債権執行(養育費等に基づく差押え)

手続の案内

概要

調停調書や公正証書などで取り決めた養育費や婚姻費用の分担金等が支払われない場合に、債務者の給料や銀行預金等を差し押さえ、債権者が債務者の勤務先や銀行等から支払を受けること等により、債権を回収する手続です。一般の債権執行手続に比べて、差し押さえることのできる債務者の給与等の範囲が、原則として給料などの2分の1に相当する部分まで拡大されています。

なお、裁判所における養育費に関する手続については、こちらにもご案内がございます。
養育費に関する手続

※養育費等の特則(将来の分の差押え(民事執行法151条の2)について)
差押えは、債権者の有する債権が貸金債権や売買代金債権等である場合、支払日が過ぎても支払われない部分(未払分)についてのみ申し立てることができます。しかし、債権者の有する債権が、裁判所の調停や判決などで定めた養育費や婚姻費用の分担金など、夫婦・親子その他の親族関係から生ずる扶養に関する権利で、定期的に支払時期が来るものである場合は、未払分に限らず、まだ支払日が来ていない部分(将来分)についても差押えを申し立てることができます。また、将来分について差し押さえることができる財産は、債務者の給料や家賃収入などの継続的に支払われる金銭で、その支払時期が養育費などの支払日よりも後に来るものとなります(民事執行法151条の2第1項)。

申立先

原則として、債務者の住所地を管轄する地方裁判所です。

申立先の裁判所を調べたい場合は、「申立書提出先一覧(地方裁判所)」をご覧ください。

申立てに必要な費用

手数料(原則として4000円)及び郵便料

※郵便料は裁判所ごとに異なります。申立先の裁判所で必要な郵便料については、「各地の裁判所の裁判手続利用ページ一覧」をご確認ください。
なお、本件手続は「地方裁判所」の手続ですので、各地の裁判所のサイトで郵便料を確認される際は「地方裁判所」ボタンをクリックしてください。

申立てに必要な書類

1 申立書(申立書頭書、当事者目録、請求債権目録、差押債権目録)

2 執行力のある債務名義の正本
強制執行の申立てをするためには、債務名義の正本が必要です(謄本では強制執行はできません。)。また、執行文が必要なものについては執行文(「債権者○○は債務者××に対し、この債務名義により強制執行することができる。」等と書かれた裁判所書記官又は公証人作成の書類)が付いているかどうかを確認してください(通常は最終ページにあります。)。債務名義正本の発行や執行文の付与は、債務名義を作成した家庭裁判所や公証役場で行います。

(1) 家事調停調書正本
執行文は不要です。ただし、養育費や婚姻費用だけでなく、解決金や慰謝料分も合わせて請求するときは、執行文が必要になります。
(2) 家事審判書正本
執行文は不要ですが、確定証明書が必要になります。
(3) 公正証書正本
執行文が必要です。
(4) その他(判決正本、和解調書正本)
執行文が必要です。

3 送達証明書
債務名義の正本又は謄本が債務者に送達されたことの証明書です。この証明書がないと強制執行ができません。この証明書は、債務名義を作成した家庭裁判所や公証役場で発行します。

4 資格証明書
第三債務者が会社や銀行などの法人の場合、申立日から3か月以内に発行されたその法人の商業登記事項証明書(代表者事項証明書)が必要です。法務局で発行されますので、お近くの法務局にお問い合わせください。

5 当事者の住所・氏名に変更がある場合の必要書類
当事者の住所、氏名が債務名義上の住所・氏名と異なっている場合(転居、婚姻による改姓の場合等)は、債務名義上の住所、氏名と現在の住所、氏名のつながりを明らかにするための書類(住民票、戸籍謄本、戸籍の附票等の公文書等。現在の住所、氏名とのつながりを証する公文書等は申立日から3か月以内に発行されたもの)が必要です。住民票を異動させていない場合など、つながりを明らかにできないときは、申立先の裁判所にあらかじめお問い合わせください。

手続の流れ

1 申立て
申し立てる裁判所は、原則として、債務者の住所地を管轄する地方裁判所です。

差押えの対象となる債権が現実に存在するかどうか、存在するとしてその額等を知りたい場合には、陳述催告の申立て(第三債務者に対して、差押債権の有無などにつき回答を求める申立て)をすることができます。陳述催告の申立ては、債権差押命令申立てと同時にしてください。

2 差押命令
裁判所は、債権差押命令申立てに理由があると認めるときは、差押命令を発し、債務者と第三債務者に送達します。

3 差押え
差押命令が第三債務者に送達されると、差押えの効力が生じます。例えば、給料差押えの場合、原則として相手方の給料の2分の1(月給で66万円を超える場合には、33万円を除いた金額)を差し押さえることができます。ただし、相手方が既に退職している場合などには、差押えはできません。

4 取立て(又は配当)
債権差押命令が債務者に送達された日から1週間を経過したときは、債権者はその債権を自ら取り立てることができます(ただし、第三債務者が供託をした場合は、裁判所が配当等を行うので、直接取り立てることはできません。)。
第三債務者から支払を受けたときには、取立(完了)届を利用して、直ちにその旨を裁判所に届け出てください。

その他

その他の手続に関するご案内についてはQ&Aをご覧ください。
債権執行手続に関するQ&A一覧へ

以下の裁判所は、この手続について個別にご案内する事項があります。
詳しくは各裁判所のサイトをご確認ください。
東京 横浜 大阪

書式のダウンロード

申立てに必要な書式及びその他この手続に関連する書式のダウンロード

債権執行手続のQ&A

ページ上部に戻る