下級裁判所

 高等裁判所は,日本の8か所の大都市(東京,大阪,名古屋,広島,福岡,仙台,札幌,高松)に置かれているほか,6か所の都市に支部が設けられています。また,特別の支部として,東京高等裁判所に知的財産高等裁判所が設けられています。

 高等裁判所は,高等裁判所長官及び判事によって組織されています。高等裁判所長官は,内閣によって任命され,天皇の認証を受けます。

 高等裁判所は,地方裁判所若しくは家庭裁判所の判決又は簡易裁判所の刑事の判決に対する控訴,地方裁判所の民事の第二審判決に対する上告及び簡易裁判所の民事の判決に対する飛躍上告,地方裁判所又は家庭裁判所の決定に対する抗告について裁判権を持っています。そのほか,高等裁判所は,選挙に関する行政訴訟,内乱罪等に関する刑事事件について,第一審裁判権を持っており,東京高等裁判所は,さらに,公正取引委員会や特許庁のような準司法的機関の審決に対する取消訴訟について,第一審裁判権を持っています。

 知的財産高等裁判所は,東京高等裁判所の管轄に属する事件のうち,特許権に関する地方裁判所の判決に対する控訴,特許庁が行った審決に対する取消訴訟など,一定の知的財産に関する事件を取り扱います。

 高等裁判所における裁判は,原則として3人の裁判官から成る合議体によって審理されます。なお,内乱罪及び公正取引委員会の審決の訴訟等は,5人の裁判官から成る合議体によって審理されることになっています。

写真:東京高等,地方,簡易合同庁舎外観

東京高等,地方,簡易合同庁舎
旧最高裁判所跡地に建設され,昭和59年5月に竣工しました。

 地方裁判所は,全国に50か所あり,その管轄区域は北海道が四つに分かれているほか,各都府県と同じです。地方裁判所に支部が設けられており,その総数は203です。

 地方裁判所は,原則的な第一審裁判所で,他の裁判所が第一審専属管轄権を持つ特別なものを除いて,第一審事件のすべてを裁判することができるものとされています。さらに,地方裁判所は,簡易裁判所の民事の判決に対する控訴事件についても裁判権を持っています。

 地方裁判所の事件は,単独裁判官又は原則として3人の裁判官から成る合議体のどちらかで取り扱われます。大多数の事件は,単独裁判官によって処理されていますが,次の事件については,合議体による裁判が必要とされています。

  1. 「合議体で審理及び裁判をする」旨を合議体で決定した事件
  2. 死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件(強盗罪,準強盗罪,これらの未遂罪,盗犯防止法に規定される常習強窃罪の事件等は例外とされています。)
  3. 控訴事件
  4. その他法律によって合議事件と定められたもの

写真:大阪高等,地方,簡易裁判所合同庁舎外観

大阪高等,地方,簡易裁判所合同庁舎

 家庭裁判所は,全国に50か所あり,その管轄区域は北海道が四つに分かれているほか,各都道府県と同じです。また,203か所の支部と,77か所の家庭裁判所出張所が,それぞれ設けられています。

 家庭内の紛争を通常の訴訟の手続により審理すると,公開の法廷で夫婦,親子などの親族が争うことになりますし,法律的判断が中心になり,相互の感情的な対立が十分に解決されないままで終わるおそれもあります。そこで,家庭内の紛争については,まず最初に,訴訟の手続ではなく,それにふさわしい非公開の手続で情理を踏まえた解決を図ることが適切と考えられます。

 また,非行のある少年に対し,成人と同様に公開の法廷での訴訟の手続によって刑罰を科すことは,少年にとって必ずしも好ましい結果をもたらすとは限りません。未熟であり,教育によって改善される可能性の高い少年に対しては,それにふさわしい非公開の手続で,再び非行に及ぶことのないよう教育的な働きかけを行った上で処分を決める方が適切なことが多いと考えられます。

 そこで,単に法律的判断を下すのみならず,紛争や非行の背後にある原因を探り,どのようにすれば,家庭や親族の間で起きたいろいろな問題が円満に解決されるのか,非行に及んだ少年が再び非行に及ぶことがないようにしていけるのかということを第一に考えて,それぞれの事案に応じた適切妥当な措置を講じ,将来を展望した解決を図るという理念に基づいて,家庭裁判所が創設されました。その理念を実現するために,家庭裁判所調査官が置かれ,心理学,社会学,社会福祉学,教育学などの行動科学等の専門的な知識や技法を活用した事実の調査や調整を行うことになっています。

