トップ > 各地の裁判所 > 最高裁判所 > 各種委員会 > 医事関係訴訟委員会について > 第9回医事関係訴訟委員会・第7回鑑定人等候補者選定分科会議事要旨
1. 日時
平成15年4月17日(木)午前10時
2. 場所
最高裁判所中会議室(2階)
3. 出席者(敬称略)
委員
森 亘,大西勝也,鴨下重彦,川名尚,菊池信男,杉本恒明,永井多惠子,平山正剛,武藤徹一郎,山口武典(木下勝之,黒川高秀,橋元四郎平は欠席)
特別委員
名川弘一,前川和彦(御手洗哲也は欠席)
オブザーバー
前田順司,中本敏嗣
事務局
園尾隆司,菅野雅之,舘内比佐志
4. 議事
(1)開会の宣言
(2)民事局長のあいさつ
(3)オブザーバー山名学東京地方裁判所判事の異動報告
(4)答申について
本年6月に第一次答申を出す予定であったが,医事関係訴訟についての改善はようやく軌道に乗り始めたところであり,なお議論を尽くすべき問題が多いと考えられるので,答申に代えて現在の活動状況をまとめた「報告書」のようなものを出してはどうかという提案がなされ,了承された。
((4)に関する主な発言)
- 本委員会発足後,医療訴訟に際して提出される鑑定書の内容が非常に優れたものになってきているというような意味の発表を,委員会もしくは裁判所名で行ってもらいたい。
- 鑑定人の推薦に関する取組は,学会により温度差があるところであり,一部で改善が進んでいる旨の発表をすることは,取組が遅れている他学会への刺激にもなるのではないか。
- 複数学会相互が参加するシンポジウム等で,鑑定問題を話題として取り上げてみてはどうか。広報活動という意味でも有用だと思われる。
(5)推薦依頼をした事案の経過報告等
事務局から,本委員会で推薦依頼した事案について,別添「医事関係訴訟委員会への鑑定人候補者推薦依頼一覧」(PDF:1MB)に基づき経過報告がなされた。
(6)推薦依頼について
ア 今回推薦依頼のあった事例13件について,別添「推薦依頼のあった事案等について」(PDF:17KB)のとおり,依頼先学会が選定された。
(アに関する主な発言)
- 推薦依頼書の「従前の鑑定人推薦依頼の経緯」を読むと,地元の病院等に推薦依頼をしており,これでは拒否されるのが当たり前とも言える。もっと,遠隔地等で探す努力をすべきではないのか。
- 委員会からの推薦依頼に応えるべく,学会での鑑定人候補者の選定に関与しているが,具体的な専門分野についての選定だけでなく,公正・中立な観点から,客観的・論理的にきちんと鑑定書を書いてもらえるかといった点も幅広く考慮して,学会として責任をもって推薦できるような人を選定しているつもりである。
イ 前回議論をした,「複数名の鑑定人候補者を推薦する」件につき,引き続いて検討がなされた。
(イに関する主な発言)
- 複数名による鑑定ではないが,鑑定人の時間的・精神的負担を軽減する一環として,専門家が鑑定人に対して書面等で参考意見を述べることができるような制度を認め,そうした参考意見を述べた者にも報酬を支払うことはできないか。
- 当該鑑定全般にではなく,鑑定人が必要であると考える部分に限って参考意見を述べる者を補助者として認めてもよいのではないか。
- 参考意見を述べる者に対し報酬を支払うためには,共同鑑定の形でないと難しいのではないか。また,そのことにより鑑定料が倍になったりするのであれば,本当に鑑定が必要な事件であっても,当事者が躊躇するおそれがあるのではないか。
- 鑑定料は,一律に定まっているものではなく,個々の鑑定事項の難易度や作成時間等を踏まえた上で決定されるものである。また,複数名による鑑定については,鑑定人の時間的・精神的負担を軽減する点に目的があるのであるから,鑑定人が増えることにより,その人数にあわせて単純に鑑定料が倍になるというものではない。
- 鑑定人に対して参考意見を述べる者を制度的に認めるのであれば,鑑定書あるいはその者が提出した書面に名前が出ることになる。そのため,鑑定書がその参考意見そのもの,あるいはそれを述べた人物から影響を受けている可能性があるとして,当事者からその者に対して尋問を求められると,裁判所としては,拒否するのは難しいと考えられるし,また,そのような者の位置付けにつき,法的な整備が必要となってくるのではないか。
※ 複数名による鑑定につき,どのような選択肢があるか,及び,それらを選択した場合の結果についてのガイドライン的なものを示してはどうかという提案がなされ,今後,事務局と相談しながら検討していくこととなった。
ウ 推薦依頼を受けたある学会において,事後に鑑定書を公表することを検討していることが紹介された。なお,公表する上では,個人名が特定できないようにするなど,技術的な点で十分留意すべきであるとの指摘があった。
(7)地域における医療界と法曹界との相互理解に向けての取組
ア 平成14年度の医療訴訟ガイダンス・医療訴訟連絡協議会の開催結果
事務局から,平成14年度は,最終的に36庁の地方裁判所で,医療訴訟ガイダンス又は医療訴訟連絡協議会が開催されたこと,開催庁からの結果報告等については,取りまとめができた段階で改めて紹介したい旨の報告がなされた。
イ 日本循環器学会のシンポジウムへの裁判官の参加
事務局から,本年3月27日に福岡で開催された日本循環器学会のシンポジウム(「医療倫理懇談会」)において,大阪地裁の裁判官が講演した旨の報告がなされた。
(8)次回以降の委員会の予定,日程等
次回の委員会及び鑑定人等候補者選定分科会は平成15年6月9日(月)午後3時から5時までの予定であることが告知され,次々回は同年10月ころに開催することを予定している旨発表した。