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オンライン講話の実施について
令和3年11月19日,草野耕一最高裁判事と千葉県立千葉高等学校をウェブ会議システムでつなぎ,草野判事が母校の2年生約320名に向けて,司法の役割や魅力を直接語りかけ,生徒の皆さんからの質問に答えました。
草野判事による講話
「ぜひ法律家を目指してもらいたい」
草野判事は,民話や歴史の話を織り交ぜながら,法や法律家が社会で果たしている役割をわかりやすく説明し,最後は,「大志を抱く若者にはぜひ法律家を目指してもらいたい」と,次のように呼びかけました。
大志を抱く若者には,ぜひ,司法の働きを通じてより豊かでより公平で,国際競争力ある社会をもたらす法律家を目指してもらいたいと思います。そして,法律家を志すならば,法律学だけでなく,様々な学問に励んでほしい。思考力を鍛える数学と経済学には力をいれてもらいたいし,歴史や英語をはじめとする語学の勉強も大事です。
草野判事に質問です!
- 判事としてやりがいを感じるのはどんな場面ですか。
- 最高裁判所の役割は,法律審として,法律の解釈をし新しい法理を作ることにあります。何日間もあれこれ考え,最後に絶対これで間違いないという法理にたどりついたときがもっともやりがいを感じます。この仕事をしていて良かったと思います。
- 高校時代はどのように勉強に取り組んでいましたか。
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高校に進学してから勉強に目覚め,勉強マニアになりました。数学のことが四六時中頭から離れなくなるという時期もありましたが,勉強するのはとても楽しかったです。今や勉強は趣味になっていて,毎日起床後,2時間は勉強しています。
もし法律家を志すなら語学は大事なので,高校時代のうちは,少なくとも英語を一生懸命学んでほしいと思います。
高校時代を振り返り懐かしむ様子の草野判事
- 最高裁判事として,日ごろの生活で気を付けていることはありますか。
- 重要な職務をもっていて体調が第一ですから,毎日21時に就寝し,5時に起床するなど,とにかく規則正しい生活をしています。よく寝て,よく食べ,よく運動するということを心掛けています。ちなみに,規則正しい生活をするためには働き方も大切で,裁判官の仕事は,特に最高裁判所の裁判官の仕事は,単に机に向かっていればいいというものではなく,お風呂に入っていようと,ベッドにいようと四六時中判決や法理のことを考えています。そうすると,頭にまとまったものを書くのは,最小限の時間でできます。
- どのような思いで判決を下してますか。判決に罪悪感を感じることはありますか。
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この法理が最善の策だという確信をもって判決をするようにしています。もし罪悪感を持つことがあるとすれば,十分考えずに判決を書いたときではないでしょうか。真剣に考え,最善の知恵を働かせ,最後にこれしかないと確信を持つまで考えぬくことが重要と思います。
もしかしたら,神ならぬ人が人を裁けるのかという哲学的な疑問もあるかもしれませんが,実際の社会において人以外に人を裁けるものはなく,罪悪感が生じないよう一生懸命考えぬくことが必要と思います。
生徒の皆さんの感想
- 死刑などの判決を下すこともある裁判官は不安な気持ちがつきものだと心配していましたが,草野判事はやりがいや充実感を持って仕事をされているのだと思い,すごく尊敬しました。
- 「人を裁けるのは人だけだ」という言葉は確かにそうだと思いました。それだけ重いことをやらなければいけない責任感に,最高裁判所の判事はすごいと思いました。
- 思ったよりも人に寄り添っているという印象を持ち,法律家のイメージが変わりました。また,淡々と判決を下していると思っていた裁判官が,お風呂に入っているときも判決のことを考えていると聞いて驚きました。
- 法律だけでなく数学や経済学など様々な分野を勉強されていて,何歳になっても色々なことを広く深く学ぶことは大事だと気づきました。また,考えうる限りを尽くして判決を下すという姿勢は,判決を下すことに一意専心するまじめな裁判官のイメージそのものでした。
オンライン講話を終えて
法律家の役割とは何かをはじめ,滅多に接することのない最高裁判事の日常生活が垣間見える話に,生徒の皆さんからは,興味深い様子で熱心に耳を傾ける姿が見られました。
このような司法を身近に感じる機会を通して,次代を担う皆さんに,少しでも司法と,またそこで活躍する法律家という仕事に興味をもっていただければ,とても喜ばしく思います。
千葉県立千葉高等学校の皆さん,ありがとうございました!