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宮腰 智洋
札幌家庭裁判所 家庭裁判所調査官(H27採用)
My Pride
最前線でケースに向き合い、動かしていくこと
私は現在、少年事件を担当しており、非行に至った背景を明らかにしたり、再び非行に至ることがないよう様々な働き掛けを行ったりしています。また、裁判所の施策の企画・立案にも携わっており、家裁調査官の研修の企画や、裁判所のデジタル化について、他の部署の職員とも協力しながら取り組んでいます。
あるケースの少年は、家庭や高校になじめず、不良仲間と遊ぶ中で非行に至りました。面接では、少年の口数が少なく、どう関わればよいか迷いました。しかし、少年に寄り添いながら面接を重ねるうちに、少年は、ほめられた経験が少なく、自信が持てなかったこと、不良仲間だけが自分を認めてくれる存在であることを話すようになりました。そのような少年の気持ちを保護者に伝えたところ、保護者は接し方を改める決意をしました。その後、少年は、高校を退学して仕事を始め、保護者や職場の上司から認められる経験を重ねる中で自信を少しずつ取り戻し、不良仲間との関係も断ち、立ち直っていきました。こうした場面に立ち会うと、少年の持つ力を信じることの大切さとともに、家裁調査官としてのやりがいを感じます。
少年事件の少年や保護者、家事事件の当事者や子どもは、様々な困難や葛藤を経験しており、容易には問題を解決できない状況にあることも少なくありません。こうしたケースほど、家裁調査官の力が求められます。
家裁調査官は、望ましい解決に向かうよう、非行や家庭内の紛争の背景をひも解いたり、少年や当事者に働き掛けたりして、裁判官に意見を提出します。正解があるわけではなく、悩みも尽きませんが、上司や同僚と構成しているチームで、日頃から率直に意見交換したり相談できることも魅力の一つです。
家庭裁判所に来る少年や当事者は、それぞれの人生を歩んできており、同じケースは一つもありません。これからも、少しでも良い解決を目指して一つ一つのケースに誠実に向き合っていきたいと思います。