分までは行わず、不処分又は審判不開始の決定をする場合でも、家庭裁判所では、少年や保護者から十分話を聴くなどして、非行の内容や動機、少年の性格、少年を取り巻く環境の問題点などを丁寧に調べ、裁判官や調査官による訓戒や指導等の教育的な働きかけを行っており、少年や保護者がそれをどのように受け止めたかを見極めた上で、決定を行っています。
※家庭裁判所における教育的な働きかけのページもご参照ください。
- どのような場合に抗告ができるのですか。
- 法律上は、決定に影響を及ぼす法令違反、重大な事実の誤認又は処分の著しい不当を理由とするときとされています。つまり、家庭裁判所の審判の手続が法律に違反するものであったり、非行事実が誤って認定されていたり、決定された処分が著しく重過ぎたりすることが理由とされます。このような場合に、決定の告知を受けた日から2週間以内に抗告することができます。抗告をするには、抗告の趣意を簡潔に記載した申立書を決定をした家庭裁判所に提出します。
- 高等裁判所でも言い分が認められなかったときは、どうなるのですか。
- 高等裁判所の判断が憲法に違反していたり、憲法の解釈に誤りがあったり、最高裁判所又は高等裁判所の判例と相反する判断であることを理由とする場合に限り、少年、その法定代理人又は付添人から、最高裁判所に対し、高等裁判所の決定の告知を受けた日から2週間以内に抗告をすることができます。これを再抗告といいます。再抗告をするには、再抗告の趣意を簡潔に記載した申立書を決定をした高等裁判所に提出します。
- 少年犯罪によって被害を受けた方のための制度として、どのようなものがありますか。
- 少年犯罪によって被害を受けた方が家庭裁判所に申し出ることのできる制度として、下記の制度があります。
- 少年事件記録の閲覧・コピー
- 心情や意見の陳述
- 審判の傍聴
- 審判状況の説明
- 審判結果等の通知
- 少年犯罪によって被害を受けた方は、事件記録を閲覧・コピーできるのですか。
- 審判を開始すると決定された事件については、閲覧・コピーを求める理由が正当でない場合等を除き、原則として家庭裁判所で閲覧・コピーできます。それ以外の事件についても、家庭裁判所の許可があれば、閲覧・コピーできます。
- 事件記録は全部見ることができるのですか。
- 家庭裁判所に送られてきた捜査段階の記録や審判期日調書などについて、少年や関係者のプライバシーに深く関わるものなどを除いては、原則として閲覧やコピーができます。
- 家庭裁判所で心情や意見を述べるにはどのような方法があるのですか。
- 審判の場で裁判官に直接述べる方法と、審判以外の場で裁判官や家庭裁判所調査官に述べる方法があります。
- 被害を受けた方が家庭裁判所に行って、自分の気持ちや意見を述べるというのは不安を感じると思いますが、その不安を軽減させるために何か要望を出すことができますか。
- そのような心理的なご負担ができるだけ軽減されるように、被害を受けた方が心情や意見を述べる際は、緊張や不安を和らげるために、家族等に付き添ってもらうことができる場合もありますので、遠慮なく家庭裁判所の担当者にご相談ください。
- 心情や意見は、少年の面前で述べることになるのでしょうか。
- 少年や保護者がいない場で意見を述べることもできますし、また、審判の場で、少年や保護者との間につい立てを置くなどの措置をとることもできます。
- どのような被害を受けた方が審判を傍聴することができるのですか。
- 少年の故意の犯罪行為(殺人、傷害致死、傷害など)や交通事件(過失運転致死傷)などによって被害を受けた方が亡くなってしまったり、生命に重大な危険のある傷害を負った事件のご本人やご遺族の方が対象となります。ただし、少年が事件当時12歳に満たなかった場合には、法律により傍聴が認められていません。
- 審判の傍聴の申出は、いつまでにすればよいのですか。
- 家庭裁判所が傍聴を認めるかどうかの判断をするために日数がかかることがありますので、傍聴を希望される場合はなるべく早めに申出をするようにしてください(審判期日の間近に申出がされた場合には、傍聴が許されないこともありますので、ご注意ください。)。
- 申出をすれば、必ず審判を傍聴できるのですか。
-
審判の傍聴は、家庭裁判所が少年の年齢や心身の状態、事件の性質、審判の状況その他の事情を考慮して、少年の健全な育成を妨げるおそれがなく相当と認めるときに許されます。不相当と認める場合には許されません。
なお、審判の傍聴が許された期日であっても、審判の状況によっては審判廷から一時的に退室していただくこともあります。
- 被害を受けた方が傍聴する際、誰かに付き添ってもらうことができるのですか。
- ひとりで傍聴をすることに著しく不安や緊張を覚えるおそれがあると家庭裁判所が認めるときは、その不安や緊張を緩和するのにふさわしい方に付き添ってもらうことができます。
- 被害を受けた方は、審判の状況について説明を受けることができるのですか。
- 審判期日の日時・場所、審判経過、少年や保護者の陳述要旨、処分結果等審判期日で行われた手続などについて説明を受けることができます。
- 被害を受けた方は、少年がどのような処分を受けたのか知ることはできるのですか。
- 家庭裁判所へ申し出て、次のような内容の通知を受けることができます。
- 少年及びその法定代理人の氏名及び住居
- 決定の年月日
- 決定の主文
