財産開示
手続の案内
概要
①執行力のある債務名義を有する金銭債権の債権者、②一般の先取特権を有する債権者が、債務者の財産がどこにあるかわからない場合等に、債務者の財産に関する情報を得るため、債務者(開示義務者)に裁判所に出頭してもらい、財産の状況について陳述してもらう手続です。この手続の結果を踏まえて、債権執行や不動産の強制競売などを申し立てるかを検討することができます。一般先取特権を有する債権者としては、例えば、雇用関係に基づいて生じた債権を有する者(民法306条2号、308条)や、子の監護の費用を有する者(民法306条3号、308条の2)等が挙げられます。
※債権者が債権を回収するには、陳述によって知り得た債務者の財産に対し、別途強制執行の申立てをする必要があります。
※養育費等の特則
令和8年4月から、養育費等の扶養義務に係る定期金債権に基づいて債務者の給与等を差し押さえようとする場合、債務者の財産を調査するための手続と、その手続で判明した給与の差押え手続を1回の申立てでできるようになりました。この手続をワンストップ執行手続と言います。
ワンストップ執行手続については、「ワンストップ執行手続(財産開示)」をご覧ください。
なお、養育費等の扶養義務に係る定期金債権を請求債権として財産開示の申立てを行う方で、ワンストップ執行手続(財産開示の申立てと同時に債務者が開示した給与債権に対する差押命令の申立てをしたものとみなす手続)を希望されない方は、「反対の意思表示」としてワンストップ執行手続の利用を希望しない旨の上申書(Word:18KB)を合わせて提出してください。
申立先
債務者の住所地を管轄する地方裁判所です。
申立先の裁判所を調べたい場合は、「申立書提出先一覧(地方裁判所)」をご覧ください。
申立てに必要な費用
手数料(1個の申立てにつき2000円)及び郵便料
同一の債権者が複数の債務名義に基づいて申立てをする場合も1個の申立てとなります。
債権者が数名の場合は、数個の申立てとなるため、人数分の申立手数料が必要となります。
同一の債務名義に複数の債務者が記載されている場合も、財産開示手続の性質上、債務者ごとに別事件として申立てをすることが必要となります。
※郵便料は裁判所ごとに異なります。申立先の裁判所で必要な郵便料については、「各地の裁判所の裁判手続利用ページ一覧」をご確認ください。
なお、この手続は「地方裁判所」の手続ですので、各地の裁判所のサイトで郵便料を確認される際は「地方裁判所」ボタンをクリックしてください。
申立前に必要な手続
執行力のある債務名義に基づいて申し立てる場合、債務名義(Q&A)を取得してください。債務名義の種類によって、他に必要な書類等が変わります。
1 裁判所が電子的に作成した債務名義の場合
判決などをした裁判所で執行文の付与を受けるとともに(執行文が必要かどうかは、債務名義の種類によって異なります。以下の「3 執行文の要否」を確認してください。)、事件番号等の裁判所が定める情報(事件特定情報)を提供してください。事件特定情報の提供方法は、原則として申立書の目録の記載を引用する方法になりますが、債務名義が複数ある場合などでは申立書に事件特定情報提供書面を添付していただくことになります(詳しくは申立書の書式を確認してください。)。
この場合、債務名義の正本や送達証明書の準備は不要です。
※なお、債務名義の記録事項証明書を取得の上、これを提出する方法で申し立てることもできますが、その場合、執行文の記録事項証明書(執行文が必要な場合)や送達証明書の提出も必要になります。
2 上記1以外の場合
判決などをした裁判所で、債務名義の正本の発行、執行文の付与(執行文が必要かどうかは、債務名義の種類によって異なります。以下の「3 執行文の要否」を確認してください。)、送達証明書の交付を受けてください(債務名義が公正証書であれば、公証役場で、公正証書正本又は記録事項記載書面(公証人法44条1項2号)の発行、執行文の付与及び送達証明書の交付を受けてください。)。
3 執行文の要否
必要な場合
・判決
・和解調書
・民事調停調書
・和解に代わる決定
・公正証書
・訴訟費用額確定処分等
不要な場合
・家事審判書
※執行文は不要ですが、確定証明書が必要になります。
・家事調停調書
※原則として執行文は不要ですが、家事調停で決められた慰謝料や解決金などを請求する場合には、執行文が必要となります。
・仮執行宣言付支払督促
・仮執行宣言付少額訴訟判決
申立てに必要な書類
1 申立書類
(1) 執行力のある債務名義の正本を有する債権者
A 申立書頭書
債務名義が裁判所において電子的に作成した場合とそれ以外の債務名義による場合とで使う申立書の頭書は異なります。
債務名義が裁判所において電子的に作成された場合には、申立書に事件特定情報提供書面を添付する必要があるときもありますので、上記の申立前に必要な手続の「1 裁判所が電子的に作成した債務名義の場合」の記載を確認してください。
B 当事者目録
C 請求債権目録
D 財産調査結果報告書
E 債務名義等還付申請書(事件特定情報を提供した場合は不要)
(2) 一般の先取特権を有する債権者
A 申立書頭書
B 当事者目録
