トップ > 各地の裁判所 > 東京家庭裁判所 > 裁判手続を利用する方へ > 後見サイト > よくある質問(回答編)
回答編
- Q1 成年後見制度とはどのようなものですか。
-
成年後見制度とは,認知症,知的障害,精神障害などによって物事を判断する能力が十分でない方(ここでは「本人」といいます。)について,本人の権利を守る支援者(「成年後見人」等)を選ぶことで,本人を法律的に支援する制度です。
成年後見制度には,法定後見制度と任意後見制度の2種類があり,法定後見には後見,保佐,補助の3つの種類があります。
- Q2 未成年後見制度とはどのようなものですか。
- 法律上,未成年者は,自分では財産管理や契約行為等ができず,身上面での監護を必要とされています。親権者が死亡したりして未成年者に対し親権を行う人がいない場合には,未成年者の権利を守るために,未成年者を監護したり財産を管理する人を決める必要があります。この役割を果たすのが未成年後見人です。
- Q3 任意後見制度とはどのようなものですか。
-
任意後見制度とは,本人があらかじめ公正証書で結んでおいた任意後見契約に従って,本人の判断能力が不十分になったときに,任意後見人が本人を支援する制度です。家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときから,その契約の効力が生じます。
任意後見制度の詳しい内容や手続方法などについては,お近くの公証役場でご確認ください。
- Q4 本人を連れて行きたいのですが,車椅子でも大丈夫ですか。
- 車椅子のまま後見センターまで来ていただくことができます。ご案内が必要な場合は,お近くの職員にお尋ねください。
- Q5 手続案内は裁判所に行かないといけませんか。
-
手続案内は、書類をお見せしながら申立ての準備や審理に関することを説明しますので、できるだけ来庁するようお願いします。
※後見制度や手続の一般的な説明動画はこちら
- Q6 夜間の手続案内があると聞きました。後見開始の申立てについても説明してもらえますか。
-
夜間手続案内では、後見等に関しては、後見等開始・未成年後見人選任・任意後見監督人選任の申立てに必要な書類をお渡しするのみになります。
※東京家庭裁判所の夜間手続案内についてはこちら
- Q7 後見開始の申立てをすべきか判断がつかないのですが,アドバイスしてもらえますか。
- 裁判所では法律相談に応じることはできません。法テラスや弁護士会等の法律相談,最寄りの自治体の福祉窓口や社会福祉協議会などの利用をご検討ください。
- Q8 後見人の事務を詳しく知りたいのですが,後見センターで案内しているDVDや動画はありますか。
- 裁判所ウェブサイト内で動画を配信しておりますので,こちらをご覧ください。
- Q9 後見センターの電話とFAX番号を教えてください。
-
電話は03-3502-5359です。
(申立後は,別途お知らせするダイヤルインにおかけください。お電話の際は,事件番号と本人のお名前をお伝えください。)
FAX番号は03-3591-3964です。
- Q10 後見が始まるとどうなりますか。
- 本人の判断能力が失われている場合に,後見開始の審判とともに本人を支援する人として後見人が選任されます。この制度を利用すると,家庭裁判所が選任した後見人が,本人の利益を考えながら,本人を代理して契約などの法律行為をしたり,本人または後見人が,本人がした不利益な法律行為を後から取り消すことができます。ただし,自己決定権の尊重の観点から,日用品(食料品や衣料品等)の購入など「日常生活に関する行為」については,取消しの対象になりません。
- Q11 後見人はどのような仕事をするのですか。
-
後見人の主な職務は本人の心身の状態や生活状況に配慮しながら,財産を適正に管理し,必要な代理行為を行うことです。
後見人は,申立てのきっかけとなったこと(保険金の受取等)だけをすればよいものではなく,後見が終了するまで,行った職務の内容(後見事務)を定期的にまたは随時に家庭裁判所に報告しなければなりません。家庭裁判所に対する報告は,本人の判断能力が回復して後見が取り消されるか,または本人が死亡するまで続きます。
後見人になった以上,本人の財産は,あくまで「他人の財産」であるという意識を持って管理していただく必要があります。後見人に不正な行為,著しい不行跡があれば,家庭裁判所は後見人解任の審判をすることがあります。後見人が不正な行為によって本人に損害を与えた場合には,その損害を賠償しなければなりませんし,背任罪,業務上横領罪等の刑事責任を問われることもあります。
- Q12 保佐が始まるとどうなりますか。
- 本人の判断能力が失われていないものの,著しく不十分な場合(日常的な買物程度は単独でできるが重要な財産行為は単独でできない。)に,保佐開始の審判とともに,本人を支援する人として保佐人が選任されます。この制度を利用すると,お金を借りたり,保証人となったり,不動産を売買するなど法律で定められた一定の行為について,家庭裁判所が選任した保佐人の同意を得ることが必要になります。保佐人の同意を得ないでした行為については,本人または保佐人が後から取り消すことができます。ただし,自己決定の尊重の観点から,日用品(食料品や衣料品等)の購入など「日常生活に関する行為」については,保佐人の同意は必要なく,取消しの対象にもなりません。また,本人の同意に基づいて,家庭裁判所の審判によって,特定の法律行為について保佐人に代理権を与えたりすることもできます。
- Q13 保佐人はどのような仕事をするのですか。
-
保佐人の主な職務は,本人の意思を尊重し,かつ,本人の心身の状態や生活状況に配慮しながら,本人が重要な財産行為を行う際に適切に同意を与えたり,本人が保佐人の同意を得ないで重要な財産行為をした場合にこれを取り消したりすることです。代理権付与の申立てが認められれば,その認められた範囲内で代理権を行使することができます。
保佐人は,申立てのきっかけとなったこと(保険金の受取等)だけをすればよいものではなく,保佐が終了するまで,行った職務の内容(保佐事務)を定期的にまたは随時に家庭裁判所に報告しなければなりません。家庭裁判所に対する報告は,本人の判断能力が回復する等して保佐が取り消されるか,または本人が死亡するまで続きます。
保佐人になった以上,本人の財産は,あくまで「他人の財産」であるという意識を持って管理していただく必要があります。保佐人に不正な行為,著しい不行跡があれば,家庭裁判所は保佐人解任の審判をすることがあります。不正な行為によって本人に損害を与えた場合には,その損害を賠償しなければなりませんし,背任罪,業務上横領罪等の刑事責任を問われることもあります。
- Q14 補助が始まるとどうなりますか。
-
本人の判断能力が不十分な場合(重要な財産行為を単独で適切にできるか不安であり,本人の利益のためには誰かに代わってもらった方がよい場合など)に,補助開始の審判とともに,本人を支援する人として補助人が選任されます。
補助開始の申立ては,その申立てと一緒に必ず同意権や代理権を補助人に与える申立てをしなければなりません。補助開始の審判をし,補助人に同意権または代理権を与えるには,本人の同意が必要です。
- Q15 補助人はどのような仕事をするのですか。
-
補助人は同意権付与の申立てが認められれば,その認められた範囲の行為(重要な財産行為の一部に限る。)について,本人がその行為を行う際に同意を与えたり,本人が補助人の同意を得ないでその行為をした場合にこれを取り消したりすることができます。代理権付与の申立てが認められれば,その認められた範囲内で代理権を行使することができます。
補助人は,補助が終了するまで,行った職務の内容(補助事務)を定期的にまたは随時に家庭裁判所に報告しなければなりません。家庭裁判所に対する報告は,本人の判断能力が回復する等して補助が取り消されるか,または本人が死亡するまで続きます。
補助人になった以上,本人の財産は,あくまで「他人の財産」であるという意識を持って管理していただく必要があります。補助人に不正な行為,著しい不行跡があれば,家庭裁判所は補助人解任の審判をすることがあります。不正な行為によって本人に損害を与えた場合には,その損害を賠償しなければなりませんし,背任罪,業務上横領罪等の刑事責任を問われることもあります。
- Q16 後見等監督とは何ですか。
-
後見人等は,申立てのきっかけとなったこと(保険金受取等)だけをすればよいものではなく,後見等が終了するまで,行った職務の内容(後見等事務)を定期的にまたは随時に家庭裁判所に報告しなければなりません。
事案によっては,家庭裁判所が,弁護士や司法書士などの専門職を監督人に選任して,監督事務を行わせる場合もあります。その場合には,後見人等は行った職務の内容(後見等事務)を定期的にまたは随時に監督人に報告しなければなりません。
- Q17 後見人等や監督人に第三者が選任された場合の報酬はどのくらいの金額ですか。
-
後見人等や監督人に対する報酬は,家庭裁判所が公正な立場から金額を決定した上で,本人の財産の中から支払われます。
具体的には,後見人等や監督人として働いた期間,本人の財産の額や内容,後見人等や監督人の行った事務の内容などを考慮して決定します。
報酬のめやすについては,成年後見人等の報酬額のめやす(PDF:15KB)を参照してください。
- Q18 申立人が推薦した後見人等候補者以外の方が後見人等に選任されたり,監督人が選任されたりすることに不満があるため,申立てを取り下げたいのですが,可能ですか。