- 決定の理由の要旨
- 少年犯罪によって被害を受けた方への配慮の制度について、申出ができる方の範囲や必要書類などを教えてください。
- 申出ができる方の範囲、必要な書類、申出手数料、申出ができる期間などを一覧表にまとめますと、次のとおりになります。
事件記録の閲覧・コピー | 審判結果などの通知 | 審判状況の説明 | 意見陳述 | |
---|---|---|---|---|
申出ができる方 |
| |||
必要な書類等 |
| |||
申出ができる期間 | 審判手続が開始された後 | 事件が家庭裁判所に送られた後 | ||
少年の処分が確定してから3年以内 | 少年の処分が決まるまで | |||
申出手数料 | 収入印紙150円分(コピー代は別にかかります。) | 不要 |
審判傍聴 | |
---|---|
申出ができる方 |
|
必要な書類等 |
|
申出できる期間 | 事件が家庭裁判所に送られた後、申出ができます。 ※家庭裁判所が申出を認めるかどうかの判断をするためには日数がかかることがありますので、審判の傍聴ができない場合もありますので、ご注意ください。 ※審判の傍聴が認められたかどうかについては裁判所から通知されます(認められた場合は、審判期日も併せてお知らせします。)。 |
申出手数料 | 不要 |
- 他にも、被害を受けた方への配慮の制度はあるのでしょうか。
- 刑事事件における証人の不安や緊張等を緩和するための措置と同様の措置を、少年審判においてもとることができます。例えば、審判の場で証人として証言される場合に、少年らが同席しているときは、少年らとの間につい立てを置く、テレビ回線で結ばれた別室から証言するなどの措置をとることができます。
- 被害を受けた方への配慮の制度とは別に、家庭裁判所では被害を受けた方から話を聴くこともあると聞きましたが。
-
被害を受けた方の声を調査、審判に反映させるため、被害の実情やお気持ちについて書面で、あるいは家庭裁判所調査官が直接会ってお話を聴く場合があります。
詳しくは、次項「少年犯罪によって被害を受けた方の声をお聴きしています」をご覧ください。
- どのような目的で話を聴くのですか。
- 被害を受けた方から被害の実情やお気持ちを聴いて、それを少年審判手続に反映させることによって、家庭裁判所として事件を一層正確に理解し、少年に対する適切な処遇を行うことができるようにするためです。
- どのようなことを聴かれるのですか。話したことは裁判官に伝わりますか。
- 被害を受けた状況やその現状、被害による後遺症の有無や生活への影響、少年側からの謝罪や弁償の状況、事件や少年に対するお気持ちなどをお聴きします。家庭裁判所調査官は、被害を受けた方の心情等に十分配慮しながら話を聴き、他の調査結果と共に裁判官に報告します。
- 少年やその保護者から、被害者の意見が反映されたため処分が重くなったと逆恨みを受けることはないですか。
- 少年や保護者に伝えてほしくない事柄については、その旨を申し出ていただければ、家庭裁判所から少年側に伝えることはありません。家庭裁判所としては、被害を受けた方のお気持ちやプライバシーに十分配慮するよう努めています。
- 令和4年4月1日から施行された改正少年法では、何が変わったのですか。
-
選挙権年齢や民法の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられ、18・19歳の者は、社会において、責任ある主体として積極的な役割を果たすことが期待される立場になりました。
今回の少年法改正は、18・19歳の者が罪を犯した場合には、その立場に応じた取扱いとするため、「特定少年」として、17歳以下の少年とは異なる特例を定めています。
改正少年法の主なポイントは次のとおりです。
- 少年法の適用
・18・19歳も「特定少年」として引き続き少年法が適用され、全件が家庭裁判所に送られ、家庭裁判所が処分を決定します。
・ただし、原則検察官送致対象事件の拡大や検察官送致決定後は20歳以上の者と原則として同様に扱われるなど、17歳以下の者とは異なる取扱いがされます。 - 原則検察官送致対象事件の拡大
・原則検察官送致対象事件に、特定少年のとき犯した死刑、無期又は短期(法定刑の下限)1年以上の懲役・禁錮に当たる罪の事件(例えば、強盗罪や強制性交等罪)が追加されます。 - 犯した罪の責任を超えない範囲内での保護処分の選択
・特定少年の保護処分は、家庭裁判所が、犯した罪の責任を超えない範囲内で決定します。 - 実名報道の解禁
・少年のとき犯した事件については、犯人の実名・写真等の報道が禁止されていますが、特定少年のとき犯した事件について起訴された場合には禁止が解除されます。
- 特定少年に対する保護処分について教えてください。
-
今回の改正により、18歳以上の少年(特定少年)の保護処分は、
・ 少年院送致
・ 2年の保護観察(遵守事項に違反した場合には少年院に収容することが可能)
・ 6月の保護観察
とされ、家庭裁判所が、犯した罪の責任を超えない範囲内で、いずれかを選択することとなりました。
特定少年の少年院送致における収容期間は、家庭裁判所が、犯した罪の重さを考慮して、3年以下の範囲内で定めます。
なお、特定少年については、民法上の成年となることなどを考慮し、将来、罪を犯すおそれがあること(ぐ犯)を理由とする保護処分は行わないこととされました。