 このように,家庭裁判所においては,夫婦関係や親子関係などの紛争について話し合う調停と,これらの紛争に関する訴訟や審判を行い,また,非行のある少年の事件について審判を行います。

 また,平成26年4月1日に,国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律が施行され,16歳未満の子が国境を越えて不法に日本へ連れ去られた場合などにおける子の返還に関する紛争について,東京家庭裁判所と大阪家庭裁判所が取り扱うことになりました。

写真:京都家庭裁判所

京都家庭裁判所

 簡易裁判所は,全国に438か所あります。

 簡易裁判所は,民事事件については,訴訟の目的となる物の価額が140万円を超えない請求事件について,また刑事事件については,罰金以下の刑に当たる罪及び窃盗,横領などの比較的軽い罪の訴訟事件等について,第一審の裁判権を持っています。

 簡易裁判所は,その管轄に属する事件について,罰金以下の刑又は3年以下の懲役刑しか科することができません。この制限を超える刑を科するのを相当と認めるときは,事件を地方裁判所に移送しなければなりません。

 簡易裁判所においては,民事事件又は刑事事件について,簡易に処理する特別な手続を利用することができます。民事事件に関しては,裁判所は60万円以下の金銭の支払を求める事件について,原告の申出があり,被告に異議がなければ,原則として1回の期日で審理を終えた上,分割払等の判決をすることができますし,裁判所書記官は債権者の申立てによって,債務者を調べないで金銭の支払を命ずることができます。また,刑事事件に関しては,被告人に異議がないときに限り,検察官の請求により,その管轄に属する事件について証拠書類だけを調べて100万円以下の罰金又は科料を科することができます。以上の簡易手続は,債務者又は被告人の通常の手続による裁判を受ける権利を奪うものではありません。

 簡易裁判所には,身近な民事紛争を話し合いで解決するため調停という制度もあります。民事調停は,費用も安く,裁判官又は民事調停官と2人以上の民事調停委員によって構成された調停委員会が当事者双方の言い分を十分聴いて双方の合意を目指します。調停で合意が成立し,その内容が調書に記載されると,その調書の記載は,裁判所がした確定判決と同じ効力を持つことになります。

 簡易裁判所に対する民事の訴訟は口頭ですることもできます。また,紛争の内容によっては,簡単に申立てを行うことができるように,窓口には民事訴訟用及び民事調停用の定型用紙がそれぞれ用意されています。