- 取下げについては家庭裁判所の許可が必要となりますが,後見人等の選任に関する不満を理由とした取下げは,本人の利益に配慮して,許可されない可能性が高いと考えられます。なお,審判後は,申立ての取下げはできません。
- Q19 本人は認知症ですが,完全介護の施設に入所しており,収入・支出とも全て銀行振込なので,後見人が管理すべき財産はありませんし,将来の介護に何の問題もありません。それでも後見開始の申立てをする必要はありますか。
- 裁判所からはお答えできません。必要があれば専門家に相談してください。
- Q20 妻は認知症ですが,妻の銀行口座のキャッシュカードがあるので不便はありません。それでも後見開始の申立てをする必要があるのですか。
- 裁判所からはお答えできません。必要があれば専門家に相談してください。
- Q21 知的障害のある成人した子がいますが,このたび夫の相続が発生しました。法定相続分どおり遺産分割協議書を作れば,後見人等は不要でしょうか。
- 協議内容の問題ではなく,お子さんの判断能力の程度によって後見人等が必要になる場合があります。
- Q22 後見人と名乗る方が来て,私が管理している母の通帳を引き渡すように言われました。私は母に頼まれて十何年間も管理してきましたが,後見人に引き渡さなければならないのですか。
- 後見人には正当な権限がありますので引き渡してください。なお,後見人の身分については,登記事項証明書等で確認してください。
- Q23 後見が始まると,運転免許の効力はなくなるのですか。
- 運転免許の効力については,お近くの運転免許センターにお問い合わせください。なお,法律上は,後見開始により直ちに運転免許証が失効するものではありません。
- Q24 成年被後見人は遺言書を作成できますか。
- 事理を弁識する能力が一時的に回復した場合や,後見が開始した後であっても遺言事項について合理的な判断をする意思能力を有すると認められる場合などに,医師2名以上が立ち会ってその旨証明してもらえるなどの要件を満たした場合に限り,有効に遺言をすることができます。ただし,後で遺言の効力が争われることがありますので,必要があれば専門家に相談してください。
- Q25 被保佐人から,親族の保佐人である私に遺産を多く残すため,遺言書を作成したいと相談を受けました。保佐人が被保佐人を代理して遺言書を作成することは可能ですか。
- 被保佐人ご自身で自由に遺言書を作成することができます。しかし,保佐人が被保佐人を代理して遺言書を作成することはできません。
- Q26 後見人に母の財産目録を見せるよう頼んでいますが,見せてくれません。本人の家族にすら見せられないという法的根拠を教えてください。
- 後見人には,本人の家族に財産を開示しなければならない法律上の義務はありません。
- Q27 私は本人の親族です。後見人が家庭裁判所に提出した報告書を見たいのですが,後見人が見せてくれません。報告書を見る方法はありますか。
- 家庭裁判所に記録の閲覧・謄写申請をするという方法があります。後見センターの窓口で申請書に記入の上提出してください(郵送での申請を希望される方は、事件番号を調べた上で、後見センターにお問い合わせください。事件番号についてはQ53参照。)。家庭裁判所の許可が出れば閲覧・謄写ができますが、後見事件は非公開の手続のため、親族であったとしても必ずしも許可されるわけではありません。許可されたかどうかは後日電話でご連絡します。
- Q28 子(甲)連れの夫(A)と結婚した妻(乙)がいましたが,Aが死亡し,乙は後見状態にあります。甲と乙は養子縁組していませんが,甲は,乙のために後見開始の審判の申立てができますか。
- 乙は甲との関係で四親等内の親族に当たりますので,申立てができます。
- Q29 子(甲)連れの夫(A)と結婚した妻(乙)がいましたが,Aと乙は離婚し,乙は後見状態にあります。甲と乙は養子縁組していませんが,甲は,乙のために後見開始の審判の申立てができますか。
- Aと乙の離婚により,甲と乙の姻族関係が終了しますので,乙は甲との関係で親族に当たらず,申立てをすることはできません。
- Q30 本人の夫も認知症なので,本人の後見人である私が本人の代理人として後見開始の審判の申立てをしたいのですが,申立権はありますか。
- 配偶者には申立権がありますが,これが後見人の代理権限に含まれるとすることには疑義があるため,配偶者の後見人(法定代理人)として申し立てることはできません。
- Q31 後見相当と診断された本人でも後見開始の審判の申立てができるでしょうか。
- 申立てに必要な意思能力を備えているものと認められた場合は,申立てをすることができますが,家庭裁判所がそのような意思能力はないと判断した場合は,申立てが却下されることになります。
- Q32 本人の状態を見て,後見,保佐,補助のどれに該当するか明らかでない場合はどうしたらよいでしょうか。
- 申立ての段階では,診断書を参考にして,該当する類型の申立てをすることで差し支えありません。鑑定において,申立ての類型と異なる結果が出た場合には,家庭裁判所からその旨を連絡します。その場合は,申立ての趣旨変更という手続を検討していただくことになります。
- Q33 医師の診断書は後見相当となっていますが,親族としては保佐が相当だと思っています。保佐開始の審判の申立てをしてもいいですか。
- そのような申立てをすることはできますが,家庭裁判所が本人につき保佐を開始することができるかどうかを判断するために,本人の判断能力について鑑定が必要となる場合があります。
- Q34 私は補助人ですが,補助が開始している本人の認知症が進行したため,後見人を選任する必要があると言われました。どのような手続が必要ですか。
- 後見開始の審判の申立てをしてください。具体的な手続については,後見センターにお問い合わせください。
- Q35 本人は青森に住んでいますが,私は東京に住んでいます。東京家庭裁判所の申立書を使って青森の家庭裁判所に提出しようと思いますが,受け付けてもらえるでしょうか。
- 後見等開始申立て(未成年後見人選任申立て・任意後見監督人選任申立てを含む。)の関係書式については,全国の家庭裁判所で使用できる書式に統一化(統一書式)され,この統一書式を使って青森の家庭裁判所に提出することができます。もっとも,統一書式に加えて,追加の資料や添付すべき書類等については各家庭裁判所で内容が異なる場合があるため,申立ての際には提出先である青森の家庭裁判所に確認してください。
- Q36 本人の住民票上の住所は東京にはありませんが,東京の施設に入所しています。東京家庭裁判所への申立てはできますか。
- 原則として住民票上の住所を管轄する家庭裁判所に申し立てることになりますが,その家庭裁判所への申立てが困難な場合やその他の事情により,東京家庭裁判所への申立てが認められる場合もあります。ただし,東京家庭裁判所への申立てが認められるかどうかは,個々のケースにより判断されますので,一概には言えません。
- Q37 本人は日本国籍ですが,外国に在住しています。日本での申立てはできますか。
- 申立てはできます。成年被後見人,被保佐人又は被補助人となるべき方が日本に住所若しくは居所を有するとき又は日本の国籍を有するときは,日本法により,後見開始,保佐開始又は補助開始の申立てをすることができます(法の適用に関する通則法5条)。もっとも,外国にいる者を鑑定人に指定して鑑定を実施することや,家裁調査官を外国に派遣して調査することは,日本の裁判権の外国における行使と考えられるため困難です。鑑定や調査等のために,本人に来日していただく必要がある場合もあります。
- Q38 認知症になった父は,以前から給料を二人の子供名義の通帳に分散して預金していました。通帳の名義は子供ですが,実際に通帳を管理していたのは父です。これは財産目録に記載する必要がありますか。
- 本人名義でなくとも,実質的に本人の財産であるなら,財産目録にその旨記載する必要があります。疑義がある場合には,具体的事情を付して財産目録に記載するなどの方法で報告してください。
- Q39 財産目録に保険を書く場合は,本人を被保険者として契約しているものを書くのですか。本人が保険金受取人になっているものを書くのですか。それとも本人が契約しているものを書くのですか。
- 本人が契約しているものまたは受取人になっているものを記載してください。
- Q40 本人にはあまりお金がないので,私は本人のために相当額を負担していますが,財産目録には負債として記載すればよいのですか。
- 返済を求める予定があるのであれば,負債として記載してください。
- Q41 本人は施設に入所していますが,収支予定表には生活費として何を書けばよいですか。施設には紙オムツを定期的に渡さなければならないのですが,それも生活費になりますか。
- 収支予定表の支出欄の項目は例示したものです。施設費に生活費全般が含まれているなら,別途生活費を計上する必要はありません。ただ,紙オムツの費用は生活費の一部ですから,別途生活費として計上してもかまいません。
- Q42 本人が施設に入所後,本人の家には留守番役として子供が居住していますが,収支予定表には光熱費としてどう書くのですか。
- 本来,本人が施設に入所した場合には,本人宅の光熱費は本人以外の居住者が負担すべきです。留守番役ということですが,本人宅の管理が必要という場合には,報告書等を作成し,家庭裁判所に具体的な事情を報告してください。
- Q43 年金などの2か月ごとの収入や年払いの保険料や税金などの支出については,収支予定表にどのように記載すればよいのですか。
-
本人の定期的な収入・支出中の各項目について,直近の収支の実績から予想される今後の月額を記載してもらうこととなります。そのため,2か月ごとや1年に1回の収入・支出などは月額に按分した金額を記載してください。
