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最高裁判事がオンライン授業に特別参加!
令和3年2月16日,山口厚,林道晴両最高裁判事が,母校である筑波大学附属駒場高校の授業にオンラインで特別参加しました。
同校では,感染症対策のため,分散登校とオンライン授業が行われており,同校2年生の生徒の皆さんが自宅等から授業に出席するのに合わせ,両判事は最高裁からオンラインで1時限ずつ授業に参加しました。
両判事が参加した政治経済の授業で,生徒の皆さんが取り組んだ課題は,「新型コロナウイルスワクチンの接種をめぐる問題と解決について」です。生徒の皆さんは,この難しい課題について原告として主張する立場と裁判官として判断する立場を意識しながらレポートを作成しており,当日は1時限につき3名がプレゼンテーションを行い,議論を交わしました。
この中で両判事は,司法や法律家の役割といった観点から次のようにコメントし,生徒の皆さんにエールを送りました。
山口厚 判事
法と事実にのっとって解決するのが裁判
世の中では,異なる立場の主張が対立することがあります。その対立を法と事実にのっとって解決するのが裁判です。
まず,主張をするときの出発点としては,何を主張するのかをはっきりさせることが大前提です。また,自分がこう思う,というだけではなく,自分の主張を支える根拠も法と事実の両面から必要となってくるのです。
そして,対立する当事者が,それぞれの立場で主張し合うことで真の問題の在りかが分かり,検討すべきことが浮かび上がってくるのです。そのような中で,裁判所は,双方の主張をよく聞いて,どのような判断が公平の観点から見て適切かを考え,紛争解決を図ることになります。
今回の授業で皆さんの発表は,原告としての主張と,裁判官としての判断が異なっていたわけですが,なぜ主張と判断が異なる結果となったのか,さらに皆さんで議論してみるとよいかもしれません。
皆さんの発表を聴き,考える力や発表する力というものがきちんと備わっていることが分かり,大変感銘を受けました。
林道晴 判事
法律家という仕事に関心を持ってほしい
世の中には,身近な出来事でも法律に当てはめて考えなければならないことがたくさんあります。紛争を解決するために,法律をどのように解釈するのか,社会現象に対して皆さんがどう考え,取り組むのかが大切です。法律の解釈というのは,今の社会の状況や,これからの社会がどのように変化していくのかをよく見ながら行う必要があります。
皆さんも,この授業にあたって,仲間同士でたくさん議論をされたことと思います。裁判官も,紛争について最終的な判断こそしますが,原告がいて被告がいて,どうすれば妥当な解決ができるか,どのような結果であれば社会の理解につながるか,ということを一緒に議論しながら考えます。こうした法的な議論をする中で,総合的な法解釈を生み出していくのが裁判官の仕事であると私は考えています。
皆さんには,そのような法律家という仕事の魅力に目を向け,関心を持ってもらえれば嬉しく思います。
オンライン授業を終えて
授業後,生徒の皆さんからは,「法廷では,対立する主張が衝突し,議論が重ねられていることで,双方にとってより深い意義をもつ結論に至ると知り,感銘を受けました。」,「最高裁判事から直接話が聴けたのは,本当に貴重な経験になった。裁判官の役割についてなど,進路を決める際などにも参考にしたい。」といった感想をいただきました。
生徒の皆さんには,高校の大先輩でもある両判事が授業に参加したことで,司法や裁判所についてもより身近な存在と感じてもらえたのではないでしょうか。今回の授業が法曹という仕事に興味を持っていただくきっかけになれば,大変嬉しく思います。