トップ > 各地の裁判所 > 最高裁判所 > 各種委員会 > 医事関係訴訟委員会について > 第22回医事関係訴訟委員会・第20回鑑定人等候補者選定分科会議事要旨
1. 日時
平成22年3月1日(月) 午後3時
2. 場所
最高裁判所中会議室(2階)
3. 出席者(敬称略)
委員
森亘(委員長),鴨下重彦,川名尚,菊池信男,木下勝之,杉本恒明,三羽正人,武藤徹一郎,山口武典
特別委員
前川和彦,御手洗哲也 [名川弘一は欠席]
オブザーバー
浜秀樹(東京地裁判事),揖斐潔(大阪地裁判事)
事務局
林道晴(民事局長),朝倉佳秀(民事局第二課長)
4. 議事
(1) 開会の宣言
(2) 鑑定人候補者推薦事務について
ア 推薦依頼をした事案の経過及び推薦依頼先学会選定結果の報告
事務局から,本委員会から各学会に対して鑑定人の推薦依頼をした事案について,別添「医事関係訴訟委員会において推薦依頼をした事案の経過一覧表」(PDF:111KB)に基づき,経過報告があり,また,平成21年3月までに推薦依頼のあった3件の事案及び同年6月までに推薦依頼のあった5件の事案について,別添「推薦依頼のあった事案の概要等」(PDF:14KB)のとおり,推薦依頼先学会が選定された旨の報告があった。
イ 推薦依頼先学会の検討
平成21年12月までに推薦依頼のあった3件の事案について,別添「推薦依頼のあった事案の概要等(平成22年1月期)」(PDF:10KB)のとおり,推薦依頼先学会の選定がされた。
(3) 平成21年3月に発出した日本医学会あての「鑑定人候補者推薦等のための組織づくり」の依頼書簡についての報告
事務局から,前回委員会において了承を得た,鑑定人候補者推薦等のための組織づくりを学会に依頼することについて,森委員長から日本医学会会長あてに書簡を発出したこと,日本医学会会長から分科会理事長・会長あてに書簡が発出されたこと及び本委員会からの推薦依頼実績がある日本医学会非加盟の学会に対しては事務局から依頼書簡を個別に送付した旨の報告があった。
(4) 推薦依頼事案に関するその他の報告事項
本委員会から学会に対して鑑定人候補者の推薦依頼をした事案で,学会から推薦された鑑定人候補者が最終的に選任されなかった件について,事務局から報告があった。
(主な意見)
- 裁判体は,推薦を依頼する際は,推薦に当たっての希望や留意点について,あらかじめ当事者に十分確認する必要がある。
- 多忙な医師に協力してもらうのだから,裁判体は,推薦された鑑定人候補者に密に連絡を取るなどの配慮をしなければならない。
- 原告患者側には,被告側担当医師と出身大学が同じ医師は鑑定人候補者として避けたいという希望がある場合が多い。
(5) 事務局による主な医学会分科会への訪問結果の報告
本委員会からの推薦依頼実績が特に多い日本整形外科学会及び日本循環器学会の2つの学会を事務局が訪問し,本委員会での鑑定人候補者推薦依頼事務,鑑定の流れ等について説明をしたことについて,事務局から報告があった。
(6) 今後の医事関係訴訟委員会の在り方についての意見交換
来年には,本委員会設立10年を迎えることから,事務局から,本委員会の今後を考えるに当たっての前提事項の説明があった。はじめに,この10年間の成果として,平成17年6月に本委員会から最高裁に提出された答申を受け,各地方裁判所で地域の医療機関との交流ができ,鑑定人候補者推薦ネットワークが地域レベルで構築されるなど一定の効果が上がったことが紹介された。その上で,本委員会への鑑定人候補者推薦依頼事務に対する各裁判所のニーズが引き続きあることから,本委員会には,鑑定人候補者推薦事務を引き続き円滑に行っていくことや法曹界と医学界との間の協力関係を維持していくことなどが期待される旨の説明がされた。今後は,各委員の意見を伺いながら,より具体的に検討していくことが確認された。
(主な意見)
- もし本委員会がなくなった場合,各裁判所から直接学会に対して推薦依頼がいくことになるが,学会によって推薦依頼の受入れ態勢に温度差があるようにも感じることから,本委員会の意義は非常に大きいと思う。
- 法廷内外における鑑定人に対する対応に問題があることが指摘され,それを解消していくことが本委員会の発足の目的の一つだったため,この点は更に徹底していただきたい。法曹界と医療界との間に良い関係が構築されてきたのだから,これまでの取組は今後も続けていくのが望ましい。
- 本委員会からの推薦依頼実績が少ない学会も訪問し,学会の理事会などの場で鑑定に関する説明をすると,鑑定人候補者推薦手続が円滑に進むのではないか。
- 医療の内容が先鋭化,複雑化し,鑑定事項が複数の領域にまたがる事案も多いので,単一の学会に推薦を依頼するのは非常に難しい。また,鑑定人が一人で鑑定を行うことが良いのかという点も議論が必要ではないかと思う。
- 本委員会において,医療安全に関する事項について議論をすることも考えられると思う。
(7) 医療訴訟連絡協議会・医事関係訴訟事件の状況等について
ア 医療訴訟連絡協議会等の開催結果の報告
事務局から,各地方裁判所において開催されている医療訴訟連絡協議会や医療訴訟ガイダンス等,医療の専門家と法曹関係者の意見交換の取組につき,平成21年1月から12月までの間の開催結果について報告があった。
イ 平成21年の医事関係訴訟統計の報告
事務局から,平成21年の医事関係訴訟事件の最新の動向について説明があった。
(8) 医事関係訴訟を取り巻く残された課題等について
事務局から,専門委員の活用や鑑定の運用,確保等についての課題について説明があり,専門委員については,争点を整理する段階で関与し,早期に争点や鑑定事項を明確にしていくことが望ましいが,現状では医療訴訟において専門委員が活用しきれていないこと,また,鑑定については,鑑定人の確保が困難な面があり,例えば,本委員会答申でも触れられたように,鑑定書を評価することで鑑定をより一層多くの専門家に引き受けてもらうことができないかなどについて説明があった。
(9) 次回の予定について
次回の委員会の開催日時は改めて決定することとなった。