家庭内の紛争などの家庭に関する事件は,家族の感情的な対立が背景にあることが多いので,これを解決するには,法律的な観点からの判断をするばかりでなく,相互の感情的な対立を解消することが求められています。また,家庭に関する事件を解決するに当たっては,その性質上,個人のプライバシーに配慮する必要がありますし,裁判所が後見的な見地から関与する必要があります。
そこで,家庭内の紛争やその他法律で定める家庭に関する事件については,家庭裁判所が,それにふさわしい非公開の手続で,どのようにすれば家庭や親族の間で起きたいろいろな問題が円満に解決されるのかということを第一に考え,職権主義の下に,具体的妥当性を図りながら処理する仕組みになっています。
この家庭に関する事件は一般に家事事件と呼ばれ,さらに審判事件及び調停事件の二つに分かれます。また,家庭裁判所では,履行勧告手続など,これらに付随する手続も扱います。