また,収入・支出別に年額の合計額も記載し,年間の収支予定を作成してもらうこととなります。後見・保佐・補助開始申立ての手引にも収支予定表の記載例を掲載していますのでご参照ください。
- Q44 公的保険料を負担していますが,すべて年金から徴収されています。この場合,収支予定表の収入欄には公的保険料徴収後の金額を書けばいいですか。
- 年金収入については,保険料徴収前の金額を収入欄に記載してください。公的保険料は支出欄に記載してください。
- Q45 本人は生活保護を受けていますが,収支予定表には受給している生活保護費を収入欄に書くのですか。
- そのように書いてください。
- Q47 これから申立書を送るのですが,郵便切手と申立手数料は面接の日に持参すればよいでしょうか。
- 申立書などと一緒に送ってください。
- Q48 後見開始の審判の申立てと同時に居住用不動産処分許可の申立てはできますか。
- 後見開始の審判がされるかどうか不明ですので,この段階では申立てできません。
- Q49 母親に後見開始の審判の申立てがされたかどうか教えてください。
- 後見事件は非公開の手続ですので,申立てがあったかどうかについてはお答えできません。
- Q50 後見開始の審判の手続は,本人の親族にも何も知らせずに進むのですか。
-
後見事件は非公開の手続ですので,原則として親族にも知らせずに審理します。
ただし,家庭裁判所が必要と判断した場合には,親族の意向を確認するために照会することがあります。
- Q51 後見人候補者を家庭裁判所に一任とした場合でも,家庭裁判所は意見書の提出がない親族や意見書で後見を開始することなどに反対の意向を示した親族に照会書を送付することがあるのですか。
- 家庭裁判所が審理のため必要と判断した場合には送付します。
- Q52 母親に後見開始の審判の申立てがされているようですが,後見が開始されたら即時抗告を申し立てる予定です。それでも申立てがされているかどうか教えてもらえないのですか。
- 後見事件は非公開の手続ですので,申立てがあったかどうかについてはお答えできません。
- Q53 母親について後見開始の審判がされ,後見人が選任されたと聞きましたが,それはどこで調べれば分かるのですか。事件番号は誰に聞けばいいのですか。
- 後見開始の審判が確定すると登記されます。申請の要件を満たせば登記事項証明書を取得できます。手続の詳細は東京法務局にお尋ねください。なお,証明書には家庭裁判所の事件番号も記載されています。
- Q54 私は先月申立書を送付した者ですが,事件番号と進行状況を教えてください。
- まず申立人の氏名のほか,発送日,本人の氏名,生年月日,本籍を伝えてください。
- Q55 申立書提出後,家庭裁判所で申立人に対する面接が行われると聞きました。面接には誰が行かなければならないのですか。何を聞かれるのですか。
- 来庁していただく方は,申立人と後見人等候補者です。その他,申立ての類型が保佐,補助の場合には,原則として本人にも来庁していただくことになります。面接では,申立人からは,本人の状態や申立てに至る事情など,候補者からは欠格事由の有無や後見人等としての適格性に関する事情,後見等の事務に関する方針をうかがいます。本人からは申立ての内容などについてご意見をうかがい,あわせて代理権,同意権付与の申立てがある場合には,その申立てに関する本人の意向を確認します。
- Q56 後見人が決まったら,家庭裁判所からどのような連絡があるのですか。
- 審判の結果は申立人等に書面で郵送されます。
- Q57 相続人全員で相続放棄をしたいのですが,相続人の一人が認知症で判断能力がありません。もうすぐ熟慮期間が満了するのですが,期間伸長の申立てが必要でしょうか。
- 期間伸長の申立てが必要かどうかは,後見事件を担当する裁判所では回答できません。法テラスや弁護士会等の法律相談などの利用をご検討ください。
- Q58 後見人等には,必ず候補者が選任されるのですか。
-
家庭裁判所では,申立書に記載された後見人等の候補者が適任であるかどうかを審理します。その結果,候補者が選任されない場合があります。本人が必要とする支援の内容などによっては,候補者以外の方(弁護士,司法書士,社会福祉士等の専門職や法律または福祉に関する法人など)を後見人等に選任することがあります。
なお,後見人等の選任に関する判断については,不服の申立てはできません。
また,次の人は後見人等になることができません。
(欠格事由)
(1) 未成年者
(2) 後見人等を解任された人
(3) 過去に破産手続開始決定を受けたが,免責許可決定を受けていない人
(4) 現在,本人との間で訴訟をしている人,その配偶者または親子
(5) 本人に対して訴訟をしたことがある人,その配偶者または親子
(6)行方不明である人
- Q59 後見人等に候補者以外の方が選任されたり,監督人が選任されたりするのはどのような場合ですか。
-
次のいずれかに該当する場合は,候補者以外の方を後見人等に選任したり,監督人を選任する可能性があります。
(1) 親族間に意見の対立がある場合
(2) 財産の額や種類が多い場合
(3) 不動産の売買や生命保険金の受領が予定されているなど,申立ての動機となった課題が重要な法律行為を含んでいる場合
(4) 遺産分割協議など,後見人等候補者と本人との間で利益相反する行為について,監督人に本人の代理をしてもらう必要がある場合
(5) 後見人等候補者と本人との間に高額な貸借や立替金があり,その清算の可否等について第三者による調査,確認を要すると判断された場合
(6) 従前,後見人等候補者と本人との関係が疎遠であった場合
(7) 年間の収入額及び支出額が過大であったり,年によって収支に大きな変動が見込まれるなど,第三者による収支の管理を要すると判断された場合
(8) 後見人等候補者と本人との生活費等が十分に分離されていない場合
(9) 申立時に提出された財産目録や収支予定表の記載が十分でないことなど,後見人等としての適格性を見極める必要があると判断された場合
(10) 後見人等候補者が後見事務に自信がなかったり,相談できる者を希望した場合
(11) 後見人等候補者が自己もしくは自己の親族のために本人の財産を利用(担保提供を含む。)し,または利用する予定がある場合
(12) 後見人等候補者が,本人の財産の運用(投資等)を目的として申し立てている場合
(13) 後見人等候補者が健康上の問題や多忙などで適正な後見等の事務を行えない,または行うことが難しいと判断された場合
(14) 本人について,訴訟・調停・債務整理等,法的手続を予定している場合
(15) 本人の財産状況が不明確であり,専門職による調査を要すると判断された場合
* 上記(1)から(15)までに該当しない場合でも,家庭裁判所の判断により候補者以外の方を後見人等に選任したり,候補者を後見人等に選任した上で監督人を選任したりする場合があります。
- Q60 第三者の専門職が後見人等になることがあると聞きました。家庭裁判所はどんな方法で専門職を探しているのですか。家庭裁判所と懇意の専門職に個別に依頼しているのですか。
- 家庭裁判所がこれまでの受任実績等に鑑みて個別に依頼する場合と,専門職の各団体に対し,後見人等として適性のある者の推薦を依頼する場合とがあります。
- Q61 後見人等の選任には,親族の意見は反映されないのですか。
- 意見をお聴きした場合には参考にしますが,そのとおりに判断されるとは限りません。
- Q62 親族の私以外に第三者の専門職も後見人等として選任され,担当する事務を二人で分掌するという審判がされました。分掌とは何でしょうか。
- 複数の後見人等が,後見人等の仕事を分担して担当することです。一方の後見人等が本人の財産管理を担当し,他方の後見人等が本人の身上保護を担当する場合等が考えられます。
- Q63 保佐開始の審判と代理権の付与の申立てを予定していますが,具体的にどのような代理権が必要なのか判断がつきません。すべての行為について認めてもらえませんか。
- 代理権付与の必要性は最終的には家庭裁判所で判断しますが,本人の財産状況から見て代理権付与の必要性がほとんど認められない行為についてまで代理権を付与することは相当ではありません。
- Q64 将来に備えてできるだけ広範囲の代理権を設定することはできますか。
- 審判の時点で必要性,相当性のない代理権は付与できません。将来のことをすべて予測するのは困難ですが,申立ての段階でほとんど必要性を認められないものについてまで代理権を付与することは相当ではありません。
- Q65 本人が同意しないと代理権が付与されないのですか。
- 本人以外の方が代理権付与の申立てをした場合は,本人の同意がないと,代理権を付与することはできません。
- Q66 保佐人に選任された後で事情が変わり,付与された代理権では対応しきれなくなりました。代理権の追加の申立てはできますか。その場合,再度本人と面接するのですか。
- 代理権を追加する必要がある行為について,保佐人から代理権付与の申立てができます。代理権の付与には本人の同意が必要ですので,多くの場合,家庭裁判所調査官が本人と面接をして確認しています。ただし,本人の同意書が提出されている場合は,本人との面接を省略できることがあります。
- Q67 代理権の追加を申し立てたいのですが,保佐開始時より本人の症状が悪化しており,同意できる状況にありません。どうしたらよいでしょうか。
- 本人が同意できないと代理権は追加できません。新たに後見開始の申立てをすることを検討してください。
