遺留分侵害額の請求調停

1. 概要

 遺留分とは,一定の相続人(遺留分権利者)について,被相続人(亡くなった方)の財産から法律上取得することが保障されている最低限の取り分のことで,被相続人の生前の贈与又は遺贈によっても奪われることのないものです。被相続人が財産を遺留分権利者以外に贈与又は遺贈し,遺留分に相当する財産を受け取ることができなかった場合,遺留分権利者は,贈与又は遺贈を受けた者に対し,遺留分を侵害されたとして,その侵害額に相当する金銭の支払を請求することできます。これを遺留分侵害額の請求といいます。
 遺留分侵害額の請求について当事者間で話合いがつかない場合や話合いができない場合には,家庭裁判所の調停手続を利用することができます。
 調停手続では,当事者双方から事情を聴いたり,必要に応じて資料等を提出してもらったりするなどして事情をよく把握したうえで,解決案を提示したり,解決のために必要な助言をしたりして,話合いを進めていきます。
 なお,遺留分侵害額の請求は,遺留分に関する権利を行使する旨の意思表示を相手方にする必要がありますが,家庭裁判所の調停を申し立てただけでは相手方に対する意思表示とはなりませんので,調停の申立てとは別に内容証明郵便等により意思表示を行う必要があります。この遺留分に関する権利を行使する旨の意思表示をしないときは,遺留分侵害額請求権は,相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年を経過したときに時効によって消滅します。また,相続開始の時から10年を経過したときも同様です。
※ 令和元年7月1日より前に被相続人が亡くなった場合,この申立てはできません(遺留分を侵害された者は,改正前民法の規定に基づき,贈与又は遺贈を受けた者に対し,遺留分侵害の限度で贈与又は遺贈された物件の返還を請求する遺留分減殺による物件返還請求等の調停の申立てをすることになります。)。

2. 申立人

  • 遺留分を侵害された者(兄弟姉妹以外の相続人)
  • 遺留分を侵害された者の承継人(相続人,相続分譲受人)

3. 申立先

 相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所
 申立先の裁判所を調べたい場合は,「申立書提出先一覧(家庭裁判所)」をご覧ください。

4. 申立てに必要な費用

  • 収入印紙1200円分
  • 連絡用の郵便切手
    郵便料は裁判所ごとに異なります。申立先の裁判所で必要な郵便料については「各地の裁判所の裁判手続利用ページ一覧」をご確認ください。
    なお本件手続は「家庭裁判所」の手続ですので各地の裁判所のサイトで郵便料を確認される際は「家庭裁判所」ボタンをクリックしてください。
     
    ※郵便料については,保管金として納付することができます。
    保管金をインターネットバンキングやATMから納付する電子納付の詳細については,「保管金の電子納付について」をご確認ください。
    なお,郵便切手により納付することも可能です。

5. 申立てに必要な書類

(1) 申立書及びその写し(相手方の数の通数)

(2) 標準的な申立添付書類

共通

  • 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  • 遺言書写し又は遺言書の検認調書謄本の写し
  • 遺産に関する証明書(不動産登記事項証明書,固定資産評価証明書,預貯金通帳の写し又は残高証明書,有価証券写し,債務の額に関する資料等)
  • 進行に関する照会回答書

相続人に被相続人の父母が含まれている場合

  • 父母の一方が死亡しているときは,その死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

※ 同じ書類は1通で足ります。
※ 戸籍等の謄本は,戸籍等の全部事項証明書という名称で呼ばれる場合があります。
※ 申立前に入手が不可能な戸籍等がある場合は,その戸籍等は申立後に追加提出することでも差し支えありません。
※ 審理のために必要な場合は,上記以外にも追加書類の提出をお願いすることがあります。

(3) その他書式
  • 送達場所等届出書

6. 申立書の書式及び記載例

申立書の書式及び記載例

以下の裁判所はこの手続について個別にご案内する事項があります。
詳しくは各裁判所のサイトをご確認ください。
東京 京都 大阪

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