第一審裁判所の判決に不服のある当事者は,判決送達日から2週間以内に上級裁判所に対して控訴をすることができ,第二審(控訴審)裁判所の判決に不服のある当事者は,上告をすることができます。
つまり,第一審の地方裁判所の判決に対しては,管轄を有する高等裁判所に対して控訴することができ,第二審の高等裁判所の判決に対しては,最高裁判所に上告することができます。
第一審の簡易裁判所の判決に対しては,地方裁判所に対して控訴することができ,第二審の地方裁判所の判決に対しては,高等裁判所に上告することができます。第三審の高等裁判所の判決に対しては,例外的に,憲法問題がある場合には,最高裁判所に上訴することができます。この上訴は,「特別上告」と呼ばれています。
当事者は,第一審の裁判所の判決の法律問題についてのみ不服がある場合には,相手方の同意を得て,直接に上告をすることができます。これは,「飛躍上告」と呼ばれています。
最高裁判所においては,事件は通常5人の最高裁判所判事で構成される小法廷で審理されます。しかし,憲法問題を含むような事件(一定の例外もあり得る。)については,15人全員の最高裁判所判事で構成される大法廷で審理されます。
控訴及び上告については,次の点が特徴として挙げられます。
控訴については,原判決に不服がある当事者は,常に提起することができます。控訴審では,裁判所は第一審と同様の方法により,事実認定を行います。控訴審は,第一審裁判所の判決に対する当事者の不服の限度で,事実と法律の適用を再度審査します。口頭弁論の性格としては,第一審の審理がそのまま継続したものであり,第一審の審理で行われた手続は,控訴審でも効力を有します。第一審で提出された資料と,控訴審で新たに加えられた資料が,控訴審の判決の基礎となります。
上告審は,法律問題に関する審理を行い,上告審の裁判所は,原則として原判決で認定された事実に拘束されます。上告審の裁判所が最高裁判所である場合には,原判決に,1.憲法解釈の誤りがあることと,2.法律に定められた重大な訴訟手続の違反事由があることが上告の理由となります。もっとも,最高裁判所は,原判決に判例に反する判断がある事件その他の法令の解釈に関する重要な事項を含む事件については,当事者の上告受理の申立てにより,上告審として事件を受理することができます。最高裁判所は,上記1,2の場合には原判決を破棄しなければならず,さらに,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があるときは原判決を破棄することができます。
これに対し,上告審の裁判所が高等裁判所である場合には,上記1,2の場合のほかに,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があることも上告の理由とされており,上告の理由がある場合には原判決を破棄しなければなりません。