C 担保権・被担保権・請求債権目録
D 財産調査結果報告書
※作成上の注意事項はQ&Aをご覧ください。
2 添付書類
(1) すべての申立てに共通
A 資格証明書
申立人、債務者が会社や銀行などの法人の場合、申立日から3か月以内に発行されたその法人の商業登記事項証明書(代表者事項証明書)が必要です。法務局で発行されますので、お近くの法務局にお問い合わせください。
B 当事者の住所・氏名に変更がある場合の必要書類
当事者の住所、氏名が債務名義等の住所・氏名(商号)と異なっている場合(転居、法人の本店移転、婚姻による改姓の場合等)は、債務名義等の住所、氏名(商号)と現在の住所、氏名(商号)のつながりを明らかにするための書類(住民票、戸籍謄本、戸籍の附票、商業登記事項証明書等の公文書等。現在の住所、氏名とのつながりを証する公文書等は申立日から3か月以内に発行されたもの)が必要です。住民票を異動させていない場合など、つながりを明らかにできないときは、申立先の裁判所にあらかじめお問い合わせください。
※債務者の現在の住所を確認するため、債務者の住民票の提出を求める運用としている裁判所もあります。要否については、申立てを予定している裁判所のウェブサイト等で確認してください。
(2) 執行力のある債務名義の正本を有する債権者
強制執行を開始できることの資料が必要です。なお、裁判所が電子的に作成した債務名義の場合には、事件特定情報を提供すれば、A~Dの提出は不要です。
A 執行力のある債務名義の正本(又は記録事項証明書)
B Aの送達証明書
C 債務名義が更正されている場合は、その更正決定正本(又は記録事項証明書)
D Cの送達証明書
E 債務名義が家事審判の場合は、その確定証明書
F その他執行開始要件を備えたことの証明を要する場合は、その証明文書
G 上記A~Fの写しを各1通(債務名義等還付申請をする場合)
※上記A~Fは、原本提出が必要ですが、同一債務名義に基づいて複数の申立てを同時に行う場合、2通目以降の申立てにおいては、1通目に添付した原本を引用することができます。引用を希望する場合は、上記必要書類の写しとともに、引用上申書を提出してください。
(3) 一般の先取特権を有する債権者
一般の先取特権を有することの証明文書が必要となります。どのような文書がこれに該当するかは、事案ごとの判断となります。
※ 先取特権を有することの証明文書は、原本に加えて、その写し2通を裁判所に提出してください。写しのうち1通は、債務者へ財産開示手続の実施決定正本とともに送達します(民事執行法197条4項)。
3 証拠書類(すべての申立てに共通)
(1) 民事執行法197条1項1号又は2項1号の要件を証明する文書(1号申立ての場合)
配当表写し、弁済金交付計算書写し、不動産競売開始決定写し、債権差押命令写し、配当期日呼出状写しなど
(2) 民事執行法197条1項2号又は2項2号の要件を疎明する文書(2号申立ての場合)
財産調査結果報告書記載の添付資料
(3) 民事執行法197条3項の要件を証する文書(必要な場合)
※各要件と証拠書類についてはQ&Aをご覧ください。
手続の流れ
1 裁判所は、財産開示手続申立てに理由があると認めるときは、実施決定をし、決定を債務者に送達します。
2 債務者への送達から1週間を経過したときは、実施決定が確定します。
3 実施決定が確定したら、財産開示期日とともに、債務者(開示義務者)の財産目録提出期限が指定されます。財産開示期日は、申立人については、裁判所が相当と認める場合に、開示義務者については、申立人に異議がないなど一定の要件を満たし、裁判所が相当と認める場合に、それぞれウェブ会議システムを利用して財産開示期日に出頭することができます。ウェブ参加希望の上申書(Word:24KB)のほかに書類を提出する必要がある場合もありますので、上申書を提出する前に事件が係属する裁判所へ確認してください。上申書を提出した上で、ウェブ会議システムを利用した出頭が認められるかは、事案ごとの判断になります。
4 提出された財産目録は、民事執行法201条に掲げられた者に限り、財産開示期日前においても閲覧、謄写することができます。
※開示義務者が財産目録を提出した後は、債務者の同意がない限り、財産開示手続申立事件を取り下げることはできません(民事執行法20条、民事訴訟法261条2項)。
5 申立人(申立人が法人の場合は代表者)、同代理人弁護士、同許可代理人は、財産開示期日に出頭し、執行裁判所の許可を得て、開示義務者に対し質問することができます(民事執行法199条4項)が、探索的な質問や債務者を困惑させる質問は許可されません。
6 (事件特定情報を提供していない場合)執行力のある債務名義の正本等及び同送達証明書(同確定証明書も同様)は、財産開示手続の実施決定が確定又は事件が取下げ等で終局するまで原則として還付されません。
7 開示義務者が財産開示期日に出頭しなかった場合、原則として、財産開示手続は終了します。
その他
その他の手続に関するご案内についてはQ&Aをご覧ください。
財産開示手続に関するQ&A一覧へ
以下の裁判所は、この手続について個別にご案内する事項があります。
詳しくは各裁判所のサイトをご確認ください。
神戸