 簡易裁判所におけるすべての事件は,1人の簡易裁判所判事によって審理及び裁判されます。

写真:大阪池田簡易裁判所外観

大阪池田簡易裁判所

  1. 裁判所について
    1. 裁判所の組織
      1. 概要
      2. 最高裁判所
      3. 下級裁判所
    2. 裁判所の仕事
    3. 裁判所の予算・決算・財務書類
      1. 裁判所の予算
      2. 令和3年度予算
      3. 令和2年度予算
      4. 平成31年度予算
      5. 平成30年度予算
      6. 平成29年度予算
      7. 平成28年度予算
      8. 平成27年度予算
      9. 平成26年度予算
      10. 平成25年度予算
      11. 平成24年度予算
      12. 平成23年度予算
      13. 裁判所の決算
      14. 省庁別財務書類等について
      15. 平成30年度省庁別財務書類
      16. 平成26年度省庁別財務書類
      17. 平成27年度省庁別財務書類
      18. 平成29年度省庁別財務書類
      19. 平成28年度政策別コスト情報
      20. 平成28年度省庁別財務書類
      21. 平成25年度政策別コスト情報
      22. 平成26年度政策別コスト情報
      23. 平成27年度政策別コスト情報
      24. 平成29年度政策別コスト情報
      25. 平成30年度政策別コスト情報
    4. 各種委員会
      1. 最高裁判所家庭規則制定諮問委員会
    5. 裁判所の環境施策
    6. 裁判所の災害対策等
    7. 裁判所における障害者配慮
    8. 裁判所における犯罪被害者保護施策
      1. 犯罪被害者保護関連法に基づく諸制度の実施状況(高・地・簡裁総数)
      2. 刑事手続における犯罪被害者のための制度
      3. 被害者保護制度に関する少年事件Q&A
    9. 広報誌「司法の窓」
      1. 司法の窓 第85号
      2. 司法の窓 第84号
      3. 司法の窓 第83号
      4. 司法の窓 第82号
      5. 司法の窓 第81号
      6. 司法の窓 第80号
      7. 司法の窓 第79号
      8. 司法の窓 第78号
      9. 司法の窓 第77号
      10. 司法の窓 第76号
      11. 司法の窓 第75号
      12. 司法の窓 第74号
      13. 司法の窓 第73号
      14. 司法の窓 第72号
      15. 司法の窓 第71号
      16. 司法の窓 第70号
      17. 司法の窓 第69号
      18. 司法の窓 第68号
      19. 司法の窓 第67号
      20. 司法の窓 第66号
      21. 司法の窓 第65号
      22. 司法の窓 第64号
      23. 司法の窓 第63号
      24. 司法の窓 第62号
      25. 司法の窓 第50号(最高裁判所50周年記念号)
      26. 司法の窓 裁判員制度特集号
    10. 司法制度改革
      1. 司法制度改革:21世紀の司法制度を考える
      2. 司法制度改革:21世紀の司法制度を考える
      3. 司法制度改革:21世紀の司法制度を考える
      4. 司法制度改革:司法制度改革推進計画要綱
      5. 司法制度改革:21世紀の司法制度を考える(資料一覧)
    11. トピックス
      1. 三浦守最高裁判事就任記者会見の概要
      2. 草野耕一最高裁判事就任記者会見の概要
      3. 宇賀克也最高裁判事就任記者会見の概要
      4. 大谷最高裁判所長官による憲法記念日記者会見の概要
      5. 大谷最高裁判所長官による記者会見「裁判員制度10周年を迎えて」の概要
      6. ウェブ会議等のITツールを活用した争点整理の新しい運用の開始について
      7. ウェブ会議等のITツールを活用した争点整理の運用の開始について
      8. 最高裁判所長官謹話(平成31年4月30日)
      9. 最高裁判所長官謹話(令和元年5月1日)
      10. 大谷最高裁判所長官の就任談話
      11. 認証等用特殊用紙の使用についてのお知らせ
      12. 憲法記念日を迎えるに当たって
      13. 裁判員制度10周年を迎えて
      14. 憲法記念日を迎えるにあたって
      15. 最高裁判所長官談話「東日本大震災から9年を迎えて」
      16. 裁判所や裁判所職員を装った不審な電子メールや電話,郵便物にご注意ください
      17. 電子メールの例
      18. 電話の例
      19. 郵便物の例
      20. 預託株券等に関する民事執行手続及び民事保全手続に関するお知らせ
      21. 裁判所や検察審査会を騙った,あるいは,裁判員制度を装った不審な電話にご注意ください
      22. 裁判所の手続を悪用した架空請求等にご注意ください。
      23. 「国民消費生活組合」を名のる 「訴訟履歴がマイナンバーへ登録されます」 という内容の不審なメールにご注意ください
      24. 「最高裁判所の書記官」を名乗る,裁判所への来訪を求める内容の不審なメールにご注意ください
      25. 「東京簡易裁判所の書記官」等を名乗る,裁判所への来訪を求めたり,金銭の振り込みを求める内容の不審な電話にご注意ください
      26. 政府インターネットテレビでの紹介(家庭裁判所,家庭裁判所調査官)
      27. 政府インターネットテレビでの紹介(簡易裁判所)
      28. 政府広報での紹介(民事調停)
      29. 「民事訴訟管理センター」から届く「総合消費料金未納分訴訟最終通知書」と題する不審なはがきにご注意ください
      30. 払込領収書を裁判所に送付するよう求める不審な電話にご注意ください
      31. 「地方裁判所」の名前を騙る,はがき記載の連絡先に電話をするよう促すはがきに御注意ください。
      32. 心の声に耳を傾ける~家庭裁判所調査官~
      33. 「地方裁判所 民事訴訟部」の名前を騙る郵便物に御注意ください。
      34. 林道晴最高裁判事就任記者会見の概要
      35. 岡村和美最高裁判事就任記者会見の概要
      36. 最高裁判所長官謹話(令和元年10月22日)
      37. 「東京地方裁判所 民事訴訟部」等の名前を騙る郵便物に御注意ください。
      38. 最高裁判所長官「新年のことば」
      39. 刑事事件Q&Aの更新について
      40. 憲法記念日を迎えるに当たって
      41. 大谷最高裁判所長官による憲法記念日記者会見の概要
      42. ウェブ会議等のITツールを活用した争点整理の運用の開始について
      43. 新型コロナウイルス感染症対策についてのお知らせ
      44. ウェブ会議等のITツールを活用した争点整理の運用を開始している庁について
      45. 裁判所職員総合研修所の研修について