未成年後見人選任の申立てをされる方へ

 未成年後見制度とは、未成年者の親権を行う者が死亡、行方不明等でいなくなったときに、未成年者の身上監護や財産管理を担う未成年後見人を選任し、未成年者の保護を図る制度です。
 申立てをするに当たっては、以下の事柄をもう一度ご確認ください。

未成年後見人選任事件は、申立て後、容易に取下げをすることはできません。

 一旦申し立てた手続を途中で取り止める(これを「取下げ」と言います。)には、家庭裁判所の許可が必要となります。

一旦未成年後見人が選任されると、未成年者が18歳になるか、養子縁組や婚姻をするまでの間、未成年後見人は職務を果たさなければなりません。

 未成年後見人は、原則として未成年者が満18歳に達するか、養子縁組や婚姻等により後見が終了するまで、後見事務を行い、その事務内容について家庭裁判所に定期的に報告する義務を負います。
 申立てのきっかけとなった当面の目的(保険金の受領や遺産分割など)が終了しても、後見人の職務が終わるわけではありません。未成年後見人を辞任するためには、家庭裁判所に申立てをして許可を得なければなりません。辞任は、正当と認められる理由(高齢、病気、遠方への転居等)がないと許可されません。

未成年者の財産は、未成年者のためにしか使えません。

 未成年後見人には、未成年者を保護し、その利益を守る義務がありますので、未成年者の不利益になるような行為をしてはいけません。例えば、以下のような事柄は原則としてできません。
 (1) 未成年者の財産を贈与、寄付すること
 (2) 未成年者の財産を使って未成年後見人や他の方の借金を返済すること
 (3) 未成年者の財産を使って投機的な運用をすること
   (例えば、元本保証のない金融商品等による運用など)
 (4) 未成年者の財産を未成年者以外の方の生活費に充てること
 (5) 未成年者に不利益な遺産分割をすること

候補者が未成年後見人に選ばれるとは限りません。第三者専門職が選任されたり、監督人が選任されたりすることがあります。

 候補者には、未成年後見制度の内容や未成年後見人の職務を理解された上で責任を持って引き受けられる方を挙げてください。
 家庭裁判所は、未成年後見人の選任については、①未成年者の生活状況、心身の状態及び財産の状況、②候補者の生活状況、職業及び経済状況、③候補者と未成年者との生活関係や利害関係の有無、④未成年者の意向、などの事情を総合して判断します。未成年者が多額の財産を所有していたり、多額の死亡保険金等の受領が見込まれたり、親族間で未成年者の身上監護や財産管理の方針に大きな食い違いがあったりするような場合には、弁護士や司法書士といった専門職を未成年後見人に選任する場合があります。

 また、候補者を未成年後見人に選任する場合でも、後見事務の内容を専門的に監督する必要があると家庭裁判所が判断した場合、さらに弁護士や司法書士等を未成年後見人や未成年後見監督人に選任することがあります。
 未成年後見人や未成年後見監督人に選任された専門職に対する費用(報酬)は、家庭裁判所が公正な立場から金額を決定し、未成年者の財産から支払われることになります。

近親者(未成年者の両親(親権者かどうかに関わらず)、祖父母、監護している方)の同意の有無は、重要な確認事項です。

 家庭裁判所は、未成年後見人の責任の重さ、親族間に方針の食い違いがあるかどうかなどを考慮して未成年後見人を選任します。そのため、近親者(未成年者の両親、未成年者の祖父母、未成年者を監護している方)の同意の有無は、大切な確認事項です。申立て時に、近親者の同意書を提出してください。
 近親者の同意や協力が得られず、やむを得ず同意書を提出できない場合でも、そのまま申し立てていただくことはできますが、同意書が提出されない場合、候補者を未成年後見人に選任できないことがあります。また、同意書の提出できない事情についてお尋ねしたり、近親者の意向を家庭裁判所が直接確認したりすることがあります。

未成年後見人は、家庭裁判所の監督を受けることになります。

 家庭裁判所は、未成年後見人が未成年者のために適正に職務を行っているかどうかを監督する責任があり、未成年後見人は、家庭裁判所の監督に応じる義務があります。未成年後見人は、未成年者の誕生月になれば自主的に、未成年者の生活状況及び財産状況等を家庭裁判所に報告しなければなりません。また、家庭裁判所から求められたときも直ちに、同様の報告をしなければなりません。未成年後見人は、これらに備えて、日頃から、金銭出納帳を付けたり、領収書類を整理したりしておく必要があります。
 不適正な行為に及んだ未成年後見人は、解任され、未成年者に与えた損害を賠償する責任を負うほか、業務上横領等の刑事責任を問われる場合もあります。

申立てに必要な書類の準備など

申立ての前に、必ず「未成年後見人の仕事と責任(PDF:241KB)」をお読みください。

申立てに必要な書類等は、以下からダウンロードできます。

【未成年者が複数の場合、その未成年者につき以下の書類】