第1 申立ての準備

1. 相手方の財産の調査

 債権差押命令を申立てられるにあたっては,御自身で相手方の財産を調査し,どのような債権を差押さえるかを特定していただく必要があります。

 たとえば,銀行預金などを差押さえる場合,どの銀行のどの支店に債務者の口座があるか(郵便貯金の場合は,どこの貯金事務センターで扱われているか)を調べていただく必要があります。ただし,口座番号はわからなくてもかまいません。

 なお,通常,金融機関は預金者の情報について守秘義務を負っており,調査に応じてくれない場合もありますので,御注意下さい。

 また,給料を差押さえる場合,債務者がどこの会社に勤めているかを特定していただく必要があります。

2. 必要な書類などの準備

 あなたが債権差押命令を申立てるには,次の書類が必要になります。

  1. 債務名義の正本
    判決正本,和解調書正本,調停調書正本,審判書正本,執行証書正本,あるいは仮執行宣言付支払督促など
  2. 1.の送達証明書
    相手が上記の債務名義を受取ったという証明書
  3. 執行文
    強制執行ができるという証明のことです。ただし,少額訴訟判決や仮執行宣言付支払督促は不要です。
    これらの書類は,判決や和解をした裁判所や公証人役場(当該債務名義を作成したところ)で一定の手数料(裁判所の場合,送達証明書は150円,執行文は300円)を支払い,申請をすればもらえます。
  4. 代表者事項証明書・履歴事項証明書など
    あなたが法人の場合には,(1)会社の代表者事項証明書又は(2)履歴事項証明書が必要です。相手方及び第三債務者が法人の場合にも上記(1)又は(2)の書類が必要です。
    上記(1)又は(2)の書類は,法務局等で手数料(600円程度,但し枚数による。)を支払えば取得できます。

3. 管轄の確認

 債権差押命令を申立てる裁判所は,相手方(債務者)の住所地を管轄する裁判所です。

 (根)抵当権に基づく物上代位による場合は,抵当不動産の所有者の住所地を管轄する裁判所へ申し立ててください。

4. 住民票・戸籍謄本など

 債務名義(判決や和解調書)に記載されているあなたの住所・氏名や債務者の住所・氏名が現在のもの(作成される当事者目録の現住所)と違っている場合には,債務名義に記載されている人との同一性を証明するため,住民票や戸籍謄本で,つながりを証明して頂くことが必要となります。住民票や戸籍謄本はもよりの区役所・市町村役場で手数料を支払えば取得できます。