- Q68 後見開始当初には監督人は選任されなかったのに,なぜ途中から監督人が選任されることになったのですか。
- 監督人は,①流動資産が多い場合,又は,②後見人による後見事務の遂行に関して,専門職の支援を受けることが望ましい場合などにおいて,家庭裁判所が必要と判断したときに職権で選任することができます。したがって,後見が開始した後も,家庭裁判所が本人の財産状況や後見事務の処理状況等から必要があると判断して監督人を選任したということになります。
- Q69 本人の流動資産が多いと監督人が選任されるとのことですが,いくら以上だと監督人が選任されるのですか。
- いくら以上という統一的な基準はありませんが,後見センターでは本人の流動資産が1000万円以上となる場合に監督人を選任する方針をとっています。ただし,後見制度支援信託・後見制度支援預貯金を利用し,成年後見人の手元で管理するお金を100万円から500万円程度に設定したような場合には,監督人を選任しないことがあります。
- Q70 監督人にはどんな人がなるのですか。
- 弁護士や司法書士などの専門職で,家庭裁判所が適当と認めた人が選任されます。
- Q71 監督人は何をしてくれるのですか。
- 監督人は,その名の通り後見人等が行う事務を監督することが仕事です。また,どのように監督するかについては監督人の裁量に委ねられていますが,一般的には,3~6か月に1回程度,財産や収支の状況を中心とした後見等事務について確認をするために報告を求められることが多いと思われます。また,監督人は通常弁護士や司法書士などの専門職が選任されることになるため,後見等事務をする上で困ったことや分からないことがあれば,随時相談することができます。さらに,遺産分割等の利益相反行為がある場合には,監督人が選任されていなければ特別代理人を選任する必要がありますが,監督人が選任されていれば,監督人が本人に代わって利益相反行為をするため,特別代理人の選任は不要です。
- Q72 これまで自分一人で適切に後見事務をやってきたと思っているのに,監督人を選任されたのは自分が疑われているようで心外です。
- 家庭裁判所は後見人として不適格であるから監督人を選任するわけではありません。家庭裁判所が不適格だと判断した場合には解任等の手続をとることになりますので,監督人は選任されません。後見事務をより適切に行うための手続であることをご理解ください。
- Q73 後見監督は本来家庭裁判所が行うべきであり,監督人を選任するのは家庭裁判所の怠慢ではないのですか。
- どのような方法で後見人等を監督すべきかも家庭裁判所に委ねられている事柄であり,家庭裁判所としては,後見人等を適切に監督し,後見事務がより適切に行われるため必要と判断した場合に,監督人を選任しています。
- Q74 監督人が信用できないので解任してほしいのですが,後見人は解任申立てができますか。
- 後見人は監督人解任の申立権者に含まれていませんが,本人の親族は申立権者に含まれますので,本人の親族が後見人の場合は解任申立てをすることができます。
- Q75 監督人が何もしてくれません。
- そのような場合を含め,監督人に何か問題があるとお考えの場合には,その具体的な内容を後見センターの担当者に連絡票(PDF:58KB)|ワード:(64KB)にてお知らせください。
- Q76 私は後見人ですが,監督人への報酬を支払いたくありません。
- 監督人の報酬も家庭裁判所が判断した上で付与審判を行うものであり,後見人は職務としてその支払をしなくてはならないので,報酬額等に不満があったとしても報酬を支払わないことはできません。もし,支払をしない場合には,後見人としての職務懈怠となり,後見人を解任される可能性もあります。もし,監督人に何か問題があるとお考えの場合には,その具体的な内容を後見センターの担当者に連絡票でお知らせください。ただし,その場合も,報酬を支払わないことはできません。
- Q77 後見制度支援信託とはどのようなものですか。
-
成年後見,未成年後見の場合,後見制度による支援を受ける方(本人)の財産のうち,日常的な支払いをするのに必要十分な金銭を預貯金等として後見人が管理し,通常使用しない金銭を信託銀行等に信託する仕組みのことです。成年後見と未成年後見において利用することができます(保佐と補助においては利用することができません。)。信託財産は,元本が保証され,預金保険制度の保護対象にもなります。後見制度支援信託を利用すると,信託財産を払い戻したり,信託契約を解約したりするにはあらかじめ家庭裁判所が発行する指示書が必要になります。
後見制度支援信託の詳細については,パンフレット「後見制度において利用する信託の概要」(PDF2.4MB)をご覧ください。
- Q78 後見制度支援預貯金とはどのようなものですか。
- 通常使用しない金銭を信託銀行等に信託することに代えて,銀行,信用金庫や信用組合,農業協同組合(JA)等に預け入れる仕組みのことです。成年後見と未成年後見において利用することができます(保佐と補助においては利用することができません。また,一部の金融機関については未成年後見でも利用できない場合があります。)。預け入れた預金を払い戻したり,支援預貯金口座を解約したりするにはあらかじめ家庭裁判所が発行する指示書が必要であるといったことは後見制度支援信託と同様です。
- Q79 後見制度支援信託や後見制度支援預貯金は,法律で決められた制度なのですか。
- いいえ。後見制度支援信託や後見制度支援預貯金は,本人の財産が適切に管理・利用されるようにするための方法の一つであり,法律で定められたものではありません。
- Q80 どのような場合に,後見制度支援信託や後見制度支援預貯金を利用することになっているのですか。
- 後見センターにおいては,これから後見開始の審判がされる事件では,500万円以上の流動資産がある場合について,後見制度支援信託や後見制度支援預貯金の利用についての検討を求めることとしています。ただし,全ての事件について後見制度支援信託や後見制度支援預貯金の利用の検討を求めているわけではなく,例えば,後見事務に専門的な知識を要するなど専門職による継続的な関与が必要な場合や,本人の財産に株式等の信託できない財産が多く含まれる場合などは,後見制度支援信託や後見制度支援預貯金の利用についての検討を求めることなく,監督人を選任することがあります。
- Q81 後見制度支援信託や後見制度支援預貯金は,家庭裁判所から検討を求められたら必ず利用しなければならないのですか。
- 必ず利用しなければならないものではありません。ただし,利用しない場合には,本人の財産を適切に管理するために,家庭裁判所の判断によって監督人が選任されることがあります。
- Q82 後見制度支援信託や後見制度支援預貯金を拒否した場合どうなりますか。
- その場合は,後見制度支援信託や後見制度支援預貯金は利用されないことになります。ただし,本人の財産を適切に管理するために,家庭裁判所の判断によって監督人が選任されることがあります。
- Q83 後見制度支援信託や後見制度支援預貯金を利用する場合は,どれくらいのお金がかかりますか。
- 本人の財産から,信託契約の締結や支援預貯金の口座開設に関与した専門職後見人(信託等後見人)に対する報酬を支払っていただく必要があります。信託等後見人に対する報酬は,家庭裁判所が,信託等後見人が行った仕事の内容や本人の資産状況等いろいろな事情を考慮して決めます。なお,後見制度支援信託や後見制度支援預貯金を利用した場合,利用する金融機関によっては,本人の財産から,管理報酬(信託)や口座開設手数料(支援預貯金)などの報酬ないし手数料をお支払いいただく場合があります。詳しくは,各金融機関にご確認ください。
- Q84 後見制度支援信託や後見制度支援預貯金の利用を積極的に希望したわけでもないのに,本人の財産から信託等後見人への報酬のほか,金融機関に対する報酬ないし手数料を支払わなければならないのですか。
- 本人につき後見が開始される以上,家庭裁判所は,本人の財産の適切な管理・利用のための措置を講じる必要があり,そのために一定の費用がかかる場合もあることはご理解ください。なお,後見人の報酬については,本人の財産から支払うことが法律で定められています(民法862条)。
- Q85 信託等後見人に委ねることなく,親族後見人が自分で信託契約を締結したり支援預貯金口座を開設したりすることはできないのですか。
- 信託契約を締結したり支援預貯金口座を開設したりするに当たっては,弁護士や司法書士などの専門職がその知識や経験に基づいて,後見制度支援信託等の利用の適否の判断,利用する金融機関の選択,信託財産額・預入額や定期交付金額の設定等をする必要があります。したがって,原則として,親族後見人ではなく,選任された専門職後見人が信託契約を締結したり支援預貯金口座を開設したりすることとしています。
- Q86 後見制度支援信託や後見制度支援預貯金を利用したいのですが,元本は保証してくれるのですか。
- 元本が保証され,預金保険制度の保護対象にもなります。詳しくは各金融機関又は預金保険機構のホームページなどでご確認ください。
- Q87 信託契約締結後や支援預貯金口座開設後,本人に多額の支出が必要になって,後見人が手元で管理している金銭だけでは足りない場合はどうすればよいですか。
- 払戻しのため指示書が必要になります。そのような場合は,家庭裁判所に連絡票にてご連絡ください。
- Q88 後見人に決まったら,まず何をするのでしょうか。
- 本人の資産,収入,負債としてどのようなものがあるかなどを調査し,指定された期限までに財産目録を作成して提出するほか,本人のために,年間の収支予定を立てた上で,年間収支予定表を作成して提出していただきます。これを初回報告といいます。
