民事訴訟

地方裁判所に訴えを起こしたい方のために

はじめに

 訴訟を起こすためには,裁判所に訴状を提出する必要がありますが,地方裁判所で扱う事件には様々なものがあるため,各ケース毎の定型的な訴状用紙は用意されていません。したがって,訴状は,ご自身で作成するか,弁護士に訴訟を依頼するか,あるいは,訴状の作成のみを司法書士に依頼するか,いずれかの方法により作成していただくことになります。

 以下では,ご自身での訴状作成をお考えになっている方のために,訴状の形式,記載内容等の一般的事項を説明いたします。

用紙等

  • A4判の用紙を縦置き,横書きで記載してください。用紙の左側には,3センチほどの余白を設けてください。
  • ペン又はボールペンで記載してください。
  • 複数枚になるときは,左端を綴じ,割印するか又は各頁の下に頁番号を記載してください。
  • ワープロやパソコンで作成する場合は,感熱紙を使用しないでください。

訴状の一般的記載事項について

  1. 「訴状」という表題
  2. 訴状作成年月日
  3. 提出先の裁判所名
  4. 訴状提出者の氏名,押印
  5. 事件名
     被告に求めるものを,事件名にして記載してください。
     例:損害賠償請求事件,建物明渡等請求事件
  6. 訴訟物の価額
     請求の内容を金額に換算したものを記載してください。訴え手数料や管轄の基準となります。
  7. 貼用印紙額
     訴え手数料を,訴状正本に収入印紙を貼って納めますが,その金額を記載してください。
  8. 原告
     原告の住所氏名,電話番号,ファクシミリ番号及び書類の送達場所(裁判所からの郵便書類の受取希望場所。住所と同じであれば,「同上」としてください。)
  9. 被告
     被告の住所氏名(さらに,判明している場合は,電話番号,勤務先の所在地・名称)
    8. 9. 共通
     原告,被告が法人の場合には,会社の本店所在地,会社名,代表者の資格,氏名を記載してください。
     例:「○○市○○町○○番地
     ○○株式会社
     代表者代表取締役 ○○○○」
  10. 請求の趣旨
     あなたが被告に求める請求の内容を簡潔に記載してください。
     例:
     「1 被告は,原告に対し,下記金員を支払え。金○○○○○円
     2 訴訟費用は,被告の負担とする。との判決(□及び仮執行の宣言※)を求める。」
     ※ 判決が確定する前に判決の内容に基づいて強制執行をしたいときには,□をレ点でチェックしてください。

  11. 請求の原因
     紛争の内容とあなたの主張を詳しく記載してください。
  12. 証拠
     提出する証拠を,証拠の標目を付して記載してください。
     原告が提出する証拠は,「甲第○号証」となります。
  13. 附属書類
     訴状(正本)の他に提出する書類を記載してください。

裁判所に提出する書類等

(事案により,このほかの書類の提出が必要となる場合があります。)

  • 訴状
    被告の数+1 通
     裁判所に提出する訴状の数は,被告の数に1を加えた数です(うち1通は正本,そのほかは副本となります。※)。それぞれに押印,訂正印が必要です。
    ※ 正本は,裁判所で保管する分,副本は,被告へ送付する分
    (このほかに,原告の控えとして1通を手元に残すことをお勧めします。)
  • 証拠書類の写し
    被告の数+1 通
     証拠書類は,訴状と同じ数のコピーを提出してください。原本を提出した場合,返却できません。証拠調べのときに原本の提示を求められることがあります。
  • 商業登記簿謄本(又は登記事項証明書)
     法人が原告又は被告となる場合,必要です。法務局で取得してください。
  • 不動産登記簿謄本(又は全部事項証明書)
     不動産に関する訴えを提起する場合,必要です。法務局で取得してください。
  • 固定資産評価証明書
     不動産に関する訴えを提起する場合,訴訟物の価額を算出するために必要です。市町村役場で取得してください。
  • 収入印紙
     納付する収入印紙額は,訴訟物の価額によって異なります。提出先の裁判所にお尋ねください。なお,一度納付された収入印紙は,特別な理由(民事訴訟費用等に関する法律9条)がなければ返還できません。
  • 郵便料
     現金もしくは郵便切手で納付してください。
     できる限り現金納付の方法によっていただくよう、ご協力をお願いします。
  1. 現金
     原告,被告が1名ずつの場合,6000円です(原告または被告が一人増えるごとに2000円が加わります。)。民事予納金として会計課に納付してください。
     訴状を郵便で裁判所に提出した場合には,後日,裁判所から,郵便料の納付に必要な書類を送付します(現金を訴状と一緒に郵送することはおやめください。)。
     訴状を窓口に提出するときは,訴状に押した認め印と,原告名義の預金通帳(余った郵便料を振り込む口座の届出が必要なため)を持参してください。
  2. 郵便切手
     原告,被告が1名ずつの場合,合計6000円分です。
     (原告または被告が一人増えるごとに1194円2組が加わります。)。
     内訳 500円×8枚、100円×10枚、84円×5枚、50円×5枚、20円×10枚、10円×10枚、2円×10枚、1円×10枚

問合わせ先については,窓口案内をご覧ください。