民事訴訟Q&A

民事訴訟Q&A【訴え提起まで】

1. 窓口のご案内

Q. どこに行けばよいのでしょうか?
簡易裁判所の民事に関する手続案内については、札幌簡易裁判所(札幌市中央区大通西12丁目)1階に手続案内センターが設けられています。

なお、札幌地方裁判所(札幌市中央区大通西11丁目)の訴状の受付は、同裁判所3階の民事訟廷事務室で行っています。

(窓口案内のページもご覧ください。)

2. 裁判(訴訟)は、どの裁判所に起こすのか?(裁判をどの裁判所が担当するのか、その範囲を「管轄」といいます。)

Q. 地方裁判所に起こせる裁判(訴訟)には、どのようなものがありますか?
地方裁判所では、「140万円を超える請求」を求める裁判(訴訟)を第一審として扱います。

これに対して、「140万円以下の請求」を求める裁判(訴訟)は、簡易裁判所が第一審として扱います。
Q. 裁判(訴訟)は、どこの裁判所に起こすのですか?
原則として、「被告(相手方)の住所地」を基準に、その地域の訴訟を担当する地方裁判所に起こすことになります。

しかし、その他にも、財産権上の訴え(例えば、金銭の支払を求める訴訟)では、債務者が債務を「履行すべき場所」(原告住所地である場合が多い。)を担当する裁判所に起こすこともできます。また、例えば、不法行為に基づく損害賠償請求訴訟では、「不法行為が行われた場所」を担当する裁判所にも起こすことができますし、不動産に関する訴訟では、対象となる「不動産の所在地」を担当する裁判所に起こすこともできます。

3. 裁判(訴訟)を起こすときに必要な費用

Q. 裁判(訴訟)を起こすときに、どのような費用が必要になりますか?
まず、「訴え提起手数料」が必要です。

これは、請求する金額や内容によって異なります。この手数料は、収入印紙で納めていただくことになります。

次に、「郵便料」が必要です。

これは、裁判書類などを郵送するための費用で、現金や郵便切手で納めていただくことになります。
Q. 費用のめやすを教えてください?
「訴え提起手数料」のめやすとしては、

100万円の金銭を請求する場合は、1万円
300万円の金銭を請求する場合は、2万円
500万円の金銭を請求する場合は、3万円
1000万円の金銭を請求する場合は、5万円
3000万円の金銭を請求する場合は、11万円
5000万円の金銭を請求する場合は、17万円
1億円の金銭を請求する場合は、32万円

「郵便料」のめやすとしては、当事者(原告又は被告)1人につき、3000から4000円程度の費用が必要となります。
Q. 費用を支払う資力がない場合でも、費用は必ず納めなければならないのですか?
「費用を支払う資力がない人」や「費用の支払により生活に著しい支障を生じる人」に対し、「裁判に勝つ見込みがないとはいえない場合」に、費用の支払を一時的に猶予する制度があります。

この制度は、「訴訟上の救助」といいますが、申立てがあれば、裁判所がこれを認めるかどうかを判断することになります。

このほか、裁判手続上の補助以外にも、訴訟費用や弁護士費用の立替等を受けられる「法律扶助」の制度がありますが、これについては、「日本司法支援センター」(連絡先電話番号:0570-078374)にお問い合わせください。
Q. 裁判(訴訟)を起こしたあとに、さらに費用がかかることがありますか?
裁判手続の途中で郵便料などが不足したときは、追加して納めていただくことになります。

その他、証人尋問を行ったり、鑑定を行ったりする場合には、費用がかかることもあります。

また,裁判で判決などを得たのち,強制執行を行う場合にも,別途費用がかかります。

4. 裁判(訴訟)を起こすときに必要な書類

Q. 裁判(訴訟)を起こすときに必要な書類は何ですか?
「訴状」が必要となります。

訴状は、裁判所用1部と被告送付用として被告の人数分の訴状副本(訴状と同じもの)を作成し、裁判所に提出していただくことになります。
Q. その他に必要な書類は,ありますか?
例えば、当事者が法人(会社等)の場合は「商業登記簿謄本(登記事項証明書)」など、不動産に関する訴訟では「不動産登記簿謄本」や「固定資産評価額証明書」など、手形小切手の訴訟では「手形・小切手のコピー(表・裏)」などを裁判所に提出していただくことになります。
Q. 証拠書類は、提出しなくてもよいのですか?
裁判所に提出して調べてほしいと思うものがあれば、書類ごとにコピーを取り、裁判所用1部と被告用の部数を裁判所に提出していただくことになります。

5. 訴状の記載内容

Q. 訴状には,どのようなことを書くのですか?
訴状には、「原告」(申立人)や「被告」(相手方)、「請求の趣旨」(被告に対し、どのような請求をし、裁判所に認めてもらいたいかの結論)や「請求の原因」(「請求の趣旨」を導くための具体的な事実や法律的な根拠)などを書くことが必要です。
Q. 訴状のひな形や記載例は、ないのですか?
いくつか定型の訴状の用紙は用意してあります。

希望される方には、お渡ししています。

なお,当裁判所サイトの書式例に民事訴訟に関する代表的な書式例を掲載しています。
Q. 訴状の書き方は、教えてもらえるのですか?
当事者(原告や被告)の表示など形式的な事項の記載については、お話しすることができます。

しかし、「請求する内容やその法律上の根拠・主張をどのように考え、記載すればよいか」などという一方の当事者に有利となるようなアドバイスを行うことはできません。

6. 訴訟代理人

Q. 裁判(訴訟)を起こすには、弁護士(代理人)に依頼しなければなりませんか?
本人自身で手続を行うことができます。

裁判(訴訟)の手続を行ううえで、代理人として弁護士に依頼するかどうかは、ご本人が決めることになります。
Q. 弁護士以外の人を代理人に選ぶことはできますか?
地方裁判所では、弁護士以外の人を代理人に選ぶことはできません。

なお、簡易裁判所では、裁判所の許可を受けた者及び司法書士のうち訴訟代理業務を行うことのできる認定を受けた者は代理人となることができます。

7. 裁判(訴訟)を起こす前に,知っておきたいこと

Q. 裁判に勝訴すれば、例えば、判決で認められたお金は返してもらえるのですか?
相手が任意に支払をしてくれればよいのですが、そうでない場合は、判決に基づいて強制執行の申立てをしなければなりません。強制執行の申立てをするのにも費用が必要となります。また、相手に強制執行の対象となる財産がなければ、結局、お金の支払を受けられずに終わるということもありえます。

執行手続については,裁判所サイト「「裁判手続の案内 裁判の種類」の「民事事件」のうち「民事執行手続」」をご覧ください。
Q. 民事裁判と刑事裁判は、どこが違うのですか?
「民事裁判」が個人の間の法律的紛争、例えば財産権に関する紛争などの解決を求める訴訟であり、個人が直接相手方に訴訟を起こすことができる手続であるのに対して、「刑事裁判」は犯罪の成否と刑罰を科すかどうかを判断する訴訟であり、検察官のみが処罰を求める者(被告人)を相手に訴訟を起こすことができる手続です。

したがって、個人が、裁判所に対し、刑事裁判の訴訟を起こすことはできません。