- Q89 初回報告には何を提出すればよいのでしょうか。
- 財産目録と年間収支予定表及び通帳等のコピーです。
- Q90 初回報告はいつまでにしないといけないのでしょうか。
- 後見センターでは,審判の日(審判書に記載された日であり,後見登記された日や審判が確定した日ではありません。)から2か月以内としています。
- Q91 報告書の書式は何を使えばよいのでしょうか。
- 「成年後見人・保佐人・補助人ハンドブック(Q&A付き)」(PDF:3.89MB)や,後見サイトからダウンロードできる「初回報告で使う書式」を使用してください。
- Q92 報告書は鉛筆書きでもいいですか。
- 消えると困るので,ボールペンなどを使用してください。
- Q93 報告書で記載を間違った箇所は修正液や修正テープで修正してもいいですか。
- 修正液や修正テープは使用せず,二重線を引いて訂正印を押すなどして訂正してください。
- Q94 初回報告が提出期限までに間に合いそうにないのですが,どうしたらよいでしょうか。
- 提出期限は厳守してください。ただし,特別な事情がある場合には,提出期限までに遅延の理由及びいつまでに報告できるかを記載した連絡票を提出してください。
- Q95 本人がお金にうるさく,後見人である私に対して通帳を引き渡してくれません。どのように後見事務報告をすればよいでしょうか。また,今後どのように財産管理をしていけばよいのでしょうか。
- 本人に丁寧に説明した上で,それでも難しい場合には,金融機関に対して残高照会,履歴照会,通帳再発行等の手続をとることも考えられますが,まずは家庭裁判所に連絡票を提出してください。なお,そのような手続のために期限内の報告書の提出が間に合わない場合も,事前に家庭裁判所に連絡をしてください。
- Q96 私は後見人になりましたが,まだ初回報告をしていません。明日にでも生命保険金を受領したり,本人の不動産を売却したいのですがよろしいですか。
- 最初の財産目録を家庭裁判所に作成・提出するまでは,急迫の必要がある行為しかできません(民法854条,853条)。急がなければならない事情がある場合は,家庭裁判所に連絡票を提出してください。
- Q97 後見人等としての責任を問われる場合は,どのような場合ですか。
-
後見人等に不正な行為,著しい不行跡その他後見の任務に適さない事由があるときには,家庭裁判所は成年後見人等解任の審判をすることがあります(民法846条等)。
また,後見人等が不正な行為によって本人に損害を与えた場合には,その損害を賠償しなければなりませんし,本人と親子の関係にあっても,背任罪,業務上横領罪等の刑事責任を問われることもあります。
- Q98 家庭裁判所への報告は,いつの時点ですればよいのですか。
-
後見人は,就任直後の初回報告とは別に,あらかじめ指定された時期に定期的に自主報告してください。「成年後見人・保佐人・補助人ハンドブック(Q&A付き)」(PDF:3.89MB)や,後見サイトからダウンロードできる「定期報告で使う書式」を使用してください。
また,高額の支出を予定している場合など,定期報告以外に家庭裁判所に報告すべき事項が生じた場合には,随時,連絡票を提出して報告してください。
- Q99 領収証等は原本を提出しないといけないのでしょうか。
- 高額な買い物(1回10万円を超えるもの)の場合には領収証をとっておいてください。定期報告の際にはコピーをお送りください。10万円以下の領収証は定期報告の際に提出する必要はありませんが,その後に家庭裁判所から提出を求めることがあります。
- Q100 定期報告の際に家庭裁判所に提出しなかった10万円以下の領収証等は,いつまで保管しておけばいいのでしょうか。
- 念のため,次の定期報告の時期までは保管しておいてください。
- Q101 後見人が本人の財産からお金を借りることはできますか。
- 借入れの金額や理由(使途),返済計画について,事前に家庭裁判所に連絡票を提出してください。勝手に借入れをしていたことが後で発覚した場合,後見人を解任されることがあります。
- Q102 私は後見人で,本人の妻ですが,二人の生活費を本人の預金から支出できますか。
- 本人にあなたを扶養する義務がある場合(あなたに収入や財産がなかったり少なかったりする場合など)や,夫婦の協力の下でその預金が形成されたような場合(夫婦の収入を本人の預金口座にまとめて貯蓄していたような場合など)には,社会通念上相当な生活費を支出することができます。
- Q103 私は成人していますが,精神的な病気のために就労できず,ずっと父の収入で生活していました。このたび父について後見が開始しましたが,引き続き扶養を受けることはできますか。
- 本人にあなたを扶養する義務がある場合や,親族としての援助を継続することが相当であり,本人の意思にも沿うものと判断された場合などには,社会通念上相当な範囲内で,後見人の判断により,生活費を受け取ることができます。
- Q104 本人の生活費を後見人が立て替えていました。後見人の判断で立替金の清算をしてよいでしょうか。
- 少額の場合は後見人の裁量で判断していただいて構いませんが,定期報告の際に立替金の報告及び裏付けとなる資料を提出してください(ただし,定期報告前に既に提出済みの場合には,定期報告時に重ねて提出する必要はありません。)。多額であったり,裏付資料が存在しなかったり,清算の可否について判断に迷ったりした場合には,清算する前に家庭裁判所に連絡票を提出してください。
- Q105 私は後見人ですが,昨年本人の資金が不足していたので,本人の長男から50万円を借り,本人のために遣いました。今般,生命保険を解約して資金ができるので,長男に50万円を返済したいと思いますが,よろしいでしょうか。
- そのような場合は,本人の長男に対する債務の存在が明らかですから,後見人の判断で弁済していただいて差し支えありません。一方,第三者から本人への貸付金の返済を求められたが裏付資料が提出されないなど,本人の債務の存在に疑義がある場合などについては,債務の存否を慎重に確認する必要があります。迷った場合には,家庭裁判所に連絡票を提出してください。
- Q106 本人は毎年孫に50万円ずつ贈与してきましたが,これからも継続して贈与してよいのでしょうか。
- 後見人が,贈与を継続することが本人の意思に沿うものであり,本人の財産状況や他の親族の心情等に照らしても問題ないと判断した場合は,後見人の判断で贈与を継続して差し支えありません。その場合は,定期報告の際に贈与の事実についても報告してください。贈与を継続することが相当か否かについて判断に迷う場合には,事前に家庭裁判所に連絡票を提出してください。
- Q107 本人が入っている施設に対し,これまで本人の財産から毎年10万円の寄付をしてきましたが,後見開始後も寄付を続けてよいものでしょうか。
- 後見人が,寄付を継続することが本人の意思に沿うものであり,本人の財産状況等に照らしても問題ないと判断した場合は,後見人の判断で寄付を継続して差し支えありません。判断に迷う場合には,事前に家庭裁判所に連絡票を提出してください。
- Q108 私は後見人ですが,本人の預貯金に余裕がないので,MRFとMMFを解約しようと思います。事前に家庭裁判所の承認が必要でしょうか。
- MRFやMMFの解約,株の売却などについては,家庭裁判所の承認は必要ありません。解約等により得た金銭は,本人の口座に入金して,次回の定期報告のときまでに報告してください。また,それによって本人の預貯金額が大幅に増加したような場合は,その時点で連絡票にて家庭裁判所に報告してください。
- Q109 父について後見が開始しましたが,その父が悪い人にだまされて婚姻したり,養子縁組をしたりしようとしています。後見人が父の代理人として婚姻や養子縁組の手続を止めることはできますか。
- 婚姻や養子縁組などの身分の取得・形成に関する行為について,後見人には代理権がありませんので,手続を止めることはできません。必要があれば,専門家にご相談ください。
- Q110 後見人は,収支状況報告書を作成・提出する必要はないのですか。
- 定期報告の際に,当初から提出する必要はありませんが,後見人が収支状況報告書を作成・提出する必要がなくなったということではありません。定期報告後に家庭裁判所から追加で提出を求められた場合は提出していただく必要がありますし,監督人から提出を求められた場合も同様です。そのため,後見人等は,提出を求められたら直ちに対応できるよう,ご本人の収支状況を把握し,整理しておく必要があります。
- Q111 私は保佐人(補助人)です。これから契約を締結しようと考えています。しかし,契約内容が,代理行為目録に記載された事項に該当するのか疑問があります。当該契約が代理行為目録に記載された事項に含まれるかどうか教えてください。
- 家庭裁判所ではお答えできません。当該契約の相手方からそのような疑問が示された場合には,代理権付与の追加申立てを検討してください。
- Q112 私は本人の子供ですが,後見人の財産管理に疑問があるので本人の財産状況を調べています。後見人が家庭裁判所に提出した報告書を見ることはできますか。
- 報告書を見るためには,家庭裁判所に来庁して記録の閲覧の申請をしてください。後見事件は非公開なので,報告書などの記録を閲覧するには家庭裁判所の許可が必要です。許可されない場合には見ることはできません。
- Q113 私は不動産業者です。後見人から相談を受けたのですが,本人の不動産を処分するときの注意事項を教えてください。一般論で結構です。
