遺留分減殺による物件返還請求調停

1. 概要

 遺留分とは,一定の相続人のために,相続に際して,法律上取得することを保障されている相続財産の一定の割合のことで,被相続人(亡くなった方)の生前の贈与又は遺贈によっても奪われることのないものです。遺留分減殺請求とは,遺留分を侵害された者が,贈与又は遺贈を受けた者に対し,遺留分侵害の限度で贈与又は遺贈された物件の返還を請求することです。
 遺留分減殺による物件返還請求について当事者間で話合いがつかない場合や話合いができない場合には,遺留分権利者は家庭裁判所の調停手続を利用することができます。
 なお,遺留分減殺は相手方に対する意思表示をもってすれば足りますが,家庭裁判所の調停を申し立てただけでは,相手方に対する意思表示とはなりませんので,調停の申立てとは別に内容証明郵便等により意思表示を行う必要があります。
 この意思表示は,相続開始及び減殺すべき贈与又は遺贈のあったことを知ったときから1年又は相続開始のときから10年を経過したときは,することができなくなります。
 調停手続では,当事者双方から事情を聴いたり,必要に応じて資料等を提出してもらったり,遺産について鑑定を行うなどして事情をよく把握したうえで,当事者双方の意向を聴取し,解決案を提示したり,解決のために必要な助言をし,話合いを進めていきます。

2. 申立人

  • 遺留分権利者(直系卑属,直系尊属及び配偶者)
  • 遺留分権利者の承継人(遺留分権利者の相続人,相続分譲受人)

3. 申立先

 相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所
 申立先の裁判所を調べたい場合は,「申立書提出先一覧(家庭裁判所)」をご覧ください。

4. 申立てに必要な費用

  • 収入印紙1200円分
  • 連絡用の郵便切手
    郵便料は裁判所ごとに異なります。申立先の裁判所で必要な郵便料については「各地の裁判所の裁判手続利用ページ一覧」をご確認ください。
    なお本件手続は「家庭裁判所」の手続ですので各地の裁判所のサイトで郵便料を確認される際は「家庭裁判所」ボタンをクリックしてください。
     
    ※郵便料については,保管金として納付することができます。
    保管金をインターネットバンキングやATMから納付する電子納付の詳細については,「保管金の電子納付について」をご確認ください。
    なお,郵便切手により納付することも可能です。

5. 申立てに必要な書類

(1) 申立書及びその写し1通(6の書式及び記載例をご利用ください。)

(2) 標準的な申立添付書類

  • 進行に関する照会回答書

 ※ 同じ書類は1通で足ります。

 ※ 戸籍等の謄本は,戸籍等の全部事項証明書という名称で呼ばれる場合があります。

 ※ もし,申立前に入手が不可能な戸籍等がある場合は,その戸籍等は申立後に追加提出することでも差し支えありません。

 ※ 審理のために必要な場合は,追加書類の提出をお願いすることがあります。

共通

  1. 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  2. 相続人全員の戸籍謄本
  3. 被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  4. 不動産登記事項証明書
  5. 遺言書写し又は遺言書の検認調書謄本の写し

相続人に,被相続人の父母・祖父母等(直系尊属)(第二順位相続人)が含まれている場合

  1. 相続人が父母の場合で,父母の一方が死亡しているときは,その死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  2. 相続人が祖父母,曾祖父母の場合は,他に死亡している直系尊属(ただし,相続人と同じ代及び下の代の直系尊属に限る(例:祖母が相続人である場合,祖父と父母)がいらっしゃる場合は,その直系尊属死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

6. 申立書の書式及び記載例

 申立書の書式及び記載例

以下の裁判所は、この手続について個別にご案内する事項があります。
詳しくは各裁判所のサイトをご確認ください。
東京 京都 大阪

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