このページでは,検察審査会での審査の流れについて紹介しています。
検察審査会での審査の流れ(図)
審査の開始
検察審査会が審査を始めるのは,次の2つの場合です。
- 審査申立て
- 職権審査
審査申立てについて
審査申立ては誰でもできるわけではなく,その犯罪の被害者や告訴・告発をした人などに限られています。
申立ては,審査申立書を管轄の検察審査会に提出して行います(申立書の書式はこちら(PDF:58KB))。
なお,申立てや手続案内には,費用はかかりません。
職権審査について
申立てがなくても,新聞記事などをきっかけに審査を始めることもあり,これを職権審査といいます。
審査の方法
審査は,検察審査員全員が出席する検察審査会議(非公開)で行われます。
審査会議では,通常,検察庁から取り寄せた捜査記録から,検察官がどのように判断をして不起訴処分をしたかについて調べ,申立人が提出した資料などを踏まえて,その不起訴処分が正しかったかどうかを検討します。
検察審査会が必要と判断したときは,検察官から意見を聴取したり,審査補助員を委嘱して助言を求めたりすることもできます。
審査補助員とは
検察審査会は,関係する法令の解釈・適用に疑問がある事件や証拠関係が複雑な事件について,弁護士からその事件について説明や助言などを受けることができます。その弁護士を審査補助員といいます。
審査補助員は,(1)法令及びその解釈を説明すること,(2)その事件の事実上及び法律上の問題点を整理すること,(3)整理した問題点に関する証拠を整理すること,(4)その事件の審査に関して法的観点から必要な助言を行うことを職務としています。
議決
審査会議の結論は,「議決」という形でまとめます。
議決は過半数(11人中6人以上の多数)で決めますが,起訴相当の議決及び第二段階での起訴議決をする場合は慎重を期するため,11人中8人以上の多数が必要とされています。
起訴相当
11人中8人以上が「検察官の不起訴処分は間違っている。起訴するべきだ。」という判断をした場合の議決です。
起訴相当の議決がされると,検察官は再度捜査を行い,改めて起訴・不起訴の判断をします。
検察官が改めて不起訴処分をした場合や法定の期間内に処分をしない場合は,検察審査会は,再度の審査を行います。
再度の審査について,詳しくは「第二段階の審査」をご覧ください。
不起訴不当
「検察官の不起訴処分には納得できない。もっと詳しく捜査した上で起訴・不起訴の処分をすべきだ。」という判断をした場合の議決です。
不起訴不当の議決がされると,検察官は再度捜査を行い,改めて起訴・不起訴の判断をします。
不起訴相当
「検察官の不起訴処分は相当である。」という判断をした場合の議決です。
第二段階の審査
起訴相当の議決に対して,検察官が改めて不起訴処分をした場合や法定の期間内(原則3か月。さらに3か月まで延長可能。)に処分をしない場合,検察審査会は,再度の審査(第二段階の審査)を行います。
第二段階の審査においては,さらに適正かつ充実した審査を行うため,必ず審査補助員を委嘱することとされています。
また,起訴議決をするときは,あらかじめ,検察官に対し,意見を述べる機会を与えなければなりません。
第二段階の審査を終えた場合には,「起訴すべき旨の議決(起訴議決)」又は「起訴議決に至らなかった旨の議決」のいずれかの議決をします。
起訴すべき旨の議決(起訴議決)とは
11人中8人以上の検察審査員が「検察官が不起訴にしたのは正しくなく,起訴して裁判にかけるべきだ。」という判断をした場合の議決です。
起訴議決がされると,検察審査会の所在地を管轄する地方裁判所は,検察官の職務を行う弁護士を指定し,指定された弁護士は,検察官に代わって起訴をして訴訟活動を行います。
起訴された後の刑事裁判の流れなどについては,「裁判手続案内」をご覧ください。