- 後見人から(監督人がいれば監督人から)家庭裁判所に直接問い合わせるよう,後見人に話してください。
- Q114 処分をするのに家庭裁判所の許可を必要とする居住用不動産とは具体的にどのようなものですか。
- 本人が現に住居として使用している場合に限らず,本人が現在は病院や施設に入所しているため居住していないが,将来居住する可能性がある場合,又は入所前に居住していた場合なども含みます。
- Q115 本人は施設に入所していますが、他の施設に移る場合、居住用不動産処分許可の申立ては必要ですか。
- 原則として施設は居住用不動産には当たらないので、不要です。ただし、高齢者住宅等で所有権がある場合や入居の際に賃貸借契約を締結している場合など、居住用不動産に該当する可能性があると思われる場合には、事前に連絡票を提出してください。
- Q116 親族後見人である私が本人所有の不動産に抵当権をつけてお金を借りたい場合に,何か手続が必要ですか。
- その不動産が本人の居住用の不動産であれば、抵当権を設定する場合であっても、居住用不動産処分許可の申立てが必要です。また、後見人の債務を担保するために本人所有の不動産に抵当権を設定することは、後見人と本人の利益が相反する行為になりますから、特別代理人選任の申立ても必要です。ただし、監督人が選任されていれば監督人が本人に代わって利益相反行為をするため、特別代理人の選任は不要です。
- Q117 本人所有の土地の分筆は,不動産の処分に当たりますか。
- 分筆すること自体は,不動産の処分には当たらないと考えてよいと思います。
- Q118 本人所有の建物を賃貸したいと考えているのですが,借主が見つかるまで賃料を下げながら様子を見ることになるので,現段階では借主も賃料も決まっていません。現段階で許可を得ることはできますか。
- できません。借主と賃料が決まった段階で申し立ててください。
- Q119 居住用不動産処分許可の申立書を提出してからどのくらいの期間で審判されますか。
- 申立ての内容により期間は異なりますが,おおよそ2週間以内には審判されています。ただし,申立ての内容に不備や不足があって補正や補充が必要な場合は,更に補正等に要した日数がかかります。
- Q120 建物取壊しの場合に必要な資料を教えてください。
- 処分する不動産の全部事項証明書(既に提出してあり、記載内容に変更がない場合は不要です。)のほか、取壊しの必要性についての説明資料、解体費用見積書の提出をお願いする場合があります。
- Q121 賃貸借契約を解除したいのですが,その賃貸借契約書を紛失してしまいました。添付資料が提出できないのですが,どうすればいいですか。
-
賃貸借契約の存在が分かる書類を添付していただくことになると思います。
個別のケースについては,後見センター担当者にお問い合わせください。
- Q122 不動産の全部事項証明書や固定資産評価証明書は,原本を提出する必要がありますか。
- はい。ただし,後見等開始の審判の申立時に提出済みで,その後変動がなければ提出不要です。
- Q123 法定相続分で遺産分割をしようと考えていますが,特別代理人の選任は必要ですか。
- 後見人と本人がともに相続人である場合には、法定相続分どおり遺産分割する場合であっても、本人のために特別代理人を選任する必要があります。ただし、監督人が選任されていれば監督人が本人に代わって利益相反行為をするため、特別代理人の選任は不要です。
- Q124 特別代理人の候補者が見つからない場合,どうすればいいですか。
- 家庭裁判所が専門職(司法書士,弁護士など)から特別代理人を選任します。ただし,報酬相当額を家庭裁判所に予納する必要がある場合があります。
- Q125 自薦の特別代理人候補者が選任されないことはありますか。選任されないのはどのような場合ですか。
- 家庭裁判所が,全くの第三者の関与が相当と判断した場合などには,推薦された方が選任されないことがあります。
- Q126 特別代理人に対する報酬はいくらくらいですか。どのように算定されますか。
- 代理行為の内容により家庭裁判所が判断しますので,一概には言えません。
- Q127 特別代理人に対する報酬は,どこから支払われるのですか。
- 本人の財産から支払われます。
- Q129 特別代理人は本人や後見人のように登記されますか。
- 登記されません。
- Q130 どのような行為が利益相反行為に当たりますか。
- 例えば,後見人と本人が共同相続人である場合の遺産分割や,後見人の債務を担保するために本人の不動産に抵当権を設定することなどが該当します。個別のケースについては,後見センターの担当者に事前に連絡票を提出してください。
- Q131 調査人とは何ですか。
- 家庭裁判所は,適当な者に,後見の事務若しくは本人の財産の状況を調査させ,又は臨時に財産の管理をさせることができるとされています(家事事件手続法124条1項)。この調査及び管理をする人のことを調査人と呼んでいます。
- Q132 私は後見人です。今回どうして調査人が選任されたのでしょうか。
- 毎年定期的に提出することになっている後見事務報告書が期限に遅れたり,提出された後見事務報告書の内容に不足や矛盾などがあったりしたため,家庭裁判所において調査が必要と判断したためです。調査人が選任されたからといって直ちに不正を疑っているわけではありませんので,その点はご注意ください。
- Q133 調査人とはどんな人がなるのですか。
- 弁護士や司法書士などの専門職で,家庭裁判所が適当と認めた人が選任されます。
- Q134 調査人はどのような調査をするのですか。
- 調査事項に応じて,後見人から事情聴取をした上,預金通帳の原本,現金出納帳,領収書等の必要書類の確認・受領などをして調査します。必要に応じて,ご本人の状況確認がされる場合もあります。
- Q135 調査人の報酬はどのくらいですか。
- 家庭裁判所が調査人の職務の内容に応じて決めます。
- Q136 調査人に報酬を支払う根拠は何ですか。
- 調査人には本人の財産から相当な報酬を与えることができるとされています(家事事件手続法124条2項)。
- Q138 専門職の後見人や監督人に辞めてもらうにはどうすればよいですか。
- 後見人や監督人は家庭裁判所が選任しているので,自ら辞任をするときには家庭裁判所の許可が必要です。ただ,後見人や監督人に不適切な行為が見られる場合には,解任の申立てをすることができます。その申立てがあったときには,家庭裁判所は後見人等の言い分を聞いた上で審理を行い,解任相当と判断したときは後見人等を解任します。
- Q139 後見人を辞任したいのですが,どうすればよいですか。
- 家庭裁判所に後見人辞任許可の申立てを行ってください。辞任の理由が相当であれば許可されます。
- Q140 私も高齢になってきたので,私の子供に後見人を引き継ぎたいのですが。どうすればいいでしょうか。
- あなたが後見人を辞任することの許可の申立てと,後任の後見人の選任を求める申立てをしてください。選任申立てに際しては,あなたのお子さんを後見人候補者として挙げることができます。家庭裁判所では,後見人候補者が適任であるかどうかを審理します。その結果,候補者が選任されない場合があります。事案によっては,候補者以外の方(弁護士等の専門職など)を後見人に選任することがあります。
- Q141 私一人で後見事務を行うのは大変なので,子供も後見人にして2人で後見事務を行いたいのですが。
- その場合は,後見人の(追加)選任の申立てができます。申立ての際に後見人候補者としてあなたのお子さんを挙げることができますが,あなたのお子さんが必ず選任されるとは限りません。
- Q142 これまで報酬付与の申立てをしていませんでしたが,後見人就任時からの報酬の付与をまとめて申し立てることは可能ですか。
- 可能です。ただし、報酬付与申立ては、後見等事務報告を行う時期に合わせて行ってください。
- Q143 報酬付与の申立てに期限はありますか。
- ありません。
- Q144 私は以前後見人をしていた者の相続人です。元後見人が行ってきた事務について報酬を請求したいのですが,それは可能でしょうか。
- 後見人であった者の相続人も報酬を請求することができます。相続人が報酬付与の申立人として手続をすることになりますので,通常の提出書類のほか戸籍謄本等の後見人の相続人であることが分かる書類を添付してください。また,相続人が複数存在する場合は,相続人全員の連名で報酬を請求してくださるようお願いします。
- Q145 後見人等の報酬はいくらくらいですか。
- 「成年後見人等の報酬のめやす」(PDF:4KB)をご覧ください。
- Q146 報酬が高額で納得できません。この金額になる理由を教えてください。
- 後見人等の報酬額は,家庭裁判所の裁量判断事項であり,報酬付与審判に対しては即時抗告の申立てもできないので,報酬額の具体的理由についてはお話ししていません。
- Q147 親族後見人でも報酬をもらえますか。
- 親族後見人も報酬付与の申立てをすることができます。
- Q148 本人も納得の上で私の後見人としての報酬額を決めたのですが,本人の財産から差し引いても構わないでしょうか。
- 後見人等の報酬額は,後見人等からの報酬付与の申立てに基づいて家庭裁判所が決定しますので,それ以外に報酬として本人の財産から差し引くことはできません。勝手に報酬として本人の財産から差し引いた場合は,いったん本人の財産に戻した上で報酬付与申立てをしていただく必要がありますし,それに応じない場合は後見人を解任される可能性もあります。
- Q149 回送嘱託とはどのような制度ですか。
