子を引き渡す内容の調停が成立したり,子の引渡しを命じる審判が確定したりしたにもかかわらず,債務者(義務者)が,債権者(権利者)に対して任意に子を引き渡さない場合には,強制執行の手続として,次の手続を利用することができます。
なお,任意の引渡しを促す手続については,こちらを御覧ください。
1.概要
子を引き渡さない債務者(義務者)に対し,一定の期間内に引き渡さなければその債務とは別に間接強制金を課すことを警告(決定)することで,債務者に心理的圧迫を加え,自発的な引渡しを促すものです。
ただし,この手続は,直接的な強制執行のように債務者による子の監護を直接解くものではありませんので,間接強制の決定がされても債務者が自発的に子を引き渡さない場合,子の引渡しを実現するためには,別に直接的な強制執行の手続をとる必要があります。
2.申立人
調停調書,審判書又は判決書等に記載されている債権者(権利者)
3.申立先
調停,審判又は判決等をした家庭裁判所
4.申立てに必要な費用
・ 収入印紙2000円
・ 連絡用の郵便切手(申立先の家庭裁判所へ確認してください。)
5.申立てに必要な書類
・ 申立書1通及びその写し1通(申立先の家庭裁判所に確認してください。)
6の書式及び記載例を御利用ください。
・ 執行力のある債務名義(調停調書,審判書又は判決書等)の正本,債務名義の送達証明書,債務名義の確定証明書
※ 事案によっては,このほかの書類の提出をお願いすることがあります。
6.申立書の書式及び記載例
1.概要
間接強制の方法による強制執行を行っても債務者(義務者)が子を引き渡さなかったときや,間接強制の方法による強制執行を実施しても,債務者が子の監護を解く見込みがあるとは認められないとき,子の急迫の危険を防止するため直ちに直接的な強制執行をする必要があるときに,家庭裁判所が執行官に対し,債務者による子の監護を解くために必要な行為をすべきことを命じる決定を行い,執行官が債務者による子の監護を解くことによって,債権者(権利者)に対する子の引渡しを実現するものです。
直接的な強制執行は,基本的には,債務者の住居等の債務者が占有する場所において実施することとされています。また,原則として,債権者が執行の場所に出頭していることが必要です。
したがって,子が祖父母宅に預けられているなど,債務者の占有する場所以外の場所を住居としている場合には,その住居で直接的な強制執行をするためには,その場所の占有者の同意を得る必要があり,仮にそのような同意を得られない場合には,次の申立てにより,家庭裁判所から占有者の同意に代わる許可を得る必要があります(なお,その住居で実際に直接的な強制執行を行うかどうかは,最終的には執行官の判断となります。)。
→ 第三者の占有する場所での執行の許可の申立て
また,やむを得ない事情等により,債権者が執行の場所に出頭することができないような場合には,次の申立てにより,債権者の代理人が執行の場所に出頭したときにも,執行官が子の監護を解くために必要な行為をすることができる旨の決定を得る必要があります。
→ 債権者代理人の出頭の下での執行を認める決定の申立て
2.申立人
調停調書,審判書又は判決書等に記載されている債権者
3.申立先
調停,審判又は判決等をした家庭裁判所
4.申立てに必要な費用
・ 収入印紙2000円
・ 連絡用の郵便切手(申立先の家庭裁判所へ確認してください。)
5.申立てに必要な書類
・ 申立書1通及びその写し1通(申立先の家庭裁判所に確認してください。)
6の書式及び記載例を御利用ください。
・ 執行力のある債務名義(調停調書,審判書又は判決書等)の正本,債務名義の送達証明書,債務名義の確定証明書
※ 事案によっては,このほかの書類の提出をお願いすることがあります。
6.申立書の書式及び記載例
1.概要
直接的な強制執行の実施は,執行場所の財産権等の侵害を伴うものですので,子が祖父母宅に預けられているなど,子が債務者の占有する場所以外の場所を住居としている場合には,その住居で執行官が子の監護を解くために必要な行為をするためには,基本的に,その住居の占有者の同意を得る必要があります。もっとも,その占有者の同意が得られない場合であっても,家庭裁判所から,占有者の同意に代わる許可を受けることにより,その住居において,執行官が子の監護を解くために必要な行為をすることができます。
2.申立人
直接的な強制執行の申立てをする(申立てをした)債権者
3.申立先
直接的な強制執行の申立てをする(申立てをした)家庭裁判所
4.申立てに必要な費用
・ 収入印紙500円
・ 連絡用の郵便切手(申立先の家庭裁判所へ確認してください。)
5.申立てに必要な書類
・ 申立書1通
6の書式及び記載例を御利用ください。
※ 事案によっては,このほかの書類の提出をお願いすることがあります。
6.申立書の書式及び記載例
1.概要
執行官が子の監護を解くために必要な行為をするためには,原則として,債権者自身も執行の場所に出頭することが必要です。もっとも,やむを得ない事情等により,債権者が執行の場所に出頭することができないような場合には,家庭裁判所の決定により,債権者の代理人が執行の場所に出頭したときにも,執行官が子の監護を解くために必要な行為をすることができます。
2.申立人
直接的な強制執行の申立てをする(申立てをした)債権者
3.申立先
直接的な強制執行の申立てをする(申立てをした)家庭裁判所
4.申立てに必要な費用
・ 収入印紙500円
・ 連絡用の郵便切手(申立先の家庭裁判所へ確認してください。)
5.申立てに必要な書類
・ 申立書1通
6の書式及び記載例を御利用ください。
※ 事案によっては,このほかの書類の提出をお願いすることがあります。
6.申立書の書式及び記載例