後見人等に選任された方へ

第1 成年後見人・保佐人・補助人に選任された方

 成年後見人・保佐人・補助人(以下「後見人等」といいます。)に選任された方は、裁判所から配布された冊子をよく読んで、後見人等の役割や責任、裁判所への報告方法などについて十分理解するようにしてください。

後見人等の裁量について

 後見人は、日常生活に関する行為(日用品の購入など)を除いて、包括的な代理権を有しています。後見人が行う身上監護行為及び財産管理行為について、本人の利益となり得る方法が一つだけとは限りませんが、そのうち本人の利益のためにどの方法を選ぶかは基本的には後見人が責任をもって判断すべきことになります。その意味において、後見人にはどのような方法を選ぶかについての「裁量」があるということができます。保佐人、補助人は付与された権限の範囲内で「裁量」があります。
 後見人等の裁量の範囲には一定の限界があります。裁判所は、後見人等がしようとしていることが本人の利益に反する恐れがある(後見人等の裁量を逸脱している)と判断した場合は、後見人等に何らかの「指示」をすることがありますし、その「指示」に従わない場合は、後見人等を解任することもあります。
 後見人等の事務の中で、分からないことや判断に迷うことがあった場合、まずは後見人・保佐人・補助人のしおりを読んでください。後見人がしようとしていること(方針)が後見人等の裁量の範囲内にあるかどうか判断に迷う場合は、方針を具体的に連絡票に記載して裁判所に連絡してください。
 後見人等としてどのようなことができるのかがわからなかったり、どの方針を選ぶべきか迷ったりした場合には、お近くの成年後見制度推進機関(社会福祉協議会など)に相談したり、専門職(弁護士、司法書士など)に相談してください。

図版:後見人等の裁量について

第2 成年後見人・保佐人・補助人のしおり

 面接等の際に主に親族後見人等にお渡ししている冊子(令和6年10月版)です。(容量が大きいため、2つのファイルに分かれています。)

第3 後見人等のための書式

 成年後見人・保佐人・補助人に選任された後の職務・手続・使用する書式を紹介します。

※令和6年10月1日から郵便料金が変更されることとなりましたので、裁判所に提出していただく郵便切手の金額も変更されます(事件ごとの詳しい金額はこちら(PDF:214KB))。

成年後見・保佐・補助

初回報告 / 定期報告 / 死亡時 / 住所等の届出 / 連絡票 / 信託等関係 / 各種申立て

  •  後見人等は、定められた期限までに裁判所に提出してください。(財産管理の代理権がない保佐人・補助人は、財産目録及び収支予定表を提出する必要はありません。)
  • 詳しい説明(PDF:259KB)
  •  本人がお亡くなりになられた場合は、2か月以内に死亡診断書又は除籍謄本のコピーを添えて裁判所に死亡の連絡をしてください。また、東京法務局に対して終了の登記の申請をしてください。
  • →詳しい説明(PDF:266KB)
  •  本人の本籍・住所・氏名や後見人等の住所・氏名が変わった場合には裁判所に届出書を提出してください。また、東京法務局に対して変更登記の申請をしてください。
  • →詳しい説明(PDF:99.9KB)
  •  成年後見人・保佐人・補助人に選任された後、事務をしていく中で、裁判所に連絡等をする場合には、連絡票をお送りください。
     なお、監督人が選任されている場合には、裁判所に連絡する前にまず監督人に連絡してください。
  • ・書式
  • 連絡票(Word:51KB)
  • 連絡票記載例(PDF:288KB)
  •  後見制度支援信託や後見制度支援預貯金を利用中の方で、本人に多額の支出が必要となり、成年後見人が手元で管理している金銭だけでは足りない等の状況が生じた場合、又は本人に相続や不動産売却により臨時収入があったり、黒字分が貯まったりして、成年後見人が管理する金銭が多額になった場合には、まずは裁判所にご連絡ください。
  • →詳しい説明(PDF:183KB)
  • (1)居住用不動産処分許可申立て
  •  本人の居住用不動産の処分(売却・抵当権設定・賃貸借契約解除等)をする必要がある場合は、事前に裁判所の許可を得る必要があります。
  • 詳しい説明(PDF:263KB)
  • (2)本人と後見人等の利益が相反する場合に必要な申立て
  •  本人と後見人が相続人となる相続が発生した場合等、本人と利益が相反する場合は、本人のために特別代理人(保佐の場合は臨時保佐人、補助の場合は臨時補助人)を選任することを裁判所に申し立てる必要があります。
  • 詳しい説明(PDF:262KB)
  • (3)報酬付与申立て
  •  後見人等は、その事務の内容に応じて、本人の財産の中から報酬を受け取ることができます。その場合には、後見人等から裁判所に報酬付与の申立てをする必要があります。
  • 詳しい説明(PDF:269KB)
  • (4)後見人等の辞任・選任の申立て、代理権・同意権の追加付与申立て
  •  後見人等は、正当な事由がある場合に限り、裁判所の許可を得て、後見人等を辞任することができます。辞任の申立てをする場合は、後任の後見人等を選任する申立てを同時にしていただくことになります。
  •  代理権・同意権付与の審判後に、代理権及び同意権の範囲を拡張するため、追加的に代理権・同意権付与の申立てをすることができます。なお、代理権・同意権付与の申立てには本人の同意が必要です。
  •  申立ての手数料については、申立てをする裁判所にお問い合わせください。
  • →辞任・選任について詳しい説明(PDF:263KB)
  • →代理権・同意権について詳しい説明(PDF:420KB)
  • (5)成年被後見人に宛てた郵便物の回送嘱託の申立て
  •  成年後見人(保佐人・補助人を除く。)は、本人の財産を正確に把握し、適切な財産管理を行うために必要がある場合、本人に宛てた郵便物の配達(回送)を受ける申立てをすることができます。
  •  郵便物等の回送は本人の通信の秘密(憲法21条2項後段)の制約を伴うものであるため、申立てにあたってはその必要性の疎明が必要となります。
  • 詳しい説明(PDF:149KB)
  • (6)成年被後見人の死亡後の死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結
  •  その他相続財産の保存に必要な行為(死後事務)についての許可の申立て
  •  本人が死亡した場合において、成年後見人(保佐人・補助人を除く。)が、本人の遺体の火葬又は埋葬(土葬)に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為をするには、裁判所の許可が必要です。
  •  ただし、成年後見人が本人の相続人としてその行為をする場合は、裁判所の許可はいりません。
  • 詳しい説明(PDF:151KB)