- 成年後見人がその事務を行うに当たって必要があると認められる場合は,成年後見人の申立てにより,家庭裁判所から信書の送達の事業を行う者(信書送達事業者)に対し,期間を定めて,本人に宛てた郵便物等を成年後見人に配達(回送)すべき旨を嘱託するという制度です。
- Q150 回送嘱託の申立ては誰がすることができますか。
- 回送嘱託の申立ては,成年後見人に限られ,保佐人,補助人,任意後見人,未成年後見人はすることができません。また,成年後見人の選任の効力が発生する前(後見開始審判の確定前)は,この申立てをすることはできません。
- Q151 回送嘱託の申立てに要件はありますか。
- 成年後見人がその事務を行うに当たって必要があること(回送嘱託の必要性)が申立ての要件です。ただし、本人宛ての郵便物等を成年後見人に回送することは、本人の通信の秘密(憲法21条2項後段)の制約を伴うものであることから、回送嘱託の必要性は、成年後見人が任意の方法によっては本人宛ての郵便物等の存在及び内容を把握できず、そのことによって後見事務の遂行に支障が生ずるような場合に限って認められるものと解されます。したがって、郵便物の受取りや成年後見人への郵便物の引渡しについて施設や親族の協力を得られるような場合には認められません。
- Q152 成年後見人が複数選任されている場合に,そのうちの一人の成年後見人が単独で回送嘱託の申立てをすることはできますか。
- 申立てをすることはできますが,申立てに際して,他の財産管理後見人(財産管理権限を有する成年後見人)及び監督人(選任されている場合)の同意書を添付してください。
- Q153 回送嘱託の審判に際し,成年被後見人に対する意見聴取は行われますか。
- 回送嘱託の審判に際しては,本人の陳述を聴かなければならないとされていますが,心身の障害によりその者の陳述を聴くことができないときは,この限りでないものとされています(家事事件手続法120条1項6号)。本人の陳述を聴取するかどうかは,事案に応じ,家庭裁判所が個別に判断することになります。
- Q154 回送嘱託の審判がされた場合,信書送達事業者に対する回送嘱託は,いつどのようにされますか。
- 回送嘱託の審判は,申立人(成年後見人)が審判書謄本を受領して2週間が経過すると確定します。審判確定後,家庭裁判所から信書送達事業者に対し,回送を嘱託する旨の書面を送付します。
- Q155 回送期間はいつまでですか。
- 回送嘱託の審判書に記載された期間(最長6か月間)です。回送期間が経過した後は,回送は自動的に終了します。
- Q156 回送の対象となる郵便物等はどのようなものですか。
-
日本郵便株式会社に対する回送嘱託の場合は,郵便法上の「郵便物」が対象です(物品の送付に利用される「ゆうパック」は,郵便法上の「郵便物」に該当しないため,回送の対象から除外されます。)。
日本郵便株式会社以外の信書送達事業者に対する回送嘱託の場合は,民間事業者による信書の送達に関する法律第2条3項に規定する「信書便物」が対象です。
なお,いずれの場合においても,回送嘱託の審判書中で特に指定された郵便物等(「成年後見人から差し出されたもの」及び「裁判所から別段の指示があるもの」)については,回送の対象から除外されます。
- Q157 回送嘱託の審判に対して不服申立てはできますか。
- 本人及びその親族は,回送嘱託の審判に対して即時抗告をすることができます。
- Q158 回送期間が経過した後,再度の回送嘱託の申立ては認められますか。
- 従前の回送期間では本人の財産・収支の状況を十分に把握できず,これについてやむを得ない事情がある場合は,再度の回送嘱託が認められることもあります。
- Q159 本人宛ての郵便物等の回送を受けた成年後見人は,その郵便物等を開封して問題ありませんか。
- 成年後見人は,本人に宛てた郵便物等を受け取ったときは,これを開いて見ることができます(民法第860条の3第1項)。
- Q160 回送を受けた本人宛ての郵便物のうち,成年後見の事務に関しないものが含まれていた場合,成年後見人は当該郵便物等をどのように扱えばよいですか。
-
成年後見人は,受け取った郵便物等で成年後見人の事務に関しないものは,速やかに本人に交付しなければなりません(民法第860条の3第2項)。
なお,本人は,成年後見人に対し,成年後見人が受け取った郵便物等(本人に交付したものを除く。)の閲覧を求めることができます(民法第860条の3第3項)。
- Q161 回送嘱託の取消しの申立ては,どのような場合に必要となりますか。
-
回送嘱託の期間内に事情に変更を生じたときは,本人,成年後見人又は成年後見監督人は,回送嘱託の取消しの申立てをすることができます。
なお,以下のような事情がある場合は,郵便物等の回送を受けている成年後見人は,回送嘱託の取消しの申立てを検討してください。
①成年後見人と本人が同居するに至るなど,回送嘱託の必要性がなくなった場合
②郵便物等の回送を受けている成年後見人が辞任する場合
- Q162 本人が死亡した場合,回送嘱託の取消しの申立てをする必要はありますか。
- 本人が死亡した場合については,回送嘱託の取消しの申立ては必要ありません。ただし,本人が死亡した旨を速やかに信書送達事業者に届け出て,郵便物等の回送を中止してもらう必要があります。
- Q163 回送嘱託の取消しの審判がなされた場合,信書送達事業者に対する回送嘱託の取消しの通知は,いつどのように行われるのですか。
- 回送嘱託の取消審判は,郵便物等の回送を受けている成年後見人による申立ての場合は,申立人が審判書謄本を受領した時に,前記以外の方による申立て又は職権による場合は,成年後見人が審判書謄本を受領して2週間が経過した時に,それぞれ確定します。審判確定後,家庭裁判所から信書送達事業者に対し,回送嘱託が取り消された旨の書面を送付します。
- Q164 回送嘱託の変更の申立ては,どのような場合に必要となりますか。
-
回送嘱託の期間内に事情に変更を生じたときは,本人,成年後見人又は成年後見監督人は,回送嘱託の変更の申立てをすることができます。
なお,以下のような事情がある場合は,郵便物等の回送を受けている成年後見人は,回送嘱託の変更の申立てを検討してください。
①回送嘱託の期間を短縮する場合
②複数後見の事案などで,回送を受ける成年後見人を他の成年後見人に交代する場合
③本人の住居所の変更により,回送嘱託の対象を新しい住居所に変更する場合(※)
④回送嘱託の対象である本人の住居所が複数ある場合で,その一部について回送嘱託の必要性がなくなった場合
⑤回送嘱託の対象に本人の住居所を追加する場合
⑥成年後見人の住所(事務所)の変更により,回送先を新しい住所(事務所)に変更する場合(※)
※このような事情がある場合は,信書送達事業者にも別途届出をしてください。
- Q165 回送嘱託の期間を伸長するための申立てはできますか。
- 変更審判において,回送嘱託の期間の伸長はできません(民法860条の2第3項)。
- Q166 回送嘱託の変更の審判がされた場合,信書送達事業者に対する回送嘱託の変更の通知は,いつどのように行われるのですか。
- 回送嘱託の変更審判は,郵便物等の回送を受けている成年後見人による申立ての場合は,申立人が審判書謄本を受領した時に,前記以外の方による申立て又は職権による場合は,成年後見人が審判書謄本を受領して2週間が経過した時に,それぞれ確定します。審判確定後,家庭裁判所から信書送達事業者に対し,回送嘱託が変更された旨の書面を送付します。
- Q167 私は後見人ですが,このたび本人が死亡しました。この後の手続はどうすればいいのですか。
- 本人の死亡により後見手続は終了しますので,まず後見センターに死亡の事実を連絡してください。その後,①死亡診断書または戸籍(除籍)謄本(どちらもコピーで可)を後見センターに提出してください。②2か月以内に管理の計算を行い,財産を相続人に引き継いでください(後見人が本人の相続人でない場合には家庭裁判所に引継書を提出する必要があります。)。③東京法務局等に本人が死亡したことの届出をしてください。
- Q168 本人の死亡直前の療養費が未払いですが,相続人に引き継ぐ前に後見人が支払った方がいいのでしょうか。
- 相続財産を整理・清算し,相続人へ相続財産を引き渡すまでの相当と認められる期間内に,後見人が応急の必要があると判断する場合,後見終了時の応急処分義務(民法874条,654条)を根拠に支払うことができます(成年後見人については,民法873条の2に債務の弁済に関する権限が明記されています。)。
- Q169 本人の相続人がいるかどうか不明で,だれに財産を引き継げばいいか分かりません。また,相続人がいても,財産の受け取りを拒否された場合はどうすればいいですか。
- 相続財産管理人選任の申立て(民法897条の2第1項)をして,その管理人に財産を引き継ぐことが考えられます。
- Q170 私は本人の相続人ですが,遺産分割のために本人の財産状況を調べています。後見人が家庭裁判所に提出した報告書を見ることはできますか。
- 報告書を見るためには,家庭裁判所に来庁して記録の閲覧の申請をしてください。後見事件は非公開なので,報告書などの記録を閲覧するには家庭裁判所の許可が必要です。許可されない場合には見ることはできません。
- Q171 死後事務の許可とはどのような制度ですか。
-
個々の相続財産の保存行為,弁済期が到来した債務の弁済,火葬又は埋葬に関する契約の締結等といった一定の範囲の死後事務が成年後見人の権限に含まれ,本人の死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為については,家庭裁判所の許可を得る必要があります(民法873条の2)。
