令和4年度「法曹という仕事」の開催結果について

今年もオンライン!!「法曹という仕事」

令和4年8月16日、最高裁判所、法務省及び日本弁護士連合会の共催企画「法曹という仕事」を2年続けてオンライン形式で開催し、総勢200名以上もの高校生らが集まりました。北は北海道から南は沖縄まで、地域を問わず全国各地から参加いただけたことはオンラインの最大の強みです。

写真:共同企画中の法曹三者登壇者全員の様子

本企画は、第1部「三浦守最高裁判所判事による基調講演」、第2部「NHK Eテレ『昔話法廷』の『舌切りすずめ』を題材にした法曹三者による副音声的生解説」(共同企画)、第3部「裁判所、検察官、弁護士の三者がブレイクアウトルームに分かれて『仕事のやりがい』や『職場の魅力』などを発信し、質問にもお答えする。」(個別企画)の3部構成で行いましたので、内容を簡単にご紹介します。

【第1部】三浦守最高裁判所判事による講話

三浦守最高裁判事は、将来の進路や仕事を選ぶに当たって、自分が何のために仕事をしたいのかが一つの大切な視点になることを伝えるとともに、「法曹は、目の前にいる人や社会のために自分の心と頭をフルに使って全力で取り組める仕事です。」とやりがいを語りました。
また、令和5年1月から裁判員の対象年齢が18歳以上となる点に言及し、「18歳、19歳の方々も、落ち着いて考えることで、刑事裁判に国民の意識や感覚を反映するという大切な役割を果たすことができると信じています。」と裁判員制度への積極参加に向けた期待を込めてエールを送りました。

■参加者から寄せられた感想

●最高裁判所裁判官としてのお話が聞けたことがよかったです。
●三浦守最高裁判事のお話にとても勇気づけられました。

【第2部】昔話法廷解説 今年は「舌切りすずめ」(共同企画)

NHK Eテレ昔話法廷「舌切りすずめ」動画を刑事裁判の場面ごとに再生し、法曹三者が各々の視点から解説しました。

写真:昔話法廷解説をしている裁判官2人の様子

裁判官

裁判官は争点や証言内容を分かりやすく整理。裁判では、真実に近づくため、証人には体験したことを記憶のまま正確に話してもらうという大前提があることを全体で確認。

写真:昔話法廷解説をしている弁護士2人の様子

弁護士

弁護士は、証人尋問時の質問の意図に言及しつつ、その質問によって裁判官がどのように受け止めるかを考えながら質問する必要があることを熱弁。

写真:昔話法廷解説をしている検察官2人の様子

検察官

検察官は、動画に登場する検察官が異議を述べた理由を読み解き分かりやすく解説。これを端緒に、実際の裁判では異議は飛び交うのかを三者で議論するなど、白熱した展開に。

「舌切りすずめ」動画の解説後には、三者それぞれが仕事のやりがいや魅力を語りましたので、この点にも注目しながら解説動画をご視聴ください。

■参加者から寄せられた感想

●特に昔話法廷での解説が興味深く、専門家の視点からだとどう考えるのか、何に注目するのかということを間近で視聴することができてよかったです。
●裁判とは、決して勝ち負けのゲームではない事や、弁護士と検察官は敵対関係にあるのではなく、様々な角度から真実を観ることで犯行にあった適正な処罰を与え再犯防止、更生に向けた努力をさせるということを裁判という場で協力し合いつくり上げるのだということを学ばせていただきました。

【第3部】三者に分かれての魅力PR(個別企画)

Zoomのブレイクアウトルーム機能を用いて「裁判所」「検察官」「弁護士」の3つのブースを構成し、各ブースで「仕事のやりがい」や「職場の魅力」を中心に取り上げました。参加者は、特に興味のあるブースをメインに、自由に入退室して企画を楽しまれている様子が覗えました。
裁判所ブースでは、同じ民事部・刑事部に所属する裁判官と裁判所書記官のペア2組が登壇しました。
※ 以下、いずれも開催日現在での所属・役職です。

写真:個別企画裁判所チームの裁判官2人と書記官2人の様子

「裁判所の仕事と日常」、「裁判所の仕事のやりがいとこれから」、「裁判官や裁判所職員になるには」の大きく3つのテーマに分けて、裁判官から書記官へ、書記官から裁判官へ、それぞれ○×形式で答えられるような質問をし、それを皮切りに日頃感じていることなどを想い想いに語りました。また、参加者からのチャットでの質問にも時間の許す限りお答えしました。

写真:個別企画における民事部裁判官の様子

民事部 裁判官

Q 裁判官は刑を決めるなど責任が重い。精神面をどのようにケアしているのか。
A 判決内容を決める前後を問わず、同じ悩みを抱えている同僚に相談するなどして悩みを共有し、発散している。

写真:個別企画における民事部裁判所書記官の様子

民事部 主任書記官

Q どのような人と一緒に働きたいか。
A 想像力が豊かで変化に柔軟に対応できる人。そのような人は安心して仕事を任せられるため。

写真:個別企画における刑事部裁判官の様子

刑事部 裁判官

Q 高校時代にやっておけばよかったと思うことがある。
A 【○】例えば、もっと本を読んでおけば…。社会や人とのつながりが大切な仕事であり、社会や仕事にどれだけ興味を持てるかが重要。目の前のことを優先しがちになるが、いろいろなことに触れておけばよかった。

写真:個別企画における刑事部裁判所書記官の様子

刑事部 裁判所書記官

Q 裁判所はこれからもよい職場だと思う。
A 【○】若手からベテランまで、書記官、調査官、速記官などの幅広い職種がいて、それぞれの立場から裁判手続を支え合い、チームとして動いているように感じる。

■参加者から寄せられた感想

●裁判官と書記官の方が楽しそうに質問に答えている姿を見て、今までの硬いイメージが少し変わった気がしました。
●裁判官や裁判所職員がどんな思いで裁判をしているかを知ることができてとてもよかったです。
●弁護士ルームにほとんどの時間いましたが、女性の視点や異なる環境での弁護士の活躍を知れてよい機会でした。
●これまで漠然と法曹三者の中でもよく名前を聞く弁護士になりたいと思っていましたが、視点を変えて検察官の方のお話を聞いたことで、検察官の方に気持ちが傾きました。特に、被告人や、被害者とのエピソードを聞けたことで実際の様子を知ることができて楽しかったです。

たくさんのご参加・ご意見ありがとうございました!

今回参加できなかった方も、本ウェブサイトをご覧になられることで、今後の進路検討の一助になれば幸いです。
参加者からいただいたご意見を踏まえ、より参加しやすく、より興味を持っていただけるよう、また、法曹三者や各職場をより身近に感じていただけるような企画を目指します。
今後とも、裁判所・法務省・日弁連の広報企画に奮ってご参加ください。

画像:2022年法曹という仕事用の記章