家庭裁判所の許可が必要となる死後事務の具体例は,次の①から④のとおりです。
①本人の死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結
※「埋葬」とは,死体を土中に葬ること(いわゆる土葬)をいいます。
※葬儀に関する契約の締結は,許可を要する行為の対象とはされていません。
②債務弁済のための本人名義の預貯金の払戻し(振込により払い戻す場合を含む。)
③本人が入所施設等に残置した動産等に関する寄託契約の締結
④電気・ガス・水道の供給契約の解約 など
- Q172 死後事務の許可申立てはだれがすることができますか。
- 死後事務の許可申立ては,成年後見人に限られ,保佐人,補助人,任意後見人,未成年後見人は,この申立てをすることはできません。
- Q173 保佐人や補助人は死後事務を行うことはできなくなるのですか。
- 死後事務については,後見終了時の応急処分(民法874条,654条)や相続人全員のための事務管理(民法697条)を根拠とした運用がなされていますが,法改正によって死後事務等が明文化された後でも,これらの規定に基づいて死後事務を行うことは否定されません。
- Q174 死後事務の許可申立ての要件は何ですか。
-
①本人が死亡したこと,
②成年後見人が許可を要する行為を行う必要があること,
③本人の相続人の意思に反することが明らかであるとの事情がないこと,
④相続人が相続財産を管理し得る状況にないこと,
の各要件が必要です。
- Q175 親権者だった母が亡くなりました。母が残した保険金があり,私は受け取れたのですが,弟は未成年なので後見人が必要と言われました。私が弟の代わりに受け取ることはできませんか。
- 未成年後見人選任の申立てが必要です。後見人を誰にするかは家庭裁判所の判断によりますが,あなた自身を候補者として申立てをすることができます。あなたが後見人に選任されれば後見人として弟さんに代わって保険金を受け取ることができます。なお,受け取った保険金については,弟さんのために管理する必要があります。
- Q176 未成年後見人には,必ず候補者が選任されるのですか。
- 家庭裁判所では,申立書に記載された未成年後見人候補者が適任であるかどうかを審理します。その結果,候補者が選任されない場合があります。事案によっては,候補者以外の方(弁護士等の専門職など)を未成年後見人に選任することがあります。
- Q177 未成年後見人に選任されると,後見人の個人情報が未成年者の戸籍に記載されると聞きました。どのような個人情報が記載されるのですか。
- 未成年後見人の氏名,本籍及び未成年後見人の戸籍の筆頭者名です。
- Q179 甥の後見人になるために未成年後見人選任の申立てをしましたが,私が選ばれない場合があると言われました。それならば手続を止めたいのですが,取り下げることはできますか。
- 未成年後見人選任の申立ては家庭裁判所の許可を得なければ取り下げることができません。申立人が希望する方が後見人に選任される見込がないという理由では,申立ての取下げは許可されないと思われます。なお,審判後は申立ての取下げはできません。
- Q180 未成年後見人選任の申立てができる利害関係人とは具体的にどのような人ですか。
- 未成年者の債権者や債務者,保護の実施機関(都道府県知事,市区町村長,救護施設,更生施設,里親等),児童相談所長などです。
- Q181 私は夫と離婚後,子供の親権者になっています。遺言で後見人を指定すれば家庭裁判所に未成年後見人選任の申立てをしなくてもいいと聞きましたが,本当ですか。
- そのとおりです。ただし,未成年後見人に指定された方は,家庭裁判所が選任した未成年後見人と同様,家庭裁判所の監督を受けます。
- Q182 未成年後見人が遺言で指定されていた場合は,どうなりますか。
- 家庭裁判所の審理を経る必要はありませんが,指定により未成年後見人になった人は戸籍の届出をする必要があります。
- Q183 未成年者の父母が亡くなりました。相続放棄をしたいのですが,未成年者には親権者や後見人がいません。もうすぐ熟慮期間が満了するのですが,期間伸長の申立てが必要でしょうか。
- 期間伸長の申立てが必要かどうかは,後見事件を担当する家庭裁判所では回答できません。法テラスや弁護士会等の法律相談などの利用をご検討ください。
- Q184 私は独身ですが,未成年の子供と養子縁組しました。私が死んだときには,養子の実親の親権が自動的に復活するのですか。
- 養親が死亡しても実親の親権は自動的に復活しないと考えられます。
- Q185 未成年者と未成年後見人の養子縁組を考えていますが,手続について教えてください。
- ①未成年者が15歳未満か否か,②後見人が未成年者の直系尊属か否か,③監督人が選任されているか否か,によって必要な手続が異なります。①②③を確認して,後見センターに連絡票を提出してください。未成年後見人Q&A(PDF:2.39MB)の19ページ以降にも記載されています。
- Q186 妹が亡くなりました。妹はシングルマザーとして娘を育てていました。私は独身ですが,妹の娘は小学生で,監護する者が必要なので,私が養子として引き取りたいと思います。どのような手続が必要になりますか。
- まず,未成年後見人選任の申立てが必要です。あなたが未成年後見人に選任された場合は1つ上の質問に対する回答と同様です。別の人が未成年後見人になった場合には,未成年者が15歳未満なので,「未成年者の養子縁組の許可」の申立てのほか,未成年後見人の承諾を得ることが必要です。
- Q187 いずれは未成年者と養子縁組をするつもりで後見人になりました。後見人になってまだ1年も経過しておらず,一度も家庭裁判所の監督を受けていませんが,未成年者の養子縁組の許可の申立てをしてもよいですか。
- 申立てすることはできます。
- Q188 未成年後見人はどのような仕事をするのですか。
-
未成年後見人は,未成年者の監護と財産の管理を行います。
まず,未成年後見人になったときは,未成年者の財産の調査をして,1か月以内に財産目録を作成するほか,未成年者のために,毎年支出すべき金額の予定を立てなければなりません。その後,未成年者が成年に達するまで,監護と財産管理を行います。
未成年者が成人に達するなど,後見が終了したときは,2か月以内に財産管理の計算をし,未成年者に引き継ぎます。また,10日以内に,後見人から役所に後見終了の届出を行います。
- Q189 未成年後見監督とは何ですか。
-
未成年後見人は,申立てのきっかけとなったこと(保険金の受取等)だけをすればよいものではなく,未成年後見が終了するまで,行った職務の内容(後見事務)を定期的にまたは随時に家庭裁判所に報告しなければなりません。
なお,事案によっては,監督人が選任される場合があります。その場合には,未成年後見人は,行った職務の内容(後見事務)を定期的に(または随時に)監督人に報告しなければなりません。
- Q190 家庭裁判所の監督とは,具体的にどのようなことを指すのでしょうか。例えば,家庭裁判所から何か送付されてきたりするのですか。
- 後見人に対し,後見事務の報告を求めたり,必要な処分を行うものです。後見人から自主的な報告をしてもらう場合と家庭裁判所が指示した資料を提出してもらう場合,監督人の監督を受けてもらう場合などがあります。また,面接調査や裁判官の審問を行う場合もあります。
- Q191 未成年後見人や監督人に第三者が選任された場合の報酬はどのくらいの金額ですか。
-
未成年後見人,監督人に対する報酬は,家庭裁判所が公正な立場から金額を決定した上で,未成年者の財産の中から支払われます。
具体的には,未成年後見人等として働いた期間,未成年者の財産の額や内容,未成年後見人等の行った事務の内容などを考慮して決定します。「成年後見人等の報酬のめやす」(PDF:4KB)もご覧ください。
- Q192 私は未成年者のおばで,未成年後見人になっていますが,私は未成年者の扶養義務者になるのでしょうか。
- 未成年後見人が必ず扶養義務者になるわけではありません。未成年後見人が未成年者の祖父母や兄弟姉妹の場合には扶養義務者に当たりますが,おじ・おばの場合には,原則として扶養義務者には当たりません。
- Q193 未成年者はすでに就職し,自立しています。それでも未成年者名義の預貯金通帳は後見人が管理しなければいけませんか。
- どのような管理方法を取るかは後見人の裁量判断に委ねられていますが,間接的にせよ後見人が財産を管理できる相当な方法をとる必要があります。
- Q194 未成年後見人としての責任を問われる場合として,どのような場合がありますか。
-
未成年後見人に不正な行為,著しい不行跡その他後見の任務に適さない事由があるときには,家庭裁判所は未成年後見人解任の審判をすることがあります。
また,未成年後見人が不正な行為によって未成年者に損害を与えた場合には,その損害を賠償しなければなりませんし,未成年者と親子の関係にあっても,背任罪,業務上横領罪等の刑事責任を問われることもあります。
- Q196 現在,任意後見監督人が選任されていますが,これから後見開始の審判の申立てをすることはできますか。
- 申立権があれば申立てをすることはできます。
- Q197 私は任意後見人です。本人の居住用不動産を処分したいのですが,家庭裁判所の許可は必要ですか。
- 任意後見人が本人の居住用不動産を処分する場合は,家庭裁判所の許可は不要です。任意後見監督人に相談してください。
- Q198 任意後見人の報酬はどのように決まりますか。
- 任意後見人の報酬の有無や額は,公正証書の内容によって定まります。不明な点があれば,任意後見監督人に確認してください。